ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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俺のメンタルで自殺も他殺もしてないって凄いことだと思いませんか?

褒めて。


13話 常識教えるの忘れとった

「すみません!もう勘弁してください!!!」

 

「……はい?」

 

俺、またなんかやっちゃいました?

 

「イクスランドさん……」

 

「はい」

 

あ、イクスランドは偽名ね。

 

イリスと相談した結果、面倒を避ける為に偽名を名乗った方が良いということになった。

 

まあ、XanderのアナグラムでExrandだからバレバレか?と思ったけど、この時代とは文字が違うからバレてないっぽい。

 

まあ、だから、俺が俺の作った製品に刻む『ハートマークにイナズマ』のロゴマークも、みんな何のことだか分かっていないらしい。

 

それで、何なんだろうか。

 

「実は……、イクスランドさんの魔道具があまりにも出来が良過ぎて、他の技師さん達が儲からなくなったって……」

 

「あー……」

 

そう来たか、どうすっかな?

 

冒険者ギルドの方は、何だかんだで薬草コピーで鉄級になったし、そろそろ頃合いか。

 

「出てった方が良いです?」

 

「その……、この街では、貴方の才能はあまりにも大き過ぎるんです。だから、これを」

 

手形を渡される。

 

手形には、王都の紋章がある。

 

「これは、王都の?」

 

「はい、王都の魔導師ギルド本部へ手紙を送ったところ、通行手形が届きました」

 

「つまり、王都へ行けってことですか?」

 

「はい……。ここは商業都市です、優れた技術者はもっと都会の方に行くべきなんですよ」

 

んー?

 

俺の時代では、都心にエンジニアが集中し過ぎてよくない……、みたいな話もあったみたいだが。

 

まあ、この時代なら、優れた技術者はもっと上に行くべきなのか。

 

しかし、王都か……。

 

民主主義国家が王政に逆戻りとは。

 

王政なんて、ジパングに象徴としてのエンペラーがいるくらいのもんだったのにな。

 

アース歴1200年代には、全世界に民主主義が浸透していたと言うのに。

 

しかし、仕方ないかな。

 

民主主義ってのは、俺は専門じゃないからよくわからんが、少なくとも、国民全員が真っ当な教育を受けているからこそのものだろう。

 

字も読めない奴がゴロゴロいるこの時代じゃなあ……。

 

「分かりました、短い間でしたがありがとうございました。王都の魔導師ギルド本部へ向かえば良いんですね?」

 

「はい、申し訳ないです……。王都で貴方の才能が活かせることを願っています」

 

 

 

そう言うことになった。

 

「そう言うことになった」

 

「はい」

 

イリスは隣で聞いていた。

 

一応、イリスは俺の弟子と言うことにして、イリスの分の手形も確保してもらってある。

 

「ごめんね、なんか、移動してばっかりで」

 

「いえ、私はずっと、ザンダーさ……、イクスランド様についていきます」

 

「そっか、ありがとう」

 

「それに、いつでも神殿へ帰れるのに、移動してばかり、だから悪い、とかはないと思います」

 

そう言う見方もできる、か?

 

「そうと決まれば、早速、明日から、移動しましょう」

 

「そうだね、今日はもう休もうか」

 

「はい。……あの、よろし、ければ、イクスランド様のお部屋で、お隣で、寝ても、良いでしょうか……?」

 

あら、甘えん坊さん。

 

「うん、良いよ、一緒に寝ようね」

 

イリスは、今まで他人に愛されなかった分を埋めるかのように愛を求めている。

 

クールな顔をして非常に甘えん坊さんだ。

 

風呂も一緒に入りたいと擦り寄って来る。

 

可愛いので構わないが。

 

 

 

次の日の朝。

 

イリスと同じベッドで目覚めて、一緒に身支度を整えて、朝食を済ませてから街を出……、ようとして。

 

「あの……、そう言えば、王都の位置、とかって」

 

あ、そっか、王都の位置、知らねーや。

 

そうだ、冒険者ギルドに行って話を聞いてこよう。

 

「ん?王都に行くのか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「ふむ、なら護衛でもつけるか?」

 

「護衛?」

 

「ああ、護衛だ。お前達、毎度毎度薬草採取ばかりやっているところを見るに、戦闘は苦手なんだろう?護衛に冒険者パーティを連れて行ったらどうだ?」

 

「ふむ」

 

「ここは知っての通り商業都市で、商人の出入りが多いだろ?だから、商人の護衛のために冒険者パーティがつくことが多いんだ。腕利きのやつらを紹介するぞ?」

 

うーん。

 

護衛を雇った方が自然ではあるよなあ。

 

でも要人護衛サービスって高いんだよなぁ……。

 

「今手持ちに大金貨十枚で、予算は大金貨百枚くらいでどうにかなりますかね?」

 

「ばっ……?!!だ、大金貨百枚だと?!!そ、そんなの、王侯貴族の護衛じゃないんだぞ?!!白金級冒険者に龍退治でもやらせる気か?!!」

 

「……は?」

 

「護衛の鉄級、銅級冒険者を雇うくらいなら、大銀貨くらいで十分だ!」

 

十万ドグラマくらいで良いのか?

 

あー……、民間護衛ならそんなもん、なのか?

 

俺、最果ての荒野での特別要人護衛とかで数十億ドグラマ持ってかれたから……。

 

そっか、民間だとそんなもんなのか。

 

「食料は?そっち持ちか?」

 

「え?ああ、そう言うのあるんだ。それは、こっちが食料出せば依頼料が安くなるとか?」

 

「そうだよ」

 

はー……。

 

そんなシステムなのか。

 

「分かりました、食料出します」

 

「分かった。では、明日辺りに出発するか?それなら、丁度王都に移動する予定の冒険者パーティが……」

 

「あー、じゃあお願いします」

 

 

 

そう言うことになった。

 

「そう言うことになった」

 

「はい」

 

重ねて言うが、イリスは俺の隣で話を聞いていた。

 

今は異次元空間の自宅の中だ。

 

「なんか、護衛の人と一緒に移動するみたいね」

 

「あの、それで、なんですけど」

 

「何?どうしたの?」

 

「移動、している、最中に、護衛?の人に、神殿を見られたら、驚かれちゃうんじゃないかな、と思います」

 

「あー、そうだね」

 

「じゃあ、移動用の車……、は不味いんだっけ?移動用の、そうだな、適当な動物に台車を引かせて、カモフラージュ用のテント……、とかで良いかな?」

 

「はい、そうです、ね」

 

丁度良いし、イリスの為にペット一匹創るか。

 

台車とテントは民間モデルの適当に使って……、台車を牽かせるモンスターも遺伝子データ引っ張ってきて……、モデルは軍用一般レベルにしとこう、何かあった時に、せめてもイリスの盾になるように思考データも弄っておかなきゃな。

 

犬猫カーバンクル辺りのメジャーどころは台車を牽かせられないし、ちょっとデカめの……、富裕層向けのペットが良いな。

 

そういや俺の実家ではグリフォンを飼ってたっけ?名前はフレズって言ってさ、可愛い奴だったよ。

 

もう、死んじまったんだろうけどさ。

 

でも、フレズの脳ニューロンデータは俺のデータストレージちゃんとしまってある。

 

これを使うか。

 

「グリフォンでも大丈夫?」

 

「グリフォン……、偉い人が飼っているらしいです、ね。ザンダー様なら、グリフォンを飼っていてもおかしくない、です」

 

あ、やっぱりこの世界でも富裕層向けのペット扱いなのかな?

 

まあ、グリフォンってそんな危ない生き物じゃないし、賢いからね。

 

「じゃあ、イリスにグリフォンをプレゼントするよ!」

 

「プレゼント……?」

 

「今からグリフォンを創るんだよ」

 

「つく、る……?」

 

創るんだよ?

 




書き溜めないのー!

お母さん書き溜めしてないのー!

助けてお母さんー!


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