ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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なろう感出したい。


3話 神

「名前は?」

 

「ありません……」

 

「どこに住んでたの?」

 

「追放されたので、分かりません……」

 

「歳は?」

 

「分かりません、けど、多分十五くらいだと思います……」

 

あああ。

 

「可哀想に!俺が幸せにしてあげよう!よーしまずはインプラントからだ、最高の肉体をあげよう」

 

その時、女の子のお腹が鳴る。

 

「す、すいませっ、すいません、生意気にお腹を空かせてすいません!」

 

「ん、ああ、お腹が空いたのか。そうか、生物ってそう言うもんだよな。俺は腹減らないから分からないけど」

 

食事なんて趣味程度にするものだ。

 

不老不死になって、そう言った生理的な欲求は酷く希薄になった。

 

「よし、何が食べたい?」

 

「た、食べ物をくれるんですか?」

 

「何でもあげるよ、大丈夫だからね」

 

別に、薄汚れたスラムの子供に同情することなんて、ないんだが。

 

この子は、可愛らしくて、それで。

 

昔の知り合いに似た髪をしていた。

 

このまま放っておくのは寝覚めが悪いし、旅は道連れ世は情けとも言うし、連れを作るのも悪くないと、少し、思ったんだ。

 

「何が食べたい?」

 

「その、余り物を分けてもらえれば、それで良いです」

 

うーん、余るも何も、食料なんて持ってない。

 

「その前にちょっと浄化魔法かけるね。それと、あー、ジャンクに……、あった、これだ!散髪機!これで髪を整えるよ、さあ座って」

 

「は、い」

 

「スイッチオォン」

 

絡まった長い黒髪に櫛を通して、切り整える。

 

うん、やっぱり可愛い子だ。

 

癖のある、ハネた黒髪にガラスで作ったベルのような声。くりくりと大きい瞳は少し鋭くて凛々しい。薄い唇はスマートで、小さめの鼻も可愛らしい。

 

痩せ細っているのがマイナスだが、そこはまあ、太らせよう。

 

「うーん、やっぱり似てるな、アレスと」

 

あいつもこの辺では珍しい黒髪で、ぴょこっとハネた癖のある髪をしてたな。

 

懐かしい。

 

「アレス……?剣神アレス様、ですか?」

 

「は?剣神?あいつはゴロツキ同然の冒険者上がりの騎士だよ。神なんてそんな大層なもんじゃない」

 

喧しくて酒癖が悪いケモナーの変態だ。

 

狼獣人の女と結婚して、毎日ベタベタとくっついていたなと思い出す。

 

「え、と、アレス様を悪く言うと、バチが当たります、よ?」

 

「上等だ」

 

さて、早速食事をしてもらうか。

 

折角だし、俺もなんか食べよう。

 

にしても自然が豊かだな。

 

全く汚染されていない、人工ではない森なんて久し振りだ。

 

首都圏ではまず見られない風景だよね。

 

「天気もいいし、空気も綺麗だ。よし、たまにはバーベキューやるか!ほらおいで!」

 

「は、はい」

 

さて、携帯型物質生成装置で肉や野菜を作って、と。

 

これも民間用じゃなくて俺専用のフルカスタム品だからな、精密だぞ!体内に埋め込んだデバイスだから邪魔にならないし。

 

作った食料の味は最高級品の精密なコピー。

 

つまり、味も栄養もバッチリよぉ!!

 

「まー、料理とかできねーけど、肉を串に刺して焼くくらいはできるし、ネット上でレシピ拾えば誰にでもできるよね!」

 

肉や野菜を刺した串を、バーベキューセットにかける。

 

「わあ……!」

 

狼耳ちゃんが目を輝かせる。

 

物質生成装置で作ったソースをかけると、じゅわっと音がして、辺り一面がいい匂いに包まれる。

 

あー、腹減らねえけど、食欲がそそられるなー!

 

「さ、もうそろそろ良いだろう。食べなよ」

 

「私は、余り物で」

 

「最初から二人分作ったに決まってんじゃんよ。ほら、熱いうちに食べて!」

 

「いいん、ですか?」

 

「良いよ、お腹いっぱい食べな」

 

「ありがとう、ございます……!はむっ……」

 

串焼き肉を頬張る狼耳ちゃん。

 

夢中で食べてるな。

 

「……美味しい?」

 

「んっ、美味しい、です」

 

「そっか、良かった」

 

俺は……、なんか、一人分を七割くらい食べたら、なんか、もう、いいなって気持ちになった。

 

なんか、食べるのってめんどい。

 

食べきれない分は狼耳ちゃんにあげる。

 

「!!、い、良いんですか?」

 

「うん、俺もう、お腹いっぱい。そもそも、食べなくても平気だし」

 

「じゃ、じゃあ、いただきます。はむはむ」

 

口の周りにソースをつけながら、肉に齧り付く狼耳ちゃん。

 

しっかりと野菜も食べている。

 

偉いぞ、よしよし。

 

「あの、ありがとうございました……!」

 

食べ終わって、こちらを見て言う狼耳ちゃん。

 

「良いよ、沢山食べなよ。ほら、デザートにクレームブリュレを一緒に食べようなー」

 

「こ、れは?」

 

「んー?あー、分からないか?お菓子だよ、甘い食べ物だ」

 

「甘い……?」

 

甘い、と言う感覚すら、分からないのだろうか。

 

可哀想に。

 

「ほら、食べてごらん」

 

「……!!、おい、しい、です!」

 

泣きながら、美味しい美味しいと繰り返して、デザートを食べる狼耳ちゃん。

 

うん……。

 

なんかほら、可愛い奴隷の子を拾って飼いたい欲求、あるじゃん。

 

SNSとかネット小説とかでもよく見るシチュエーションだよね、可愛い女の子拾うの。

 

それもまた浪漫。

 

 

 

さぁて、兎も角、だ。

 

今のこの子はアース民として相応しくない。

 

と言う訳で軽くインプラント処理を施す。

 

あ、もちろん、身体を開くような外科手術なんてやらないよ?外科手術なんてまずやらない。ナノマシンが全部やってくれる。

 

「はーい、ちょっとチクってするよー」

 

「え、と?何を?」

 

「インプラントだよ、アース民ならみんなやってる」

 

「痛い、こと、ですか……?」

 

「んーん、痛くないよ!ちょっとチクってするだけ」

 

「な、なんで、チクってするんです、か?」

 

インプラントを知らない?

 

「あー、えっとね、これでチクってすると、身体が丈夫になるんだよ!病気にならないし、普通に暮らしている以上は怪我もしなくなるんだよー」

 

「丈夫に、ですか?そ、それは、あとで、痛いことする、から、ですか?」

 

「い、いやいや!違う違う!そんなことしないよ!これは俺もやってるから!ほら、俺にも刺してみるからな?ほら!」

 

そう言って自分の首にナノマシンを注入してみせる。

 

ああ、クソ、そうか、虐待されてきたんだもんな。俺は教育者でもカウンセラーでもないから、そんな人の気持ちなんて分からない。

 

「……痛くない、ですか?」

 

「痛くないよー!」

 

極細針だから実際痛くない。

 

「分かり、ました」

 

髪をかきあげて首筋を晒す狼耳ちゃん。

 

エロい……。

 

白い肌が、細い首が、エロいぞ!

 

邪念に負けずに注射。

 

「えい」

 

「んぅ」

 

「どう?」

 

「あ、あ、あ……。凄い、です、気持ち、良い……」

 

そりゃあ、ナノマシンは脳内物質を調整するからな。ストレスは解消されるだろうよ。

 

「あは、あは、あはははは、あはははははははは!!凄い!綺麗!世界が綺麗!見える!全部見える!!」

 

あ、ナノマシン酔いか。

 

ナノマシンを注射すると、ストレスの軽減や脳内物質の調整、疲労回復などが一気にくるからな。

 

「さて、良いかな?俺は……、知ってるかもしれないが、名乗っておこう。ザンダー・ノーハートだ。よろしく」

 

「あ、は……。ザンダー様。……!!」

 

「どうかしたかな?」

 

「!!!!、錬金神ザンダー様……!ああ、神様、神様が……!」

 

錬金神ザンダー……?

 

え?

 

俺そんな風に呼ばれてんの?

 

心が折れるからSNSとかネット掲示板ではエゴサしないんだけど、そんな風に呼ばれてたんだ。

 

まあ、自分で言うのも何だけど、兵器、製薬、電子機器で革命的な品を発明したり、気に入ったやつに発明した魔道具をくれたりしてるから、名前は知られてる、と思う。

 

しかし神、かぁ。ちょっと照れる。

 

「えー!何々〜?俺、神とかって呼ばれちゃってんのー?照れるー!」

 

「は、はい!剣神アレスに剣を、魔法神オデッサに杖を、狩神ガリオンに弓矢を、医神エレクシオンに錫杖を……、様々な神々に、ありとあらゆる道具と叡智をもたらした、錬金術の神、ザンダー様!私みたいな忌み子でも、偉業は聞いたことがあります!」

 

んんんんんー?

 

「待て……、待って?何その、何?」

 

「え?」

 

「アレスはケモナーの変態で、オデッサは尻の軽いクソビッチ、馬鹿のガリオンとサイコパス解剖大好きマンのエレクシオン?」

 

「え?ええ?」

 

「何で……、何であいつら神になってんの?」

 

「よ、よく分からない、ですけど、神様は、神様です、よ?お知り合いなんじゃ?」

 

「まあ、知り合いだけど……。アルバトスは?ハルギオンは?ヴァルディは?ヤマトは?」

 

「武神アルバトス、芸神ハルギオン、商業神ヴァルディ、戦神ヤマトですか?」

 

あのクズどももか……?!

 

「ちょっと……、おかしい。おかしいよ。あの社会不適合者共が神とかあり得ないから」

 

「ええええ……?」

 

どうなってんだ、世界。

 




アサシンクリードが忙しくて書けない!!

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