パクってないですー!
たまたま似てただけですー!
決して俺の趣味とかじゃないんでー!!!!
俺の目論見は当たり、冒険者のコスプレをした俺達は、普通にダンジョンに入れた。
やはり、元冒険者のサルビアのアドバイスが良かったな。
検索エンジンのグルーグでグルって、色んなファンタジーゲームの服装を見せて、「これとかどう?」って提案したら、サルビアが、「これとか見たことがあります、これは割といます」とかって教えてくれたから、装備を簡単に用意できた。
用意した装備を着れば、俺も冒険者に化けられた。
さあ!ダンジョンへ!
一階層。
ここから三層まではゴブリンしか出ない。
この時代のゴブリンは、女を攫って孕ませて増える邪悪な魔物らしいが、俺の時代では、ゴブリンは弱過ぎて、ゴキブリの方がすばしっこくて怖いなどとと言われていた。
そんな、ゴキブリ以下のゴブリンとか、相手にする価値とかあるか?
特に問題なく、一時間ほどでゴブリン階層を突破。ドロップアイテムは特になし。
この階層のモンスターは、討伐証を持って帰ってきても大した額にはならない。
確かに、ダンジョンでは、あまり長期間人が入らないと、スタンピードが起きてダンジョンからモンスターが湧いて出る。
だから、間引きも重要な仕事なのだが……、それでも、最弱のモンスターの一角であるゴブリン程度は、一体退治しても三千ドグラマにもならない。大銅貨3枚いかないくらいだな。
まあ、害獣駆除にしてはそこそこもらえるのかもしれないが、怪我でもすれば赤字らしい。
「休憩は?」
「不要、です」
とのことなので更に進撃。
ファンシーパラダイスパークの公式サイトの攻略情報によると、四〜六階層はコボルトとウルフが出るらしい。
奇襲に注意!とあるな。
まあ、余裕だろう。
この程度のモンスターなら、小学生でも殺せる。
「ほい」
俺が四階位魔法ライトニングボルトを放つと、コボルトの群れが消し飛んだ。
「「「「うわあ……」」」」
一般通過冒険者共がドン引きしているが、俺はこれをスルーして進む。
五階層ごとにボスが出るが、五階層のボスはハイコボルトだった。
七〜十階層には、スケルトンとゾンビ、ゾンビウルフが出る。
毒攻撃に気をつけよう!と公式サイトに書いてあるな。
「はい」
四階位魔法、光属性のホーリーレイをぶちかまし、アンデッド共を焼く。
毒薬をドロップしたので、一応拾っていく。
十階層のボスはブラックスケルトン。雑魚。
さて、そろそろ昼休憩にするか。
この人工ダンジョンには、五階層ごとにセーフエリアがある。
もしも今も正常にダンジョンサービスが機能していたならば、空間制御装置により、広々とした空間に、仮眠室と売店が建ち並んでいただろう。
しかし今は、空間制御装置がイかれていて、ただ単に、キャンプ場ほどにだだっ広い、モンスターが湧かないだけのセーフエリアが広がっている。
おっと、因みにだが、この人工ダンジョンは、数階層ごとに景色が変わるようだ。
ゴブリンの層は単なる洞窟だったが、コボルトの層から草原になっている。
このセーフエリアも、草原と川がある。川に魚などはいないようだが、検査してみると、川の水は飲めるようだ。
水発生器と浄水器とかは生きてるんだな。
ん……?待てよ?
じゃあ何で、地上の上下水道は無くなってるんだ?
古代アース人の衛生システムは、三千年過ぎたくらいじゃ壊れないはずだ。
何者かが壊した……?
いや、でも……、そうとしか考えられない。
いかに、アース外生命体の空襲を受けたと言っても、ここまでインフラが壊れるものなのだろうか?
分からないな……。
まあ、それはさておき。
「飯にしよう」
俺は料理はほとんどできないが、料理を作れるマシンは作れるのだ。
「と言う訳で、アルフレッド!」
「はっ、かしこまりました、ご主人様」
万能執事アンドロイド、アルフレッドにお任せだ!
「メニューはいかがなさいますか?」
アルフレッドが尋ねてくる。
「イクスランド様、いつもみたいに、物質創造装置は、使わない、ですか?」
イリスがそう言った。
「ん、人目もいっぱいあるしね、パッと料理出すと怪しまれるじゃん。それに、折角のキャンプなんだし、キャンプ飯が食いたいよね」
「そう、ですね」
メニューは……、どうしようか?
「おすすめは?」
「ダンジョンの中は少々肌寒いですから……、温かいスープなどはいかがですか?」
ふむ、スープ。
「クラムチャウダーが食べたい」
「かしこまりました。その他はいさがなさいますか?」
「うーん……」
俺が迷うと、アルフレッドは、差し出がましくない程度に助言をしてくる。
「では、鮭のムニエルと、ブロッコリーとエビのアーリオオーリオで魚介尽くしと言うのは?ガーリックパンも添える形で……」
「おお、良いね!それで行こう!」
決定!
俺は、フレズの脇腹にある革製のベルトから、ペットボトルほどの大きさの鉄の円柱を取り出した。
「あの、それはなんですか?」
と、聞いてくるサルビア。
「ん?これはね、インスタントキッチンとインスタントテーブルだよ」
「どのような遺物なのでしょうか?」
「大したことないよ、ここをこうすると……」
俺は、円柱の上部の、ゴムに覆われた部分を回して引っ張り、円柱を地面に置く。
すると……。
『展開シマス。指定エリアカラ、離レテクダサイ』
キッチン、椅子とテーブルが現れた。
「な……?!!」
「要するにアレだよ、あの円柱に、このキッチンやテーブルやらを圧縮して入れてあるってだけのチャチな道具だね。再利用もできるから、キャンプとかでよく使われてたよ」
発明したのは俺じゃないけど、このインスタントキッチンとインスタントテーブルは、一応、俺の研究所の製品だ。アウトドア用モデルだぞ。
「こ、この煮炊き場の火は、薪もないのに火が出るのですか?」
「あー?小型のエーテルドライブユニットつけてるから、理論上は永遠に火が出せるぞ?」
「永遠に……」
「んで、ナノマシンで保守されてるから、永遠に壊れない」
「壊れない……」
ドン引きしているサルビアをよそに、料理を始めるアルフレッド。
「あ、あの……、申し上げにくいのですが、このインスタントキッチンとインスタントテーブルと言うものは、明らかに異質です」
とサルビア。
「え?これが?ただの空間圧縮でしょ?」
「概算ですが、このインスタントキッチンというものは、王家にも売れます……、それこそ、大金貨で」
千万ドグラマ単位?
嘘だろ、これ、五万ドグラマだぞ……。
そして三十分後。
「できましたよ」
「はいよ、いただきます!」
「「いただきます!」」
「あ、怪しまれないように、アルフレッドも食っておけ」
「分かりました」
と言う訳で、四人で食事。
フレズの餌は一日一回でいい。
「うん!美味いな!」
「美味しい、です!」
「……いや、その、ですね?ダンジョンに牛乳や魚介を持ち込むとか、あり得ないですからね?!まあ、凄く美味しいですけど!!」
大人気だ。
「でも、現代っ子の俺はこれ以上生活レベル下げたら死んじゃうし……」
「は、はあ、そうですか……」
ん?
「なんか他の冒険者に見られてないか?」
「それはそうでしょう……、こんなに美味しいものを、ダンジョンの中で食べているんですから……」
ははーん?
つまり、嫉妬か。
君のデブは止まらない、加速する!