活動報告かツイに投げてくれー。
ファンシーパラダイスパークの大お化け屋敷、ファンタジー迷宮、二十二階層にて。
俺達、『スペリオル』パーティ(俺が今命名した)は、銀級冒険者パーティ『ハイルクラオト』と合流した。
今日は一日中歩いてたので、俺は歩くのに飽きてエアバイクに乗り始めたのだが、ハイルクラオトの女魔導師が突っかかって来たのだった。
「ぐぬー!ムカつくー!」
「いやいや、ほら、俺を見てくれよ。細くて運動苦手そうだろ?もう歩けないんだ、勘弁してくれよ」
「私だって正直キツイわよ!」
「いやー、逞しそうな見た目してるし大丈夫でしょ。がんばれ、がんばれ」
「ぐぬぬーっ!」
いやあ、俺はほら、肉体派じゃないし。
ぶっちゃけ、俺のナノマシンとインプラントだらけのこの身体だと、ぶっ通しで丸一年くらいは歩ける自信があるけど、そんなのは気分的に疲れちゃうじゃん?
精神衛生って大事だよな。
お、モンスターだ。
「みんな、気をつ」
男魔法軽戦士のリーダー、ローゼルが何か叫んだが、俺はその前に、電脳リンクシステムに『俺がやる』と言っておく。
それにより、俺のパーティメンバーの、イリス、サルビア、アルフレッドに即座に連絡できる訳だな。
そして俺は、魔法式インターフェースを開き、網膜投射されるARFCS(Augmented Reality Fire Control Systemつまりは、拡張現実火器管制システム)を使って遠方のモンスターをロックオン。
七重並列した四階位魔法、ウォーターランスを指定区域に発生させ射出する訳だな。
ここまで0.1秒もかかっていないし、電脳のCPUの負荷も0.00001%もない。
現れたサンドゴーレムは全て破壊された。
「……けて、って、ええ?!」
「ん?なんか言った?」
いきなりぶっ飛んだサンドゴーレムを見て驚いているようだな。
「な、何をしたんですか?」
「え?普通に、ウォーターランスを七重並列して使っただけだが?」
イキってみた。
よく分からんが、◯◯しただけなんだが?と、ドヤらないでサラッと言うのがポイントらしい。
ネット小説で見た。
「な、七重並列……?!!」
「う、嘘よ!マルチプルマジックはトリプルで限界のはずよっ!仮にできても、四階位魔法のウォーターランスなんて七重にしたら、すぐにマナダウンで倒れるわ!そもそも、人間の脳ではそんな演算力は……!」
んー、そんなん言われましても。
あ、そうだ。
俺は胸元を開く。
「これ、なーんだ?」
俺のナノマシンのロゴと製造番号……、この時代の人間に言わせると、聖人の証である『聖痕』を見せつけてやる。
「そ、それって!まさか!」
「せ、聖痕……!」
「まあ!聖人様だったのですね!」
女僧侶が尊敬の眼差しを向けてくる。
「そうそう、俺は聖人なんだよ」
「むむむ……、確かに、聖人は、六階位の魔法を使った人がいるとも聞いたことがあるわ。それなら、これ程の魔法が使えてもおかしくはない、のかも?」
女魔導師が言った。
理解したか?
ん?
女魔導師がまだ何か言いたげだ。
「どしたの?」
「……その、ごめんなさい。アンタのこと、嘘つきだと思ってた。本物の賢者なのね。我流でそこまで極めるって、その、本物の天才、だわ。悔しいけど……」
「いや、良いさ」
なんだよ、可愛いとこあるじゃん。
でも脈無しだな。多分、俺の読みでは、この女魔導師は、リーダーの男魔法軽戦士といい仲だと思う。見てると、距離が近いのがわかるからな。
さて、腕時計を見ると、今は午前11時だ。
そろそろ昼飯時だし、パパッと移動してセーフエリアまで行こうかな?
いや、そんなに急ぐ必要もないか。
俺は喉が渇いた気がしたので……、実際、ナノマシンとインプラントで水なんて殆ど要らないのだが、砂漠ともなると流石に水分が欲しいから、ヴァルディの会社で販売されてた清涼飲料水『リヴィエール ビタミンプラス』を物質創造装置から創り出す。
生分解性プラスチック製の500mlペットボトルに入ったスポーツドリンクだ。
これを、パーティメンバーに投げ渡す。
「「「ありがとうございます!」」」
全員、水分補給タイムだ。
アルフレッドも有機アンドロイドで、生体部品を使っているし、水分補給はしなくてはならない。
うーん、美味いな!汗をかいた時に飲むスポドリは美味い!
ん?
「むぅ……」
女魔導師がなんか言いたそうな面してるな。
「どうした?女魔導師?」
「リンデンよ!……また自分ばかり水を飲んでるから、羨ましかっただけ!」
と、言って顔をそらす女魔導師。
ふーん?
俺は更にリヴィエールビタミンプラスを創り出して、それをクーラー袋から取り出したように見せかける。
「ほーれ、これが欲しいかー?」
「アンタねえ!そういうのは良くないわよ!確かに、貴重な水を分けてもらえるなら助かるけど、そういうやり方は……!」
「じゃあ普通にあげるよ、仲間と分けなよ」
六本のドリンクを渡す。
「え、あ、ありがとうっ!みんな!水を分けてもらったわ!」
「ええ?!良いんですか?!」
「ありがとうございます!」
「ありがとな!」
「お気遣い、有り難く……!」
「ありがとアル!」
なんか、スポーツジムに差し入れしたみたいになってる?
「わ、これ、美味しいっ!冷たくって、砂糖とレモンが入ってる!」
「本当だ!」
「大変美味しいです!」
「んー、甘さが疲れた身体に染み渡るぜぇ!」
「ほう?塩気も少しあって、そこがまた」
「んー、これは、蜂蜜じゃなくて、果実から精製された果糖アルナ。これ一杯で大銅貨一枚はするアル」
俺は俺さえ良ければ良い。
しかし、下々の民に施しをするのも、中々の愉悦である。
「デザートハイエナの群れだ!」
お、次はデザートハイエナ十体か。
電脳ネットワークから、イリスの声が。
『お任せください』
とのことなので、悠然と構える。
すると、イリスは、両腰のサブマシンガンを二挺、アキンボする。
サブマシンガンは、『X&V SMG S9 Special Custom』だ。
ザンダーアンドヴァルディ社と言う、俺とヴァルディが立てた軍事用品の製造販売をする企業の製品で、その中でも最新式のS9型!更に更に、それのスペシャルカスタム版となれば、Cランク民間用武装だろうな。
普通の鉄剣などのおもちゃとは違い、古代アース人に危害を加えられるものを民間用武装と定義し、軍用として使える武装を軍用武装と定義する。
すると……。
ゴミ=この世界の一般的な武器
ゴロゴロコミックの付録=この世界の一流武器
Eランク民間用武装=国宝級武器
Cランク民間用武装=神器
って感じだな。
つまりは、こんな低ランクのモンスターは、民間用のSMGでバタバタ死ぬよってことだ。
パンパンパン、モンスターは死んだ。スイーツ(笑)。
唖然とするハイルクラオトを余所に、俺達は進撃する。
野菜炒めにキクラゲ入っててキレてる。
キクラゲはやめろっつってんだろ?