プロローグなんで短め。
1話 超越技師
「ふははははははは!!!やったぞ!!!遂にやったんだ俺は!!!」
いやー!!六歳の頃から二十年間!魔法、錬金術、科学を極めて、『魔法技師』、『錬金術師』、『科学技師』の複合職、世界に一人だけの『超越技師』になった俺!!
ザンダー・ノーハート様だぁ!!!
そんな俺はァ、今日やっと、開発に成功したのだ!!
そう!
不老不死薬の製造に!!!
いやー!頑張った頑張った!!超音速で動き、常にバリアフィールドを展開している魔導ロボットとか、マジで何でも斬れる剣とか、大陸を更地にするミサイルとか、死人を蘇らせる薬とか、そう言うもんは作れるんだけど、不老不死薬は難しかったなー!開発に七年も掛かっちまったぜ!!
いやー!アンデット系モンスターの魔力の流れを解析して生命体に適応させて、魔法陣をDNAに書き込むように調整して……、まあ、色々やった。いやあ、正直言って、不老不死魔術転写装置とかなら、五年でできたけど、どうせなら薬にしたかったし。浪漫、じゃん?
てか、他の研究やめて、不老不死薬の研究一本に絞れば二年以内にできてたと思うわ。
……なんか、そう考えると、俺そんなに凄いことしてねーな。
並ですわ。
正直言えば、魔導ロボット作る方が楽しい。
いやあ、薬学もできるけど、どちらかと言うと得意なのは工学の方でね。
ツールボックスと名付けた巨大戦艦に、ツールズと名付けた機動兵器群。高度人工知能搭載型の兵器だ。大きさは魔導式縮小装置により可変だが、基本的には二十メートル程。
隊長機のカラードツールと呼ばれる機体が複数体存在し、その下位に、量産型機体がある。総数はおよそ千体程で、ツールボックスの中に修理装置や生産ラインがある。
まあ、機体一つ一つに自己再生用ナノマシンと物質転換装置とエーテルドライブユニットを積んでるから、ほぼ無限の永久エネルギーと、自動再生する能力があるから、ほっとけば治るんだけど。
ツールボックスも凄いぞ、物質創造装置と特大のエーテルドライブユニット、バリアシステムと外宇宙の渡航にも耐えうる性能を持つ。
俺の予想では外宇宙に知的生命体がいるんだよ!そいつらと出会った時、舐められないようにしなきゃならないからな!まあ、まだ宇宙に出るのはやめておくが。
にしても、あー、なんか、冷めたわ……。
あ、取り敢えず飲んどこう。
「さて、俺の設計が間違っていなければ、俺は不老不死になった訳だが」
既にホムンクルスでの実験はしてある。
不老不死になったホムンクルスの処分には困ったが、異空間に適当に捨てた。
ふむ。
ふむ?
「あ」
ノリで、作ったから飲むかー!みたいな気持ちで飲んだけど、これって、ヤバくない?
不老不死薬なんて、偉そうな奴らから狙われるじゃんこれ。
王族とか元貴族とか。
やべっ、飲んじゃったよ……。
考えなしに行動するのはいかんなあ。俺の悪い癖だ。
ま、研究に必要なものは、異次元収納で全部手元にあるし。
よし、逃げよう。
逃げて逃げて、世界を回る。
そして。
最後は。
「んっんー、最果ての荒野。オーバードアダマンタイトゴーレム、テラメテオドラゴン、ショゴスロード、アポカリプスビースト、ノーライフキング……。Sランクモンスターがぞろぞろと。んー、いけるか?ツールズ、全機起動……!!」
最果ての荒野と呼ばれる、この星の果てにある広大な荒地にして、大気中の魔力濃度が異常な数値を示す魔の地にて。一体一体が俺の背丈の数百倍以上はあろうかと言う巨大なモンスターと戦い……。
「チッ!!!流石は最果ての荒野と言ったところか!ツールズ全機大破及び中破!ツールボックスも限界か!ツールズ以外にこのクラスのモンスターに有用な武器はない、か。仕方がない、転移魔法で逃げ……?!」
その瞬間、ドラゴンブレスに巻き込まれて……。
「わー!馬鹿馬鹿!最上位ドラゴンのブレスなんて魔力構成が狂、あ、障壁破れ、あああああああーーー!!!」
最上位のドラゴンのブレスは魔力の塊を圧縮して放つ荷電粒子砲のようなものだ。圧倒的な魔力量は、他の魔力の流れを狂わせる。
そんなもんを、精密な魔法である空間転移魔法を使っているところにぶち込まれたら、それはもう……。
「うおあああああああああーーー!!!!」
どうなるのか、俺にも分からない。
あ、もちろん、性格はクズですので安心してください。