ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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久し振りに技師の更新。

技師は本気でなろう向けに書いてる。


15話 ★『スノーフレーク』

晩飯は普通に……。

 

きのこと鶏肉のグラタンにした。

 

「み、水を使い捨て……?!」

 

「どうやって肉の鮮度を保っているんだ……?!」

 

「キノコか?!キノコは高級品だぞ……?!」

 

「このワイン、どれだけ上等なものなの……?」

 

んもー!

 

 

 

参った、この世界の普通が分からない。

 

俺はこう見えて、ボンボン、良いとこの子でその上古代人だし、イリスは逆に虐待されてきた子だから、この時代の普通ってのが分かってない。

 

だから、思わぬところでミスを連発しているように思える。

 

どこかで一般通過冒険者辺りを仲間にする必要があるかもな……。

 

四人の冒険者にはしっかり口止めをしておいたから大丈夫だろうが。

 

まさか契約者との契約を軽々しく破る程じゃないだろう。

 

守秘義務も守れないような社会人がいる訳ないよな。普通に考えて。

 

それじゃあ、無事王都についたことだし、今日のところは宿で休むか……。

 

宿……、部屋に入ったら、俺の異次元空間に転移してるんだけど。

 

さて、適当に休んでから、次の日。

 

王都の魔導師ギルドへ到着。

 

王都の街並み?俺からすればクソ田舎とクソクソ田舎の見分けはつかないんだってことかな。俺、シティーボーイなんで!

 

まあ、冗談はさておき、俺の時代と比べると人も少なくてその癖ホームレスが裏路地に転がってるんだから、あんまり良くはないよね。

 

俺の時代の後進国の方がもっとまともだった。

 

えーと、魔導師ギルド……。

 

まあ、商業都市パンセの魔導師ギルドよりは倍以上大きくて、建物もしっかりしているな。

 

入って、受付の女に、パンセの魔導師ギルドで預かった手形と手紙を見せる。

 

「これは……、拝見しますね」

 

そして裏に引っ込み五分。

 

「お待たせしました、イクスランド様。当ギルドは有能な魔法技師を歓迎いたします」

 

そう言うことになった。

 

 

 

王都魔導師ギルドは、魔道具を作ったら作った分だけ買い取ってくれるそうだ。

 

何でも、既に俺の作品を買っているらしく、俺の腕を知っているらしい。

 

このレベルの魔道具であれば、国が幾らでも買ってくれるらしいから、どんどん作れ、とのこと。

 

どんどん作れ……、日産一万本くらいで良いかな?

 

いや、待てよ、それは駄目だ、多分、多過ぎる。

 

聞いてみよう。

 

「一日何本くらい作れば良いですか?」

 

「ああ、急ぎの仕事ではありませんから、可能な限りで構いませんよ」

 

可能な限り?

 

可能かどうかで言えば、あの程度なら、ライン作って一日一億本くらいならどうにか……。

 

いや、よく考えろ、可能な限りってのは、このギルドの人々は、俺のことを「たまにいる天才」レベルと見ている訳だ。

 

もっともっと抑えるべきだ。

 

「一日……、十本ぐらいですかね?」

 

「え?一月で十本?それは多いくらいですよ」

 

危ねえ!聞き間違えてくれた!

 

あの程度のものを一月で十本でも多いだと……?

 

この世界の魔法技師は何やってんだ?

 

「あの……、もっとマシな素材があれば、もっとマシなものが作れますよ」

 

「もっと上位の素材ですか……。これなんてどうでしょうか?」

 

これは……。

 

「コバルトメタルか」

 

ま、鉄よりは数段上ってところか。

 

「それとこれも……」

 

「んー、Cクラス魔石か」

 

これなら……、まあ、ギリギリ民間モデルくらいまでならいけるな。

 

「じゃあ、加工してきます。材料費は売上金から引いておいてください」

 

「了解しました」

 

加工は五秒で終わるが、五秒で終わりましたと言ったらやべーやつ認定されかねない。

 

取り敢えず、明日持って行こうか。

 

 

 

「できました」

 

「ありがとうございます。『ディテクト』」

 

簡易鑑定の魔法を使う職員。

 

「……これは!」

 

顔色が変わる。

 

「ギルドマスターを呼んで下さい!」

 

「は、はいっ!」

 

職員がパタパタ動き始める。

 

「えっ、そんな大きな事にしないで」

 

俺の懇願も虚しく、ギルドマスターと呼ばれた細身の男が奥から現れた。

 

茶髪をワックス的な何かでオールバックにして、丸メガネをかけた、ひょろ長の研究者然とした男だ。

 

「何事ですか?」

 

「ギルドマスター、これを!」

 

「ふむ……、む?え、あ?な、何ですかこれは?!」

 

や、やめろ、やめてくれ、騒がないでくれ。

 

面倒は嫌いだぞ。

 

「イクスランド様……、これは本当に貴方が?」

 

「あ、はい、そうですけど……」

 

「素晴らしい……、実に素晴らしい出来です。まるで遺物ですね……」

 

大分手を抜いたけど……。

 

「このレベルの魔道具を作れる魔法技師は、この国にもそうはいません」

 

「あっはい」

 

「この剣……、銘はどうしますか?」

 

「え?」

 

銘を入れるほどのもんじゃないと思うけど……?

 

いや、この時代では凄いんだな。そうだ、この時代では凄いんだ。納得しよう。なら……、そうだな。

 

「スノーフレークで」

 

スノーフレーク……、自意識過剰な割に大したことがない奴のこと、だ。

 

「分かりました、素敵な銘だと思います」

 

素敵、ねえ。ふざけてるんだけどね、こっちは。

 

「本当に、本当に素晴らしい腕前です。この剣、スノーフレークは、王国直営のオークションに出品させていただきます。その売上高の七割と、材料費を差し引いたものをお渡ししますから、二週間ほど時間を下さい」

 

「はあ……」

 

これで良かったのかな……。

 

もうね、俺からすれば、イカヒコーキを折って飛ばしただけなのに、すっごーい!と褒められてるみたいな……。

 

逆に馬鹿にされてるんじゃないかと不安になるんだよなあ……。

 

 

 

なお、スノーフレークは大金貨千枚、つまりは大白金貨百枚で売れた。

 

十億ドグラマくらいだな。

 

……お前らの目は節穴なのか?

 




技師のフワッとしたプロット。

アース外生命体とは即ち魔族。魔族は、アースで暗躍して、こっそりとアース人の発展を妨げている。

ザンダーの目的は、この世界の神々、即ち、かつての友人にして英雄達の子孫を集めつつ、国を新たに作り、魔族との全面戦争に備えること。

オープニング、剣神アレスの子孫、黒い狼少女イリスを拾い、冒険の始まり。

一章、武神アルバトスの子孫、青髪傷面美女サルビアを奴隷市場で買い取り、ダンジョン都市を攻略。なお、ダンジョン都市の正体は、過去のアースの遊園地のアトラクション、大お化け屋敷の人工ダンジョンだった。

二章、商業神ヴァルディの子孫、糸目狸少女ランタナが、この話で売った魔剣『スノーフレーク』を見た。目利きが利くランタナは、スノーフレークの作者であるザンダーを追いかけてきて仲間になる。なお、魔剣はザンダーからすればショボいと聞いてビビる。

三章、魔法神オデッサの子孫、巨乳ダークエルフのベロニカは、エルフに迫害されて、人間にも穢らわしいものとされ、虐げられていたところを拾う。実は、エルフは精霊魔法に、ダークエルフは魔法に特化した種族であるとザンダーが発表。そして、精霊魔法は拡張性が少ないので、かつてのアースでは死んだ文明だった。実は、魔族がこっそりと、アース人がかつて最強だった理由の一つである魔法文化を滅ぼす為に、エルフを扇動してダークエルフを迫害させていた。ついでにダークエルフは民として拾う。

四章、医神エレクシオンの子孫、おっとり系巨乳聖女マーガレットは、魔族が裏で支配する悪の組織『医療教会』にて、間違った医療を広めて、ナノマシンの流出を制限させていた。そんな医療教会のある土地で、ザンダーはランタナと組んで最高の医療品を売ってしまい、医療品バトルになる。ぼろ負けした医療教会は解散して、宙ぶらりんになったマーガレットをもらっていく。

とりあえずここまで。

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