ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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誤字脱字癖は治らないもんですね。


7話 実力

「どうした、イリス?早くやれ」

 

「あ、はい」

 

イリスが、ステラ合金製のロングソードを抜く。

 

「おお……、何と美しい剣だ」

 

周囲から感嘆の声が漏れる。

 

それもそのはず、ステラ合金は美しい。

 

質感や色は白金に似ており、磨き上げられた刀身は銀色に輝く。

 

その上、硬度、強度、耐腐食性、あらゆる点において、鉄の十倍以上を誇る上に、鉄よりかなり軽い、非常に優れた素材だ。

 

アースにおいては、武器から乗り物のフレームまで、幅広く使われる万能の金属であり、民間用の物質生成装置でも作れるくらい構造が簡単な、最優の金属である。

 

まあ、より丈夫なものならアダマンタイト、より魔力伝導が良いものならミスリル、もっと総合的に優れているオリハルコンなど、色々上位互換はあるが。

 

「あ、あれは、遺物か?!!」

 

剣の柄に埋め込んだ魔力回路が燐光を放つ。その光は、剣の刀身に刻まれたラインを通って刀身を光らせる。

 

詳しく言うと、ロングソードの幅が三、四センチくらいあってな。刀身の面積が広いのよ。そこに、溝を掘って、ゾルマニウム合金を埋め込み、刀身を超振動させ切れ味を上げるようになっているんだ。

 

ゾルマニウムってのはミスリルを真似て作られた魔力伝導率がそれなりに高い……、っと、その辺はまあ良いか。

 

「黒狼流……、薙風」

 

そしてイリスは三階位魔法のハイ・イグニッションを発動、身体能力を一瞬上げる。黒狼流のモーションデータを参照して斬撃を放つ。

 

「馬鹿な!あれは上級スキル、クアドラプルスラッシュだ!!」

 

……は?

 

スキル?

 

スキルって、何だ?

 

え?何それ。マジで分からん。初耳。

 

怖っ。

 

と、兎も角、ターゲットドローンは八分割された。

 

「このレベルなら金級、いや白金級に届くかもしれん……」

 

は?

 

いやー、この程度のレベルじゃ良いとこ銅でしょ、って、いや、そうか、今の世界では評価が高くなるのか。

 

それでも白金級行くか?

 

白金級っつったらプロの兵隊並に強くなきゃならんでしょ。

 

プロの兵隊並と言えば、六階級魔法のダウンロード、魔力炉心最低一つのインプラント、各種軍用ナノマシンなどなど、義体化無しでは最高位の強さは欲しい。

 

 

 

さて。

 

「俺のターンかな?」

 

「む、あ、ああ、そうだ。ザンダー……、ザンダー?!貴様、偽名にしてもよくもまあ……!」

 

「本人だよ」

 

「ふん、罰当たりめ。いつか天罰が下るだろう。さあ、貴様の番だ」

 

んー。

 

「これ、周りの建物に結界とか張ってる?」

 

「はあ?結界?そんなもの、王城くらいにしか張らないだろう」

 

んー?

 

じゃあ、水平に撃つと危ないか。

 

三階位魔法、フライを使い飛行。

 

「そ、それは、三階位魔法、フライ?!」

 

そんでもって。

 

「……フォトンレイ」

 

ほんの三秒、光子のレーザーを放つ。

 

簡単な、五階位魔法だ。

 

「「「「………………」」」」

 

「ねえ、これで良い?」

 

「な、んだ、その魔法は」

 

「フォトンレイ。光属性が得意なんだよね俺。似合わないって言われるけど」

 

「そんな魔法、トップクラスの冒険者でも使えるかどうか……」

 

「そうなの?随分と程度が低いね」

 

「き、さま!減らず口を!」

 

いや……、フォトンレイくらいならちょっと魔法齧ったやつなら誰でもできるだろ。

 

オデッサのクソビッチなら俺の十倍の威力と規模でぶっ放すぞあの尻軽女。

 

俺のフォトンレイは最大でも直径五メートル、威力は三千度くらいか。

 

だが、オデッサの奴は太陽を超える温度のフォトンレイを十発同時に放つぞ。ありゃバケモンだ。ヤバい。

 

ん、ああ、因みに魔法は熱量や冷気を生み出しても、余波で周りのものが燃えたり凍ったりはしないぞ。

 

その辺は基礎魔法学だから中学校辺りで習うんじゃないか?

 

俺は飛び級したから分からんが。

 

まあ、義務教育十二年の間には習う知識だ。

 

 

 

それで、次はサバイバル試験だ。

 

「手持ちの道具は何使っても良いの?」

 

「ああ、しかし、設営したテントに触れられたら失格だ」

 

どうやら、野営して見張りすることが試験らしい。

 

ふーん。

 

道具は何を使っても良い、と。

 

 

 

「き、貴様らあああああ!!!」

 

「……夜中なんだけど」

 

「何だこれは?!」

 

「結界」

 

「テントはどうした?!」

 

「家の裏」

 

「そもそもどうやって家を建てた?!」

 

「魔道具。もう良い?眠らなくても良いとは言え、気分的に一日七時間は寝たいんだよね」

 

「こ、この、この!!!」

 

「あ、無理無理、この結界、大体六階位魔法くらいの威力じゃないと破れないから」

 

はい、じゃあ、イリスとお休みー。

 

 

 

次の日、テントを畳んでギルドに持っていく。

 

「結果は?」

 

「今発表する」

 

名前を呼ばれていく。

 

大体、半分くらいは受かったかな?

 

そして。

 

「イリス、ザンダー、合格だ」

 

「いえーい」

 

「しかし、ギルドマスターから話があるようだ。来い。ライセンスは明日受け取りに来ること、以上、解散!」

 

ん、何だ?

 

 

 

二階の奥の部屋に案内される。

 

「ふむ……」

 

「何?早く帰りたいんだけど」

 

「口の利き方がなってないな、小僧」

 

「は?お前何歳だよ」

 

「む?四十八だが」

 

「俺は百五十一だ。学歴は?年収は?」

 

「何だと?二十代にしか見えないが。学はないが読み書きと計算はできる、年収は金貨十枚くらいか」

 

「そんなもん、ナノマシンの効果で三百歳くらいまでは生きられるし、俺は不老不死だし、何も変なことはねえよ。俺はエーレンベルグ都立第一工業大学博士号取得済、年収は数千億ドグラマ。ほら、俺の方が上だ。はい、と言う訳で敬語を使うのはお前の方だな」

 

「減らず口を……、俺はこのトーリアの街冒険者ギルドのギルドマスターのガランだぞ」

 

「俺はザンダー・ノーハートだぞ」

 

んー?

 

何睨んでんだ低学歴?

 

文句でもあんのか?

 

「……貴様ら、遺物を持っているそうだな」

 

「遺物?」

 

何それ?

 

「惚けるなよ、その杖、そして、そっちの女の剣だ」

 

「単なるCランク民間用魔道具だけど。こんなもんそこら辺にあるだろ」

 

「違う、魔道具とは、現代の技術で作られた魔法の道具のことで、遺物とは、神々の時代、神代に作られた道具のことだ」

 

神代、ってのは俺の時代を指すのかね。

 

「だったら違うな。これは俺が創ったんだから。魔道具で間違いない」

 

「いや、それはあり得ない。俺は色々と魔道具や遺物を見てきたが、それはどう見ても遺物だ」

 

「仮に、そうだとして何なの?」

 

「貴様らは冒険者として働く気がないそうだな?」

 

「そうだね」

 

「なら、そのような遺物は不要だろう。さあ、よこせ」

 

ふーん。

 

「ヤダね」

 

「……何だと?」

 

「俺さ、タダで発明品をやる奴にはちょっとお願いするんだよ。それを聞いたくれたら、くれてやらんこともない」

 

「き、さま!それはまさか、『錬金神ザンダーの難題』の物真似か?!罰当たりめ!!!」

 

え?

 

何それ?

 

いや、現代の礼儀作法とかはよくわからないけど、タダで何かをよこせってのは失礼じゃないの?罰当たりじゃないの?

 

「いや、それは分からんけど、アレスはオリハルコン5kg、オデッサはユグドラシルの枝、ガリオンはミスリル5kg……、あいつらはちゃんと持ってきたから、色々と創ってやったんだよ。タダじゃ駄目だし、単純にお前が気に入らないってのもある」

 

「どこまで……、どこまで神々を愚弄する気だ?!!」

 

「はぁ、事実を話して何でこんな怒られんのか分かんねーわ。話はそれだけか?俺は帰るぞ」

 

「ギルドマスターにその態度……、後悔することになるぞ!!」

 

え?何その公私混合発言?

 

ギルドマスターだから何でも言うこと聞かせることができると思ってんの?

 

怖。

 

そう言う所謂ブラック企業?ってのは絶滅してるからな。AIが管理職やったりしてるから、ブラックなことやろうとする奴はすぐに辞めさせられるらしいし。

 

まあ、と言う訳で。

 

目をつけられた。




オデッセイはクソゲー。

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