ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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風邪かもしれない。


57話 帯広雪祭り

最近まで嫌ってほど暑かったのに、今はもう、段々と冷え込んできている。

 

女心は秋の空なんて言葉があるが、俺としては、女心よりも秋の空の方がよっぽど分からんな。女心はそれなりに分かるんだがな。

 

このまま放っておけば、来月にはジャンパーを羽織らなきゃいけなくなるだろう。

 

そんなこんなで、冬に向けての準備を始める。

 

冬。

 

冬になれば何が必要だろうか。

 

まず第一に、保存食だ。

 

実りの秋にたくさんとれた食料を、保存食にしなければならない。

 

確かに、ダンジョンを利用して作ったダンジョン農地のお陰で、冬の間も野菜が取れるが、それでも備えることは重要だ。

 

ダンジョン農地は広大だが、もしかしたらいつか使えなくなるかもしれない。保存食はどの道必要である。

 

第二に、暖房だ。

 

冬の寒さに耐えるための暖房が必要だ。

 

当然、薪割りなんてやってられない。

 

火の魔石と、雷の魔石発電によるヒーターで解決するつもりだ。

 

それと、布団や毛布、暖かい服も。

 

そして第三に、暇潰しの手段である。

 

これは一応あればいいなという程度の話だ。

 

 

 

秋。

 

秋の天海街は、活動時間が短い。

 

朝起きて、午後五時前くらいには皆家に帰る。

 

冒険者や衛兵警察以外は、暗くなったら出歩かないのだ。

 

何せ、明かりが貴重だからな。光魔石のランプもあるが、なるべく節約するものだ。

 

その分、住人達は早起きして、仕事に励む。

 

集まってやることは、保存食や服を作ることだ。

 

冒険者達が狩ってきたブラウンボアやビッグホーンの肉を、薄切りにして干し肉にしている。

 

瓶にピクルスを詰めて軒下に並べる。

 

ビスケットを焼いておく。

 

根菜類などの長持ちする野菜をストックする。

 

干し魚や凍み豆腐などを作る。

 

干し椎茸なんかもある。

 

例え雪が降らずとも、寒いものは寒いし野菜を作れないのも確かだ。

 

天海街、崩壊後初めての冬。

 

どうなるのだろうか。

 

 

 

一方、俺達は、雪が降ったので北海道で雪合戦して遊んでいた。

 

「そりゃ!」

 

「うわーーー!!!」

 

「死ね!」

 

「うわーーー!!!」

 

「む……」

 

「うわーーー!!!」

 

アーニーに雪玉をぶつけて遊んでいる俺達。

 

「僕の扱い酷くないかな?!」

 

「こんなもんだろ」

 

一通り雪遊びして飽きたので、全員でかまくらを作り、餅を焼いて食べた。

 

だが、俺達は思った。

 

「「「「折角雪降ってるのに、雪をエンジョイしてるのが俺達しかいねえ!!!」」」」

 

「参ったな、僕、一度でいいから雪祭りを見たかったのに」

 

アーニーが言った。

 

むむむ……、こうなったら、こうだ。

 

 

 

まずは、天海街、ハリアルシティ、ヴァイスベルグを、『ディメンションゲート』がエンチャントされたドアで結ぶ。

 

ついでに、北海道行きのディメンションゲートも設置して、北海道に無理やり人を呼ぶ。

 

そして……。

 

「札幌……、は滅んだので、この帯広で雪祭りをやります!」

 

そう言うことになった。

 

もちろん、普通にやったんじゃ参加者は集められない。

 

ならばこうだ!

 

「祭りは十三日間!その間、来場者の食事を無料支給してやる!」

 

「そして、優勝者からトップテンには、食料品を始めとする、豪華商品を用意したよ!」

 

「十日間で氷像を作り、三日かけてどの作品が最も美しいかアンケートを実施するわ。それで順位を決める感じね」

 

「む……、冒険者も、奮って参加してほしい」

 

 

 

そんな訳で、暇な道民と冒険者達による、帯広雪まつりが始まる……!

 

初日、近所のババア衆を呼び寄せて餅入り豚汁バター七味とうがらし付きを大鍋複数で作る。

 

思ったより人が集まった。これは期待できるな。

 

どうやら、札幌からの避難民や、帯広の道民は、世界崩壊前に雪祭りをやるつもりだったらしく、あらかじめデザイン画があったみたいだ。

 

冒険者達はバラバラの行動で右往左往している。

 

二日目は下準備だった。

 

バター付きカレーうどんで腹を満たした道民と冒険者は、雪を固めて準備していた。

 

やはり、デザイン画も既にあり、雪祭りに慣れている道民は強い。これに対して、冒険者達は一致団結することにより対抗するつもりらしい。

 

冒険者はなんだかんだ言っても層が厚い。元デザイナーの魔法使いがデザイン画を描いて、元建築業者の戦士が巧みに雪を切り分けている。

 

三日目は、雪の切り分けが始まっていた。

 

味噌バターコーンラーメンをすすりながら、雪を切り分ける参加者達。

 

四日目。

 

祭りだと聞きつけて、近隣住民が集まってきた。

 

鶏団子ごろごろすいとん中華スープが無料だからと言って、多くの人が食べにきた。

 

その近隣で、焼いた干し肉や魚、チーズなんかを売り始める人が現れた。

 

酒も売られ始めたので、急遽、手の空いてる冒険者を雇って会場の警備をさせる。

 

これくらいの金はある。

 

五日目、会場の警備を、遅れてきた北海道警察に任せる。

 

警官達も、警備もそこそこに、長ネギワンタンスープをすすりながら、久しぶりの祭りの雰囲気を楽しんでいた。

 

六日目。

 

田舎風ポトフのソーセージにかじりつきながら、雪像の大まかな形を作る参加者。

 

酒が入っているが故に、ちょこちょこと諍いがあるが、まあ許容範囲内だ。

 

怪我人も今の所いない。

 

七日目。

 

水餃子入り五目スープで温まりながらも、雪像の細部を作り込み始める参加者。

 

幸いにも性格が悪いクズはおらず、他の参加者を妨害しようとするバカはいなかった。

 

平和だ。

 

八日目。

 

魚介たっぷりクラムチャウダーにパンを浸しながら、作業を続ける参加者達。

 

飯が無料だからと言って、仕事を中断して飯だけ食いに来る住民も多数いた。

 

九日目、全体の仕上げ。

 

五目おじやを食べつつ、雪像の最後の仕上げにかかる参加者達。

 

十日目、雪像の完成。

 

野菜たっぷりトマトスープを食べながら焼きソーセージをかじる道民と冒険者は、誇らしげな顔をしている。

 

十一日目、お披露目。

 

ピリ辛サムゲダンで温まりつつ、雪像のお披露目だ。

 

来場者にアンケートボードを持たせて、雪像を見て回ってもらう。

 

道民達は、自分の雪像の隣に、知り合いの飲食店を配置して稼いでいた。

 

狡っからいな……。

 

しかし、これくらいのふてぶてしさがなけりゃ、この崩壊後の世界では生きていけないのかもな。

 

十二日目。

 

与党の議員の一人が現れた。

 

なんでも、たまたま近くに来ていたから寄ったらしい。

 

今回のようなイベントは、経済の活性化と、なによりも住民の息抜きになって、いい事だから来年もやってほしいとのこと。

 

もちろん、食材の費用など、諸経費は国が出すから、是非来年もやろう、だそうだ。

 

俺は別にどうでもいいのだが、やってみて気づいたのは、祭りの運営は面倒だってことだ。

 

次からは丸投げさせてもらうと宣言した。

 

議員は、苦笑いしつつも、ビーフシチューを楽しんで帰った。

 

十三日目、最終日。

 

ピリ辛ユッケジャンスープと肉巻きおにぎりで華麗にトリを飾る最終日。

 

結果の集計をした。

 

結果は……、冒険者グループの優勝だった。

 

冒険者グループは、ファイアドレイクと戦う冒険者の雪像を作っていた。

 

確かに、技術的には道民達に一歩及ばないが、そのモンスターや雪像の冒険者達の躍動感は、実際にモンスターと戦った者にしか出せないものだった。

 

優勝グループには賞金三百万円と中級ポーション詰め合わせセット(大)に米五十キロ。

 

準優勝の道民グループには賞金二百万円と中級ポーション詰め合わせセット(中)と米三十キロ。

 

そんな感じで賞品を渡して、解散する。

 

 

 

総評、楽しかったが、二度と仕切り役はやらん。

 




新世界冒険者編、キャラ考えるのが辛いな。

しばらく、各国の冒険者が天海街に集まってレベル上げしつつ交流して、トップ冒険者間でユウジョウ!ってなる話だと思うよ。そして異世界食堂みたいなノリで喫茶店を開く主人公。

この辺で各国が軍事政権に切り替えられ、無産な共産主義者達は切られる。近畿地方の在日外国人への配給も打ち切られて、在日外国人が大暴れ!日本「軍」再結成で在日外国人を鎮圧。この世界じゃシビリアンコントロールもクソもねえんだよ!!!

その次は、チームクズがそんな冒険者向けに色んな道具やアイテムを売りさばいてウハウハ!って話になるんじゃね?

そして、暇を持て余したチームクズがテレビゲームとか作り始めて、それでまた稼ぐ。

次に、異世界から魔王軍が攻めてくる!頑張れ冒険者!チームクズは傍観。

で、異世界に直接出向く編。

とりあえずここまで。

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