ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ワーウルフには唇がないので、唇を使う発音はできません。

あとこの世界のワーウルフは犬耳人間とかじゃなく、ガチの人狼です。




閑話 迷い人達 後編

集落は、遊牧民?モンゴルとかそんな感じ?だった。

 

ワーウルフは、全身毛むくじゃらで、狼の顔と爪、そして尻尾があって、やや前傾姿勢でのっしのっしと歩く。

 

身長は大体190cmはあるんじゃないかな?

 

中には、腰や首に布を巻いていたり、腕輪や足輪をしていたりする人?もいる。

 

私達を捕まえてきたワーウルフ達は皆、腰に布を巻いて、鉈のような剣を腰の後ろに差していた。

 

「ウォォーーン!!!」

 

ワーウルフの一人が遠吠えする。

 

すると、少ししたら、二、三人の、腕に布を巻いたワーウルフが奥から現れた。

 

そのうち一人が話しかけてくる。

 

「ニンゲン、コンニチワ」

 

「あ、はい……?コンニチワ……?」

 

「ワン」

 

ワンじゃないけど?

 

『聞いてくれ、ガオン。この女は凄いぞ、ナイフ一本で戦士隊相手に大暴れ、最後は引っ掻いて噛み付いて暴れ回った。勇敢だ、勇敢な戦士だ。是非もてなしてやってくれ』

 

私を抱えているワーウルフが何かを言った。

 

『成る程、分かった。しっかりもてなそう。ここで何日か疲れを癒してもらった後は、天海街までお前達が案内してやってくれ』

 

目の前のワーウルフが何かを答えた。

 

ワーウルフ語があるってことかな……?

 

つまり、喋れるんだ。

 

「ワン!オレ、ガオン。ケンジン。ニンゲン、ヤスメ」

 

ガオンと名乗ったワーウルフは、私を抱えて、集落の奥へと進んだ。

 

あの、私、荷物扱い?

 

 

 

集落の広場に集められた私達は、ガオンさんに話をされた。

 

「ニンゲン、ヤスム。ニンゲン、ヨワイ」

 

弱いから休めと言ってるのかな……?

 

「ェシ、ツクル。ニンゲン、ェシ、クウ」

 

食べ物をくれるのかな……?

 

「あ、あの、私達、食べれないものもありますから……」

 

「?ワン、タェ"レナイ、タェ"レナイ、ナァニク、ダェ、ナァィズ、ダェ、ナァザカナ、ダメ」

 

「え?知ってるんですか?」

 

「ワン。イチニチサンショク、ヒヲトオシテ」

 

あ、大丈夫そう……?

 

正直、食料はもう底をついていた。

 

何か食べ物をくれるならありがたいんだけど……。

 

 

 

ワーウルフ達は、ちゃんと私達の目の前で料理をし始めた。

 

かなり大きい鶏の首を鉈で斬り落として、お湯に浸けて羽を抜いて。手早く解体して、肉をぶつ切りにする。

 

薄い黄色の芋?を沸騰した水に入れて。

 

なんかこう、葉っぱをざく切りにして鍋に入れた。

 

それと、塩とハーブを入れて、鍋は完成。

 

それと、川魚の塩焼きもくれた。

 

先割れスプーンと、土器っぽい皿に盛られたスープ。

 

あ、いい匂い。

 

いけそう、かな?

 

「クエ」

 

少し食べてみる。

 

芋は……、さつまいも?いや、じゃがいも……、さつまいも?どっちかわからない味。

 

肉はおいしい鶏肉。

 

葉っぱは……、うわこれ凄い完全にキャベツ?!

 

それとなんかハーブっぽい匂いと普通の塩気。

 

……普通に美味しい。

 

「な、夏希、お前な、何が入ってるか分からないものを……」

 

「いやでも、残したらワーウルフさん達が怒るかも……」

 

「む……、それもそうだな」

 

でも、久しぶりに温かい食べ物を食べられた。

 

それと、川魚の塩焼き。

 

多分鮎だよね、これ。

 

美味しい。

 

魚なんて、何ヶ月ぶりだろう。

 

気付いたら、みんな泣いていた。

 

ホッとしたんだ。

 

そして、温かいものが食べれるなんて、こんな幸せなことだったのかと。

 

「?!ケガ?!ナク?!」

 

ロイガさんは、突然泣いた私達を心配してくれた。

 

それが、ちょっとおかしかった。

 

 

 

「ノェ」

 

怪しげな白っぽい液体を渡される。

 

……なにこれ。

 

「「「「ガーグガーグガーララ、ウルゥーララルララー!」」」」

 

明らかにテンションが高いワーウルフ達。

 

……あ、お酒?!!

 

「わ、私、未成年なんだけどなー」

 

「ノェ」

 

あっはい。

 

「ん……、んー?あれ、薄い……、ような?」

 

数時間ほどで、殆どのワーウルフは酔い潰れた。

 

えー……?

 

 

 

私達が食事と酒を飲まされるのを終えると、ガオンさんは私達をそれぞれ、家族ごとに家に案内した。

 

「ネドコ」

 

毛皮で出来た大きなテントみたいな家だった。

 

中にも毛皮が敷かれている。

 

「ネロ」

 

「あ、はい」

 

「フトン」

 

指を指した先には、タオルケットのようなものが。多分、崩壊した人間の街から取ってきたんだろうな。

 

「おやすみなさい?」

 

「?ワン」

 

おやすみなさい、の意味は分かってない、と。

 

まあいいや、取り敢えず、寝よう。

 

 

 

次の日も、朝日が出る頃には起こされて、ワーウルフのよく分からないけど結構美味しい料理を食べさせられて、また広場に集められた。

 

ワーウルフの見た目はみんな一緒だからイマイチ分からないけど、多分、昨日話したロイガさん?と思われる人が話し始めた。

 

「カワ、コエル。カワ、コエル。カワ、カリュウ。チヴケン、ハシッコ、アァィァチ」

 

「……え!」

 

千葉県、端っこ、天海?街……!!

 

「そ、そこに人間がいるんですか?!!」

 

「アァィァチ、ニンゲン、タクサン、タクサン」

 

「人間が沢山いるんですね!」

 

「アァィァチ、オンセン、イイ、ェシ、イイ」

 

「食べ物もあるんですね?!」

 

「ワン!ェシ、アル、シゴト、アル」

 

良かった……!!

 

 

 

それから、天海街へ案内してくれると言うワーウルフ達に連れられて、歩く。

 

百キロメートルくらい歩いたかな……、太っちょのパパも今回の事件で若い頃みたいに痩せちゃった。

 

すると、刑務所みたいな柵と門がある街へとついた。

 

「ここが、天海街……」

 

鉄の門の前には、槍を持った人間が。

 

「あ、え、に、人間?避難民か!お前、署長を呼んでこい!」

 

「あ、はい!」

 

そして、一時間程外で待たされる。

 

すると。

 

「うむ、門を開けてあげなさい」

 

門が開き、中に入る。

 

「こんにちは、私は天海街の警備隊の隊長、伊藤です」

 

「あ、あのっ!」

 

私は思わず声を上げる。

 

「あ、天海街は、平和なんですか?」

 

「ええ、食料の生産と狩猟、そこにいるワーウルフさん達との交易も盛んですよ」

 

私も含めて、みんなが安堵の表情を浮かべる。

 

良かった……。

 

「しかし、しっかりと働いてもらいます。働きもしない人を養う余裕はありません。それは良いですね?」

 

「はい、もちろんです」

 

でも、働くって、何を……?

 

「主に農業や漁業、力に自信があれば警備隊の方へ来て下さいますとこちらとしては大変喜ばしいですね」

 

あ、そんな感じなんだ。

 

酷いことを言われたりしないで良かった……。

 

「ですが、まあ、天海街のリーダーの羽佐間さんがあまり働いていないので、基本的に労働は厳しくはありません。皆で協力して、生き抜きましょう!」

 

「はいっ!」

 

 

 

羽佐間さんかぁ。

 

どんな人なんだろう?

 




最近忙しい。

今度また東京行きます。

駅が混むから東京は嫌じゃ。

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