ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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パーティーパロットが流行り始めた。


19話 サルビアの試験

俺とイリスは鉄級の冒険者である。

 

現代の冒険者ランクは、上から、白金、金、銀、銅、鉄、青銅、錫。

 

鉄と言うと、一般通過冒険者ってところか。

 

大体、鉄級くらいから、冒険者としての生活にも余裕が出てくる。

 

錫級は見習い、青銅級はビギナー、鉄級で一般冒険者、銅級でベテラン、銀級で一流。

 

それを言えば、サルビアは元銀級冒険者だった訳で、つまりそれはかなりの高評価ってことだった。

 

金級は、国のトップクラスで、大体どこかのお抱えになっているみたいだな。大商人や貴族のお抱えだ。

 

白金は、世界でも十人ほどしかいない世界トップランカーだそうだ。白金級冒険者を使うのは教会や大国などの大組織だ。

 

実質、現実的に雇える範囲内でのトップ冒険者とは、銀級までである。

 

でも、そんな一流冒険者のサルビアも、二階位までの魔法を少し使って、無料戦闘アプリに負けちゃうくらい弱いので、冒険者の肩書きに意味はない。

 

いやー、本当にな……。

 

シン共和国製の無料戦闘アプリに負けちゃうんだもんな、この時代の冒険者は本当にお察しだ。

 

ああ……、そう、ナノマシン保有者は、電脳ネットワークからモーションアプリをダウンロードできて、それを使えば、格闘も武器術も射撃も魔法も簡単に使えるようになるんだよな。

 

プロは自分でモーションデータや魔法術式データを編集する。

 

俺が今回、サルビアの実力を見るためにダウンロードしたのは、シン共和国という、他国のアプリデータをコピーしまくるような国の無料配布格闘モーションデータだった。

 

つまり、最低品質の格闘モーションデータだった訳だな。

 

まあ、シン共和国は格闘モーションデータはそこそこ良いよってSNSで聞いたような気がしないでもないが……、俺が見た限りでは、ぶっちゃけゴミだった。

 

無料モーションデータなら、俺が見た限りじゃ、ロコブ社、サムサランド社、ワイアット社辺りが良かったかな?

 

ロコブ社のは軍用CQBデータの流用品だし、サムサランド社のはシステマの入門編くらいのモーションデータ入ってる。

 

ワイアット社のも、無料配布にしてはかなり出来が良かったっけなー。

 

まあ、アレスやアルバトス、ヤマト辺りが組んだ戦闘アプリには流石の俺も敵わねーけど、俺が作ったのも最高級品として結構売れてたよ。

 

オデッサの魔法式アプリや、ハルギオンの演奏アプリ、ガリオンの射撃アプリも評価はガチヤバだったね。

 

俺はほら、格闘とか野蛮なことはしないから、いまいち上手く格闘系のアプリは作れないんだよねえ。

 

それでも、軍用最高モデル以上のものは作れる自信はあるけどね。

 

 

 

さて、イリスとサルビアには、有料の武術のモーションデータと魔法式データをダウンロードさせてある。

 

丁度、ここにはダンジョンがあるらしいし、サルビアの慣らし運転と、サルビアが失った冒険者資格の再習得のために、ダンジョンに潜ることにした。

 

初日は、サルビアを一人で出歩かせて、冒険者資格を再習得させる。

 

奴隷に堕ちた時に、サルビアは、冒険者資格を失っているからな。

 

さて、サルビアが冒険者資格を再習得している間に、俺とイリスは『家』でVRゲームをやって遊んで待つことにした。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

私は、偉大なる錬金の神、ザンダー様の下僕、サルビアだ。

 

つい先週までは、とある貴族に騙されて奴隷に堕ちていたが、ザンダー様が救ってくださった。

 

もちろん、私も、最初は信じられなかった。

 

愚かしいことにな。

 

だが、ザンダー様の神殿に招いていただき、この身を聖人にしていただいた上で、神器まで受け賜わり……、私は悟ったのだ。

 

このお方は、本物の神である、と。

 

最強の神器と、無限に水や食料が創造され、まるで貴族のように、広く清潔な風呂に毎日入れて、良い香りのする石鹸や美味い酒、暖かな風が吹く箱や、絵が動く箱を与えられた。

 

更に、あの、武神アルバトスの武技をも、一晩寝ているうちに覚えられ、四階位までの魔法も覚えられた。

 

まあ、一晩寝ただけでこれほどまでの力が手に入ると、私の今までの努力はなんだったのか……?と少し虚しくなったが。

 

何はともあれ、失った冒険者資格を再取得するぞ!

 

 

 

「よし、次、サルビア、前に出ろ!」

 

「ああ」

 

「では、このターゲットドローンを攻撃してみろ!」

 

「良いだろう……」

 

強くなった私の力、見せてやろう!

 

第三階位魔法、イグニッション、インスタントフィジカルブースト、インスタントグラビディプラス、エンチャントウインド四重並列発動!

 

「これが私の全力だ!」

 

剣神アレスは、又の名を黒狼と呼ばれていた。

 

武神アルバトス、又の名を……。

 

「万刃流!メテオダイブ!!!」

 

万刃のアルバトス!!!

 

私は、ターゲットドローンのある空間に飛び込み、槍を構えて激突した。

 

そうすると、そこは、ターゲットドローンごと地面が大きく抉れていて、クレーターになっていた。

 

「「「「な……?!!!」」」」

 

そして次の野営試験においても、私は、四階位魔法でテントに結界を張って寝た。

 

試験官は何もできなかったという。

 

このようにして、私は、試験官の度肝を抜いて、無事に冒険者に戻れた。

 

………………。

 

冒険者として欲しいもの、富、名声、力、その全てが、ザンダー様に頼めば手に入るので、今更冒険者に戻るとか、正直に言ってなんの意味もないのだが。

 

だがまあ、ザンダー様の命令だからな。

 

それに、身分の証明にはなる。全くの無駄という訳でもない、か?

 

 

 

「ザンダー様!冒険者資格を再取得してきました!」

 

「おお、頑張ったな!偉いぞー!」

 

あふぅ……、ザンダー様に撫でられるのは至福の時だな。

 

いつかはザンダー様に認めてもらい、巫女として永遠の命をもらい、永遠にお仕えするのが当面の目標だ。

 

手始めとしてまず、私の身体を捧げようとしたのだが、ザンダー様は、「いや、そういうのはもうちょいお互いを知り合ってからやるもんでしょ」と、若干ピュアなことを仰られた。

 

私も別に、処女ではないのだが、「女の子なんだしもっと身体を大切にしてね……?」とたしなめられてしまう。

 

私としては、神に身体を捧げられるなど、これほど名誉なことはないと思ったのだが……。

 

ザンダー様は、「そもそもなんでそんなに信仰されてんの……?怖……」と仰っていた。

 

私は、というよりも、この世界の人間は、生まれた頃から神話を聞いて、神を尊ぶようにと教育されて育つのだ。

 

巫女や神官になれるのは少ないし、聖人にまでなれるのは極少数。

 

ザンダー様からすれば、そこまで尊敬される理由が分からないとのことだったが、私達、この世界の民からすれば、ザンダー様は、かつて来たりし強大なる邪神を討ち倒した神々の一柱。

 

つまり、私が生きていられるのも、全てはザンダー様達、神々のお陰なのだ。

 

そんな神々に直接お仕えすることができるなんて、私はどれほど幸せなのだろうか!

 

そう言った信仰的な要素を抜きにして考えても、ザンダー様は素敵な美男で、恐ろしいほどに賢く、その上強い。

 

更に、これほどの、遺物級魔導具を簡単に創り出す腕と、相場の十倍の額で売られていた私を奴隷商人から買い取るほどの資金力もあるお方だ。

 

身分の差を抜きにすれば、是非に伴侶となって欲しいと思うくらいだ。

 

 

 

巫女のイリスは、既に、ザンダー様に認められ、永遠の命を得られたらしい。

 

私も見習いたい。

 




ちんちん。

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