ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今は傭兵と旅人fgo書いてます。


6話 冒険者登録

冒険者登録。

 

それは、各国の冒険者ギルドというはぐれ者の受け皿に来た人間のクズ共が、日雇いの仕事をするための条件である。

 

まあ?俺みたいな?知的階級からすれば?冒険者なんてクズ同然ですし?

 

時給換算で何百何千万ドグラマ稼ぐ俺からすれば態々冒険者なんて仕事をする連中は下賤なものと考えてしまう。

 

実際、冒険者なんて、スリルを味わいたい命知らずのゴロツキか、身分証明書代わりに一応なっておくもののどちらかだ。

 

差別意識を持たれるのもおかしくはないだろう。

 

事実、俺の知る冒険者とは、日雇いで違法スレスレの仕事も平気でやる連中ばかりだった。

 

あのアレスも大分悪いことしてたしな。

 

謎の白い粉を運ぶ仕事とか。

 

まあ、と言う訳なんで、登録するだけで冒険者として働くつもりはないんだよ」

 

「舐めてるんですか?」

 

舐めてはいないが。

 

「あのですね、まず、冒険者はれっきとしたクリーンな仕事で、冒険者になるには試験が必要なんですよ」

 

「何のテスト?」

 

「戦闘能力とサバイバル能力を見るテストです!貴方のような人はきっと受からないでしょうね!」

 

ふーむ?

 

受付嬢、という役職の茶髪のショートカットの女がそう吐き捨てた。

 

「どれくらい強ければ良いの?」

 

「試験官さんに聞いて下さい!」

 

むむむ?

 

「……何で怒ってんの?」

 

「いきなり来て冒険者さん達を侮辱し始めたら誰でも怒ります!!」

 

「えー、事実じゃん」

 

「喧嘩売りに来たんですか貴方は?!」

 

いや、何でそうなるの?

 

純粋な真実じゃん。

 

「取り敢えず登録したいんだけど」

 

「え?!あれ程まで言っておいて登録するんですか?!」

 

「だから、働く気はねえよ、身分証明書代わりに一応なるだけ」

 

「言っておきますが、一定期間依頼を受けないと、冒険者資格は失効しますよ!貴方の言う、身分証明書代わりには不適切かと思いますが?!」

 

キレんなよ。怖いなあ。

 

「でも、車もエアバイクも見ないし、その手の資格は消滅してるんだろ?ってことは冒険者になるしかないじゃん」

 

「く、くるま?えあばいく?何を言っているんですか?!」

 

「良いから登録するんだよ、書類見せて」

 

「ーーーッ!はい、どうぞっ!!」

 

書類を投げつけられた。

 

「んー?あー?文字変わったのか」

 

そりゃそうか、文字も変わるか。

 

「紙媒体のスキャナなんてあったかな……、あ、あった。ええと、これでスキャンして、と。暗号解析プログラム実行……」

 

よし、文字を理解した。

 

原始的な表音文字だな。

 

「イリス、この世界の文字の使い方のプログラム、送るからインストールして」

 

「はい」

 

脳内インストール、完了と。

 

「これにサインすりゃ良いのね。イリス、書こうね」

 

「はい」

 

イリスと名前を書く。

 

「イリスさんと……、な、何ですって?!!」

 

「何?」

 

「こ、これ!名前の欄にザンダーって!!」

 

「本名だぞ」

 

「嘘つくのはやめて下さい!!恐れ多くも錬金神ザンダー様の名前を騙るなんて!!」

 

「本人だよ」

 

「ーーーッ!!もうっ!!!分かりました!!!貴方には一番厳しい試験官さんについてもらうことにします!!!試験は三日後の朝、鐘がなる前にここに来て下さいねっ!ふんっ!!!」

 

 

 

「盛大にヘイトを稼いだみたいだが、俺なんかしたか?」

 

「え、えと、その、嫌われるようなことを、したからだと、思います」

 

「え?なんかした?」

 

「冒険者の、悪口を言ったり」

 

「事実でしょ」

 

と、まあ、そんな感じで、そこらの宿に泊まる。

 

……飯が不味い。

 

「いや、無理だわ。文化の違い。不味い」

 

「で、でも、残すのは、勿体無いかと」

 

「良いんだって、こんな不味いものよりもっと美味いもの出せるんだから、それ食べなよ」

 

「不味い不味いって何様のつもりだい?!嫌なら食わなくて良いよ!!」

 

怒られた。

 

あと、宿の部屋も汚かったし、結局、いつもの異空間の部屋に戻って寝た。

 

 

 

そんなこんなで、観光で時間を潰してから、三日後の朝。

 

冒険者ギルドに行った。

 

「これで全員か?よし、試験を始める!」

 

街の近くの広場で、試験を始める。

 

最低限の戦闘能力、夜営ができるかを見るそうだ。

 

まずは戦闘能力の評価から。

 

「起動!」

 

「へえ、ターゲットドローンか」

 

ターゲットドローン……、魔力収集回路のある、民間モデルのものだ。

 

このタイプは、大気中の魔力を吸収して、限定的な物質創造を行い、無限にドローンを創り出せるやつだな。

 

構造が簡単だからな、ある程度適当に保存されていても使えるものだ。三千年くらいなら余裕で保つだろうな。

 

「これは遺物でな、ほぼ無限に、丈夫な木人を出せるんだ。これに攻撃をして、その破壊具合などで攻撃力を見る」

 

ほー。

 

「各々が持っている武器で好きに攻撃してみろ!ではお前、アノッサスからだ!」

 

「おう!」

 

アノッサスと呼ばれた男は、狩人らしく、弓を引いて矢を放った。

 

狩人!うはー、初めて見るわ。

 

ハンティングって趣味でやるもんじゃないの?

 

矢は、合成軟性ラバーでできた柔らかな表面に突き刺さる。

 

民間モデルのターゲットドローンは壊れやすく、ダメージが分かりやすく見えるようになっているからな。

 

柔らかなラバーに、人の骨をデフォルメしたような合金の芯が入っているのだろう。

 

個人防護装置抜きの一般人程の丈夫さだから、大体四、五階位くらいの魔法や手榴弾ほどの衝撃や熱量で完全に破壊できるな。

 

ってか原始的だなー!

 

あの弓!魔導弓じゃないのかよ!矢も!

 

何あれ……、「アナライズ」……、木製?!嘘だろ?!そんなもんで戦う気でいるのか?!

 

凄えな……、あんな弓じゃ俺、鹿すら倒せる自信ねえよ。

 

「よし、中々だぞ!元狩人らしいな。狙いも良い。次!エリーゼ!」

 

「はい!」

 

お、次は魔法使いか。

 

杖を持って魔法をって、「アナライズ」。……何だその雑な作りの杖?!

 

嘘だろ?単一の魔力増幅回路を埋め込んだだけの青水晶がくっついただけの木の棒じゃねえか?!

 

普通、演算装置と大気魔力収集装置、補助AIくらいはつけるだろ?!!

 

「我が身に宿りし魔力よ、火の力をここに示せ!ファイアーボール!!」

 

え?!何それ?!

 

呪文?!

 

普通は、「座標軸固定、0-45」みたいな口語補助くらいのもので、態々呪文唱える奴なんて滅多にいねえぞ?!

 

第一、詠唱はいらないって科学的根拠があるのに!あれは、声を出して魔力を練ることで魔法の威力の底上げになるってだけで!

 

そして着弾した火の玉はドローンの表面を軽く溶かした。

 

え?

 

威力低くない?

 

ってか、二階位魔法って。

 

ガキのお遊びで使う魔法だぞ。

 

個人防護装置がある、普通のアース民にとっては、二階位魔法くらいなら子供の遊びと認識される。

 

事実、俺も、そこらの悪ガキにファイアーボールやらウォーターボールやらを撃たれて不快な思いをしたことがある。

 

言わばピンポンダッシュ的なあれなんだけど。

 

少なくとも、一般的に戦闘用と言えるのは、四、五階位から、かな。

 

「ほお、中々の威力だ!次、ジョニー!」

 

「はい!」

 

次は剣士だ。

 

はぁ、やっぱり鉄の剣に革の鎧か。

 

「はああ!」

 

おまけに威力はドローンの表面を斬り裂くほど。

 

俺が力任せに振った方がもっとよく切れる。

 

「よし、今回の受験者は筋が良いな!」

 

ウッソだろ?

 

あれで?

 

「次、イリス!」

 

「はい」

 

お、イリスがやるのか。

 

まあ、見てみよう。

 




傭兵書くのたのしー。

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