ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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他のも書きたいところ……。


33話 アーノルド・ガルシアの場合 その5

約一ヶ月の間に、四千人程の若い男女を使って、ハリアルシティの主要道路にバリケードを築いた。

 

ハリアルシティには六千人程いるが、その中でも二千人くらいは老人、障害者、乳幼児とその親で、バリケード建設は手伝わせることができなかった。

 

それでも、四千人もいれば、作業も早く済む。

 

バリケードと言っても、簡易的なもので、適当な建物から持ってきた家具や、壊した建物の残骸なんかを主要な大きい道路にばら撒いただけさ。

 

それでも、基本的に知能の低いモンスターなら、態々バリケードを越えようとは考えないらしく、有効だ。

 

ゴブリンくらいなら軽い針金の柵で入ってこれなくなるし、二十レベル帯域のモンスターでも、肉食モンスター(モンスターは雑食だが、種類によって好みが違う)でもない限り積極的に侵入してくることはない。

 

周辺の危険なモンスターが湧くダンジョンは既に破壊済。

 

そして、レベル上げをした自警団「ヴィジランテ」は元軍人、元警察官、元格闘家などの集まりで、スキルを数個所持している。そんな彼らが定期的に街を見回りしている。

 

食料と水は定期的に配給している。

 

もちろん、僕は働いていない。重いもの持ったりするのは労働者の仕事でしょ?僕、知的階級だからそういうのじゃないんだよね。

 

だけど、最低限の仕事と……、指示は出さなくちゃね。

 

経営者の仕事は指示を出すことだよ。

 

まず、裁縫に自信がある人、理髪店員、料理人など、スキルがある人をそれぞれのスキルに見合った仕事を割り振る。

 

ローラが住民票をエクセルで作っていたので、それを利用して住民の管理を行う。

 

逆に、プログラマーや公務員、デザイナー、運送業者、ドライバーのような、この状況においては役に立たない人々は、一律農家や酪農、家畜の世話を手伝わせる。

 

元ニートだろうが学生だろうが働いてもらうぞ。今の人類に何もしない奴を養う余裕なんてないんだ!と強弁。

 

……尚、僕は何もしてない模様。

 

 

 

そして、食料の生産も始まった。

 

元々、パパとママ、親戚の人達には、過剰なほどに野菜や穀物、家畜を育ててもらっていた。

 

それを解放する。

 

また、ヴィジランテに指示して、近隣のダンジョンにいるブラックブル……、レベル24の牛型モンスターを狩ってきてもらう。

 

ブラックブルは食べられるモンスターなので、洋館の前で解体して、農場の野菜と共にバーベキューにする。

 

うん、そのね、アメリカ人、バーベキュー大好きなんだよね!

 

洋館の近くには、色々と不安だから家に戻りたくないという人達、洋館の倉庫を改造して作ったヴィジランテの詰所や仮設住宅などがあり、多くの人々集まってきてバーベキューに参加した。

 

バーベキューは三日ほど続き、代わる代わる現れた街の人々が全員楽しんだ。

 

良いガス抜きになったみたいだね。

 

これからも定期的にブラックブルを狩るようになり、牛肉が食べたい人は洋館の前に集まる、みたいな形になっていった。

 

何せ冷蔵技術がないからね、生ものはここで消費しないとならない。

 

また、ブラックブルは干し肉にも加工され、多くの人に楽しまれた。

 

パン焼き釜も大きなものを作って、パンも焼き始めた。

 

たまたま、うちの農園から出荷する予定だった麦が残っていたからね、うん。

 

もちろん僕があらかじめ、ある程度の麦がここに残るように調整していたんだけど。

 

まあ、食料事情が良いのは最初の数年だけだよ。

 

生ものの缶詰は二、三年しか保たないからね。

 

他はフリーズドライばかりさ。

 

だから、二、三年の間に、食料の安定供給を目指さなければならないね。

 

と言っても、麦はたくさん育てている、塩は近くのグランドサリーンという土地で岩塩が採れる、肉はブラックブルがいる、野菜はそれなりに育てている……。車で行けるくらいの地点には海もある。

 

順当に行けば、自給自足が可能だね。

 

途中、ヴィーガンとか言うふざけた奴が食料について駄々をこねたり、動物愛護なんちゃらみたいな連中がモンスターを殺すなとか言い始めたけど、じゃあ追放するか?と聞いたら大人しくなったよ。

 

まあ、結局、人間は追い詰められれば泥水を啜り虫けらをも口にするし、親しい人間だって殺すだろうね。

 

薄皮一枚の下は真っ黒さ。

 

だからこそ、その皮をいかに分厚くできるかが人間性ってものだと僕は思うんだけどね。

 

……兎に角、この調子で農地を開拓していけば、最低でも食料は自給できるだろうね。

 

 

 

そうやってしばらくの間、気楽に暮らしていた。

 

現段階でも、一般市民には無理だが、命の危険があるヴィジランテや、仕事を頑張っていると評価された者、もしくは僕には、食料の優先配布があるので、基本的に僕達は毎日ピザやハンバーガーを食べられる。

 

と言っても、世界がこうなる前のジャンクフードよりは多少は味が落ちるし……、スシや和食なんかは食べられない。

 

まあ構わないけどね。

 

僕はアメリカ人だ。ハンバーガーとポテトフライ、そしてサラダとナゲットがあれば平気さ。

 

惜しいのはコーラが飲めないことだけど……、こっそりタツからもらっているからね。

 

一週間に一回、ダンジョンに行くと言って出かけるふりをして、魔導書やスクロールを作ってくるんだけど、その時に友達と会っているんだ。

 

まあ、みんなで防音の部屋とか、山のキャンプ場とかに集まって、良い酒を飲みながら、つまらない話を言い合ったり、TRPGやテレビゲームで遊んだり、街のデータを見せ合ったり、物資をもらったり、いろいろね。

 

もちろん、人目は避けているから、密会についてバレることはない。

 

近頃はみんなで大量に果実酒を仕込んだ。

 

これは僕が飲むやつだから。

 

誰にもあげないよ。

 

えーと、梅、リンゴ、すもも、杏、レモンにイチゴなんかを仕込んだ。

 

飲み頃になったらみんなで飲む。

 

余ったらアイテムボックスに保管すれば、いつでも飲めるし、駄目になったりもしないしね。

 

余っている、人のいない地下室にこっそり置いておいて、飲み頃を待とう。

 

その時はみんなで美味いものを食べながら飲むって約束になっている。

 

その時がとても楽しみだ。

 




ほんへの書き溜めは何本かあるんですが、思いつき集の方は書き溜めがないです。

俺は何を書けば良いのだ!!!

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