ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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心がなろうキッズなのでテンプレファンタジーが量産されていく。止まらない。


2話 タイムスリップ

「っつ、うぅ……。ここ、は?どこだ?」

 

俺は転移魔法を使ったはずだが……。

 

森、の中か?

 

どうなってやがる?

 

俺は転移の指定先に、故郷のエーレンブルグを選んだはずだが……、ドラゴンブレスで魔法式が崩れたから、場所がズレた、のか?

 

「っと、取り敢えず、ツールズ、ダメージレポート」

 

脳内に情報が転送される。異次元に収納してあるツールズのダメージレポートを聞く。

 

ふむ、一言でまとめると、悲惨。

 

完全復帰には一日かかる。

 

ナノマシンによる補修は再生速度の遅さが課題だな。もっと強化しよう。

 

だが、使えなくなった機体は一つもないし、問題はないな。

 

さて。

 

「えー?やべー、どうしよー……。ここどこだ?はぁ、やだぁ、実家に帰りたい」

 

まあもう、親も死んでるし家に何かがある訳でもないけど、もう帰りたい。

 

「はぁ、取り敢えず、ここはどこだ?魔導式人工衛星ネットワークシステム、『星の瞳』起動……、現在時刻……、アース歴5579年?!!」

 

俺の記憶では、アース歴2456年だったはずだ!!

 

約三千年のズレ、だと?!

 

エラー……、その言葉が脳裏をよぎる。

 

しかし、俺の作った作品は、滅多なことではエラーを吐いたりしないはず。

 

嫌な予感とともに、『星の瞳』による観測を続ける。

 

立体投射型コントローラーに手を翳して、この星……、『アース』の周りにある、自己再生、無限動力の人工衛星のネットワークシステムを駆使して、陸地や海を見る。

 

「……なんだ、こりゃ?!飛行大陸メシュフィシュは?!学術都市エーレンブルグはどこに消えた?!イェルネガルド王国も、オデュッセイア帝国も、アンネハバリー共和国もねえじゃねえかよ!!!どうなってやがる!!!」

 

何でだ?

 

分からん、分からん、分からん。

 

この俺の頭脳を以ってしても分からない。

 

何だ、何が起きている?

 

 

 

暫く、辺りを歩いた。

 

植物の植生も違う……。

 

大陸の形も若干変わっているし、どうなっているんだ?!

 

それに、だ。

 

「この状況は何だ」

 

「へへへ、運が悪かったなあ、兄ちゃん。こんな町外れで奴隷商人と出会っちまうなんてな!」

 

奴隷?

 

そんなものはアース歴1184年に完全廃止されただろうに。何を言っているんだこいつは。

 

「いやあ、ついてるぜ!珍しい黒毛の獣人を手に入れたと思ったら、今度は副収入まで!これだからこの商売はやめられねえ!」

 

すると、ファンタジーな格好のいかにもごろつきと言った見た目の人々が、俺を囲んだ。

 

え……?

 

なんか、ボロボロの、獣かなんかの皮の服に粗末なサンダル。ただの粗製な鉄の剣。

 

普通なら、四階位相当の魔法や衝撃などから身を守る個人防護機能付き腕輪と、護身用に拳銃、合成繊維のシャツにズボン、合成革のスニーカー、アイテムボックス用魔道具が、正しいアース民の格好だろう。

 

兵士ならより強化された個人防護腕輪と高機能防弾服、魔導式ライフル、高周波ブレードが一般的な装備で、医療用ナノマシンを体内に入れて、インプラントや人体改造などで強化、サイボーグ化しているのが普通だ。

 

かく言う自分も、両眼を自分で作った精密な人工眼球に変えているし、胸に魔力炉心を埋め込んでいる他、医療用ナノマシンに、皮膚硬化インプラント、骨硬化インプラントをしている。

 

そんな俺からすれば、鉄の刃物のような、前時代的な遺物を見せられても、何も思うことはなかった。

 

「え?え?」

 

「殺されたくなきゃ、持ち物を寄越してついてこい!なあに、安心しろ、やさしーい主人に売ってやるからなあ!げはははは!!」

 

何、これは?

 

もしかして、脅されてる?

 

「え?それ脅し?」

 

鑑定の魔法をかけるが、どう見ても、インプラントしてないただの人間だ。

 

骨董品片手に何を?

 

「ああ?見りゃわかんだろ?」

 

分かんないから聞いてるんだが。

 

「もしかして殺されねえとでも思ってんのか?だとしたら甘く見過ぎだぜえ?」

 

いや……、単なる鉄製の刃物なんかじゃ、俺の皮膚すら切れないと思うけど……。

 

あ、後ろの方に檻に入れられた女の子が。

 

非人道的では?

 

まあ、人体実験やらなんやらやった俺が言うのも何だけど。

 

「え、と、襲ってくるなら殺すけど」

 

「げはははは!!!殺すぅ?丸腰でかぁ?やってみやがれバーカ!!!」

 

「あ、はい」

 

アイテムボックスから取り出したのはワーナード2442、俺が開発したトップシェア拳銃。マグナム弾ながらも反動は小さめで、俺のような戦闘の素人にも扱いやすい。巷では傑作拳銃と呼ばれ、派生タイプやコピー品が大量に出回る、まさに拳銃の革命児。

 

銀色のステラ合金製フレームに、合成木材のグリップで、丈夫で見た目もグッド。

 

自分で言うのもなんだが、コスパも性能も丁度良い良作だ。

 

今俺の手元にある、これの改造品、『ワーナード2442ザンダースペシャル』は、弾倉に小型の物質生成装置を備えて、弾数を無限化し、弾頭に貫通術式のオンオフ切り替えセレクターがあるカスタム品だ。

 

軍用のアーマーや防御術式くらいなら貫く貫通術式の付与ができる、俺専用の護身アイテム。

 

「何だあ、その銀色は?それでどうしようってんだ?」

 

「は?銃だけど。え?何これ?自己防衛法適用されるよね?撃つけど、良いの?」

 

「ああ?何言って……」

 

まあ、良いか。

 

駄目でも蘇生代くらいはあるでしょ。

 

引き金を引くと、火薬の乾いた音が鳴る。

 

「ぎゃっ」

 

ええ……。

 

死ぬのかよ。

 

おかしいでしょこの人ら。

 

「な、何だ?!今何をやった?!!」

 

浮き足立ってる悪漢?達に、銃を向け、撃つ。

 

いやあ、俺、エンジニアだから。別に銃を撃つのが上手い訳ではないのよね。

 

まあ、体内のナノマシンである程度は補助されるから、当たらないってことはないけど。

 

「ひぃ、何が、ぺぎゅ」

 

「あぐ」

 

「あああ」

 

「雑魚過ぎでしょ……。人身売買やるくらいの組織なら、Aクラス戦闘用義体とAクラス戦闘用魔道具複数、脳内ネットワークリンク済の副電脳と九階位相当の魔法のダウンロードはしておかないと無理だろうが」

 

あ、全員殺しちゃった。

 

まあ、あとで誰かが回収して、蘇生屋で蘇生されるだろ。

 

今更人殺しくらいでキャーキャー言わないわ俺も。

 

さて、どうするかな……。

 

 

 

「あ、の……」

 

ん?

 

なんだ?

 

ああ、捕まってた女の子か。

 

黒い髪の狼獣人、かな。

 

「あ、帰って良いよ。変なおっさんと変な遊びしてないで、もっと為になることをしたらどうかな。てか、学校は?今の時間なら学校じゃないの?駄目だよ遊んでちゃ」

 

「い、いえ」

 

「あー、学校に行きたくないの?不登校ってやつか……。最近はそういうのよくあるって聞くしな。うん、悩みがあるなら聞くよ?」

 

「わた、し、これから、どう、すれば」

 

んー?

 

「そんなの、学校にちゃんと通って、勉強して、大学を出て、好きな仕事をやることでしょ。勉強は難しいし、大変かもしれないけど、いつか役に立つものだし……。それに、学校では勉強そのものじゃなくて、学ぶ姿勢を、学び方を学ぶのが大切なんだよ、それは」

 

「い、いえ、その」

 

「ん?」

 

「私、親に、捨てられて」

 

え?

 

「ええ?!!何だそりゃ!!じゃあ、取り敢えず交番に……、それで孤児院に連絡を!」

 

「お願い、します」

 

「え?何?」

 

「私を、拾って、下さい。何でも、します。ご飯は少なくても、我慢します。殴られても、逆らいません。言うことは、ちゃんと聞きます。だから、私を、拾って下さい……」

 

俺は……、俺は悲しい。

 

現代にこんな可哀想な子がいて良いのか?

 

虐待は法的に禁じられているのに、この反応は恐らく、虐待を受けてきたのだろう。

 

あまりにも不憫だ。

 

スラムの子なのだろうか。

 

可哀想に。

 

よし。

 

「分かった。君を俺の護衛として雇おう!給料は払うし、衣食住の面倒を見る!さあおいで!」

 

「あ、う……!!ありがとうございます、ありがとうございます……!!」

 




しっかし、こんだけ書いてんのに上手くなる兆しがねえのは笑えねーよなー!

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