ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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力学苦手。


13話 ロボットアニメかよ

「なあリヒト、混沌魔法って何がすげえの?」

 

「背反する属性同士の合成は難しいとされる中、特に正反対の属性である光と闇を一つに合わせるのは至難の技だ」

 

「水と油を混ぜてるみたいなもん?」

 

「まあ、概ねそうだな。光には創造、闇には破壊の力が込められている。それを合成すると、創造でもあり破壊でもある特殊な力場が生成される」

 

「へえ、カッケーなおい」

 

「そしてその力場に触れたものは、再生と破壊を繰り返し、限界を迎え、崩壊するのだ。不死性を持った存在にも有効な強力な力だぞ」

 

「なぁるほどねぇ」

 

プラスのパワーとマイナスのパワーを合成すると強いってことらしい。俺的には逆方向のベクトルを合成したらゼロになるんじゃね?と思ったがこの世界はファンタジー。そういうもんだと納得しておく。

 

「そしてどうやら、ヴィオラの混沌魔法は、魔力の最小単位である魔素を結晶化、液体化、気体化を繰り返し、膨大なエネルギーを発しているようだな」

 

んん、つまり?

 

「相転移砲ってこと?」

 

「ふむ、相転移か。確か前に言っていたな。概ねその認識で構わない」

 

悲報、ヴィオラ、機動戦艦説。

 

『グ、アア……!』

 

恐れ慄くオーガジェネラル。ん?ビビってんのか?そりゃそうか、魔物も生物だもんな。いきなり群れの仲間が皆殺しにされたらビビるか。

 

「ふむ、残りを始末するか」

 

リヒトが杖を翳す。

 

「私が得意とするこの魔法は、貴様の言うプラズマ砲、らしいな」

 

「ああ、そうだな。物質は圧力や温度によって状態が変化して、極めて多くのエネルギーを持つとプラズマになる」

 

リヒトは、莫大な魔力を以って風を創り出し圧縮、プラズマを生成する。

 

「私はこの魔法をユリシーズと名付けた」

 

「ハイカラですね」

 

そして魔力でプラズマを拡散しないようにまとめて、ビームとして放射する。

 

ロボットアニメのビーム砲のような光線が、オーガジェネラルの脳天を焼き切る。

 

『ピギッ』

 

「とんでもねえな」

 

「私は貴様の触手の方が恐ろしいがな。前に思い切り振り回した時、火を吹いて爆音を鳴らしただろう」

 

「ありゃ触手の先っちょが音速の十数倍近くになって空気の圧縮と粘性摩擦で高温を発して、衝撃波で爆音が出ただけだろ?」

 

「ふむ、貴様は私と違って広い知識を持つな」

 

「いや機械工学とか力学とかはエロ触手を作る過程で、エロ触手ロボでもいいんじゃないかと思って手を出しただけだから専門ではないんだがね」

 

「だが馬鹿だ」

 

 

 

転移魔法でギルドに帰還した俺達。

 

「報告すっかあ。確かオーガの討伐証は角だったな」

 

俺が頑張って覚えた収納魔法で、手元にオーガの角を複数出す。

 

「これでいいっすかね」

 

「え?も、もうですか?さっきギルドから出て行ったばっかりじゃないですか」

 

「終わりましたよ」

 

「その、疾風の翼さん達に聞きたいんですが、不正とかは……」

 

「………………いや、なかった」

 

渋い顔をして呟くリーダーの剣士。

 

「その、どうやってこんな時間でオーガの討伐を?」

 

「……分からない。転移して、見たことのないスキルと魔法で一瞬だった」

 

「分からないって……」

 

「だが、オーガの巣を破壊してきたのは事実だ……。Aランク相当の力はあると僕は思う」

 

「オーガの巣ですって?!そんなのAランク相当の案件ですよ!!」

 

「僕だって認めたくない、でも、本当に強いんだ……」

 

などとやりとりする間に割って入る。

 

「で?次は?」

 

「は、はい、疾風の翼さん達と模擬戦になります。ギルドの裏の空き地を使って下さい」

 

「うーっす」

 

俺達はぞろぞろと外に出る。

 

「ま、待ってくれ!こんな奴らと戦ったら命がいくつあっても足りない!」

 

「あ、大丈夫、加減すっからさ」

 

「離してくれェ!!!」

 

俺は剣士の襟首を掴んで空き地へ行った。

 




必殺技名は俺のセンスのなさが爆発します。

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