取り敢えず、この狼耳ちゃんに名前をつけたい。
そこは俺、数多くの発明品に名前をつけてきたセンスは抜群。
はい、名前はー?
「イリス……、イリスでどうかな。君のその紫の瞳、イリスの花にそっくりだ。だから、イリス」
「名前を、いただけるんですか?」
「ああ、いや、嫌なら良いんだ、自分で名前を名乗りたいならそれで」
「いえ!神様からお名前をいただけるだなんて、光栄です!名前をくれて、ありがとうございます!」
そう?
「神様からもらった名前、大事にします」
「……ああ、やっと笑ってくれた」
「え?」
「女の子は笑った方がいい。その方が、可愛いからね」
「は、はい!」
そう、それで、イリスを連れて自室へ。
もう遅い、寝るべきだ。
まあ、不老不死なんで寝なくてもどうってことないが。
「こ、こは?」
「んー?異次元空間生成システムで作った空間をエーレンベルグの座標に固定して……、って、分からないか」
「ご、ごめんなさい、馬鹿でごめんなさい」
「い、いやいや、そんなこと言ってないよ!ここは、そうだな、俺が作った世界の、俺の部屋、かな?」
すると、イリスは目を丸くして。
「ザンダー様は、世界を、作れるのですか?」
震えた声で、そう尋ねた。
「んあ?まー、空間制御は割と難しいからなー、この精度でできるのは俺以外だとオデッサくらいじゃない?」
異次元空間生成……、クリエイト・アナザーディメンションは階位にして九階位。それをこの精度で、となると、人の脳と魔力では不可能だ。電脳化して、多数の魔力制御プログラムを導入し、魔力発生装置をインプラントせねば。
俺ももちろん特製のスペシャルな電脳に電脳化しているし、魔力発生装置も特製の、ツールズに使用しているものと同じ構造のエーテルドライブをインプラントしている。
「あ、ああ……!偉大な、神様……!」
「い、いや、ちょっと、跪かないでよ」
なんか跪き始めちゃったから、立たせる。
「さ、取り敢えず、君の部屋を作ろうか。ベースはこんな感じで良い?」
適当に部屋を作る。
「これ、は?」
「だから、君の部屋」
「神殿に、私の部屋を?」
「神殿なんて大層なもんじゃないけど……」
「そ、そのっ!わ、私を、ザンダー様の巫女にしていただけるんですか?!」
巫女?
「うん?ま、まあ、護衛とか、助手とかやってもらおうかなー、とは思ってるよ」
「ああ……!!ありがたき幸せです!!」
「そ、そっか」
何が?
「……と、こんな感じ。使い方は分かった?」
インプラント済の肉体に戸惑うイリスに、使い方を教えた。
まあ、ヘルプ機能が充実してるから、別に教えることないけど。
「は、はい」
「後は好きに過ごして……、って、知らないところで一人きりなのは辛いかな。じゃ、俺の側にいてくれるかな」
「!!、ザンダー様の、お側に、ですか?!」
「うん?嫌なら部屋に戻って良いよ」
「い、嫌じゃないです!ずっと側に置いて下さい!!」
ずっと、か。
「本当に、ずっと側にいたい?」
「はい!」
「……もし、本当にその気があるなら、君に永遠の命をあげよう。でも、まだ駄目だ。大きな決断の前にはよく考えて欲しいからね」
「永遠の、命……!!」
まあ、ぽんぽんあげられるもんじゃないよねー。
でも、もしも、一緒に永遠の時を過ごしてくれる連れができたら嬉しいな。
「はぁ?おいおい、未ダウンロードのデータファイルが三千年分でダウンロードには六ヶ月?ふざけてんのか?」
『ふざけてなどいません』
AIインターフェイスが大真面目に答える。
『お久しぶりの帰還を歓迎します』
と、さっき言われた。
これは年単位でログインしていない時の音声だ。
て、ことは、やっぱり。
「三千年過ぎたの、かなあ」
そうとしか考えられないからな、これ。
「あ、の、ザンダー様?お困りですか?」
「いや、俺ちょっと、タイムスリップしたみたいで」
そういやタイムマシンはまだ作ってなかったな、とか考えながら。
「タイムスリップ……?」
「時を超えたってことさ」
「ザンダー様は、神々の時代から来たのですか?」
あー。
「多分そう」
「か、神々の時代に戻るなら、私も、連れて行って、くれますか?」
「あ、うん、その時はね。でも……」
過ぎた時間を巻き戻してもなあ。
それに、タイムマシンを作るとなると、相当な時間がかかるだろうし。
軽く見積もっても、数百年はかかるだろうね。時間の移動はそれくらい難しい。
「帰る予定はないよ」
「そう、ですか」
それから、六ヶ月の間、イリスと一緒に過ごした。
イリスは、ナノマシンと適切な栄養の補給により、枯れ葉のように痩せ細った身体は程よくぷにぷにの女の子の身体になった。
その最中も、護身用の魔法の使い方、拳銃の使い方をレクチャーして、教えられる程度の軽い護身術や、簡単な料理の仕方、内蔵された物質生成装置の使い方などを教えた。
本人はそれ以外に、有料の剣術モーションデータ、格闘術モーションデータ、ロックオンシステム、戦闘シュミレーションデータなどのファイルもダウンロードしたみたいだ。金は俺が出した。
文字とか数学とかの一般常識とか、法律とかのデータは直接脳に転送される仕組みになってるし、軍用レベルの個人防護装置もインプラントしたし、訓練もそれなりにした。
イリスが、なんちゃってだが、護衛と言っていいレベルまで達した頃。
「えええええええ?!!!嘘だろおおおおお?!!!」
俺は頭を抱えて倒れ込んだ。
「ザンダー様っ!」
駆け寄ってくるイリス。
「なんっだこれ。なんなんだ?最終戦争?各国に壊滅的な被害?アレス達が邪神に挑んだ?え?え?何それ?何が起きたの?」
データによると、アース外生命体の来襲により壊滅的な被害があった、とか。
やはりいたか、アース外生命体!
しかも俺がいない間に攻め込んでくるとは!
許せん!
……ってか何でアレス達が戦う羽目に?
機動兵器群はどうした?
アース外生命体の機動兵器群と相討ち?
工場は爆撃された?
最後はお互い生身での戦闘を余儀なくされた?
「アホかよ」
今時生身での戦闘とか……。
まあ、確かに、アレス達は生身でも機動兵器に匹敵するくらいの戦闘能力はあったが。
えーと、じゃあつまり、こうか。
アース外生命体と大戦争、機動兵器対決は相討ちで機動兵器は破壊される。そして爆撃合戦で国土が焼ける。しょうがないから生身で最終決戦、アレス達が攻め込む。と。
そして、勝利したが爆撃の影響で国家は崩壊し、文明は一気に後退した、と。
そういう訳か。
つまり、今の文化レベルは、色々観測したところ、高く見積もってアース歴紀元前2000年頃のレベル。
俺からすればおよそ四千年前ほどの技術しか残っていない、ということか。
よし!
「おやすみ」
もう……、もう分からんので、寝る。
今のところ傭兵が書けてる。
傭兵は、当初予定していた通りの勇者編、暗躍編、異世界転生者マッチポンプ編を書いていきたい。