ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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艦娘は出すべきなのが出さないべきなのか。


旅人が行くスーパーロボット大戦Z
第1話 心機一転のスタートライン


いやー、はっはっは。

 

世界中の海を解放し、長かった提督生活に終止符を打った。

 

打ったん、だが……。

 

「「「「提督ー!」」」」

 

「嫌なのォ!着いて来んといてェ!!」

 

「「「「黒井鎮守府一同、御身の前に!!!」」」」

 

艦娘 からは 逃げられない !!!

 

 

 

「勘弁してよォ!!」

 

「提督、次の旅の目的地はどうしますか?」

 

「この、『浮遊巨大要塞黒井鎮守府』に乗って、次元の彼方までひとっ飛びです!」

 

何で何で何でなのー?

 

明石と夕張はノリノリで改造した黒井鎮守府数十平方キロメートルを空に飛ばし、浮遊巨大要塞にした。

 

そしてその要塞ごと、俺の旅について来ると言い張るのだ。

 

当然、俺は反対した。

 

俺は、気ままな一人旅が一番いいと、そう思ったからだ。

 

だがしかし、馬耳東風の何処吹く風で、俺の意見をオール無視して下さった艦娘の諸君は、俺にストーカーの如くついてきたのであった。

 

だが、だが、だが!!

 

嫌なことから逃げさせたら世界一と名高い俺は、艦娘達の包囲網を突破し、適当に転移。

 

別世界へと逃げ込んだのだった。

 

 

 

「いないな?いないな?!よーし、よしよし、一人旅の再開だ!!」

 

ここの世界は、と。

 

うーん、見た限り、俺がいた世界と大差ない感じだな。

 

緑が綺麗で空も澄んでいる。

 

うんうん、良いな。某アーマドでコアな世界みたいに、全てが滅んでたらどうしようと思ってたが、杞憂だったな。

 

けど、この世界のこと何にも分からねーや。ここは一体どういう世界なんだ?

 

「……金がない」

 

おっと、第一村人発見。

 

男なのが些か残念だが、話を聞いてみよう。

 

「なあ、お兄さんよ」

 

「ん?何だ?」

 

「この世界は、どういう世界だ?」

 

「……哲学をやってるって訳じゃねえんだよな?ってことは、時空震動に巻き込まれるかなんかして、この世界にやってきたってことだろ、あんた」

 

時空震動?よく分からないが、こんな質問で真っ当な答えが返ってくる辺り、この世界は別世界を認知しているって事になる、訳か。

 

ダメ元で言ってみたんだがね。

 

「まあ、時空震動ってのはよく分からないが、別の世界からやってきたのは確かだな」

 

「そうか、そりゃあ大変だな。助けてやりたいのは山々だが、俺も忙しいんだよ」

 

そうは見えないけど、何でだ?

 

「……借金があってな」

 

「踏み倒せよ」

 

「そういう訳にも行くかよ」

 

「俺なんて何十億って借金踏み倒してるぞ」

 

「……あんたの世界の貨幣価値が分からんが……、何十億って言うのは、そりゃあ、凄えな」

 

知り合いの金ピカ王に何億も借りて返してねえわ。まあ、あっちも返してもらうことを期待してないだろうし、良いんじゃない?

 

「取り敢えず、この世界の貨幣を手に入れないとな。あんた、質屋の位置とか知らないか?」

 

「知ってるが……」

 

「案内してくれたら、それなりの額は渡すよ」

 

「……分かった、案内する」

 

「助かる」

 

 

 

そんなこんなで、質屋で手持ちの宝石や貴金属を金に換えて、お礼に10G(この世界での貨幣単位はGらしい)ほど金を渡したところで。

 

「さて、どうするかな」

 

「ん、何の話?」

 

「古巣の軍に帰るか、それ以外の食い扶持を探すか……。あんたはどうするんだ、旅人さんよ」

 

「俺?俺は、うーん、お兄さんについてくよ」

 

「俺に?」

 

「お兄さんからは厄介ごとの匂いがするからね、楽しそうだ」

 

なんかよく分からないけど、このお兄さんは世界を巻き込むような大事件の匂いがする。

 

楽しそうだ。

 

「……あんた、ロボットの操縦は?」

 

「うん?ハンドルとエンジンが付いてれば何だって動かせるよ?」

 

「戦闘は?」

 

「銃は苦手だけど、徒手空拳ならある程度は」

 

「そうかい。じゃあ、あんたと気ままな傭兵稼業なんてのも良いかもな」

 

すると。

 

急に現れたゼニトリーと名乗る男が、目の前のお兄さんに借金の催促をし始めた。

 

「借金は必ず返す!」

 

「アテがねえだろっつってんだよ!」

 

ほほー、父親の借金を肩代わりして負債は100万G、ファイアバグなる後ろ暗い過去……。

 

こいつ、面白え。

 

そう確信した俺は押し問答を続ける二人を眺めていた。

 

そして、しばらくして。

 

街の近くで爆発が起こった。

 

「なっ、何だ?!」

 

「これは……!」

 

『我々は、世界解放戦線WLFだ!!』

 

おーおー、名乗りを上げてるねぇ。

 

「お兄さん、何あれ」

 

「近頃売り出し中のテロリストだよ……!」

 

ほーん。

 

その、テロリスト共の言い分は、悪いアクシオン財団なるところの研究所を潰すこと、らしい。

 

「ここにいたら、やばいぜ。とっとと逃げな」

 

「ひ、ひぃー!!」

 

逃げる借金取りのおじさん。

 

「あんたも逃げろ、旅人さん」

 

「いやいや、長い旅の途中、これくらいのピンチは多々あった。これくらいで逃げるかよ」

 

「んなっ……!はぁ、勝手にしろ」

 

呆れた様子のお兄さん。

 

「で、どうすんの?」

 

「研究所とやらに行ってみるさ。使える機体の一機や二機はあるだろうよ」

 

「なるほどな、そいつでテロリストを退治して、一躍有名に、ってか」

 

「そんなことは考えちゃいねえさ、ただな」

 

「ただ?」

 

「ああ言う連中は、気に食わねえんだよ!」

 

そう言って、研究所に駆け出すお兄さん。と、それを追う俺。

 

 

 

研究所にて。

 

「何だい、あんた達」

 

金髪に眼鏡の美しい女性が、そこにいた。

 

「こんにちは、綺麗なお姉さん。俺と食事にでも行かないか?」

 

「……は?こ、こんな時にナンパかい?」

 

「馬鹿言ってんじゃねえぜ、旅人さんよ!」

 

いやいや、いついかなる時でも美人は口説くだろ、常識的に考えて。

 

「何か使える機体はないか?」

 

とお兄さんが金髪の博士っぽいお姉さんに交渉を始めた。

 

すると、緊急事態と言うこともあり、話は早くまとまって……。

 

「ははは、気に入ったよ!どうせやられちまうんなら、あんた達みたいな馬鹿に任せてみるさ!」

 

機体を借りられることになった。

 

「でも、機体は一機だけだよ。どっちが乗るんだい?」

 

「俺が乗る」

 

俺が言葉を発する前に、お兄さんが名乗り出た。

 

「じゃあ、俺は自前の機体を使うよ」

 

「自前の?そんなもんどこに……?」

 

俺は、懐から取り出す。

 

こんなこともあろうかと、工廠で作ってもらっておいた、俺専用のスーパーロボット。

 

「なっ、一体どこから……?!」

 

 

 

「アルトアイゼン……、俺の機体の名前だ」

 

 

 

お兄さんの機体はブラスタ。VXなる特殊動力を持つロボット、だそうだ。どちらかといえば射撃が得意らしく、今は遠距離から射撃攻撃をしている。

 

対して、俺のアルトアイゼンは、ハイスピードで格闘系のインファイター。まあ、これは、俺が射撃武器を使わせたら驚くほどノーコンだからってのもある。

 

『ヘイルメリー!勝負といく!!』

 

……お兄さん、アメフトファンなの?

 

と、言ったところで戦いは終わる。

 

当たり前だ、量産機に乗ったテロリストVSいい機体に乗ったプロ+俺、なんだから。

 

二人に勝てる訳ないだろ!

 

「やったぜ」

 

『フッ、こんなもんか』

 

勝利の余韻に浸る頃……。

 

『ッ?!まだ終わってないよ!』

 

通信がかかる。

 

「え、何?」

 

『『『『ーーーッ!!!』』』』

 

『次元獣だ!』

 

「何それ」

 

『次元震が起きると現れる化け物だ』

 

つまり、あれか。

 

「戦えってことね」

 

『ああ、そう言うことだ』

 

『待った』

 

『ん、何だよ』

 

お姉さんが回線を開く。

 

『ブラスタのリミッターを解除するよ。その機体は対次元獣用……、DMバスター・ナンバー0さ。そのスペックはパイロットのことを一切考えない超性能……、あんたに乗りこなせるかい?』

 

『ふっ、上等だ!』

 

おー、良い威勢。

 

リミッターを解除されたブラスタの活躍はめざましく、その上で、

 

『そちらを援護する』

 

『お、おう』

 

謎のモビルスーツ……、ドラゴンを模した腕を持つロボットの援護もあり、次元獣を倒すことができた。

 

ちょろかったな。

 

セシリア・オルコットさん並みにちょろかった。

 

「マジちょろい」

 

「フッ、そうだな」

 

カッコつけて笑うお兄さん。

 

「で、借金はどうなったの?」

 

「……うおおおお!!」

 

頭を抱えるお兄さん。

 

 

 

結局、お兄さんの借金は、スコートラボ……、お兄さんがブラスタを借りた研究所の預かりとなった。

 

俺も一応、スコートラボ預かりって話になった。

 

「そう言えば名乗ってなかったね。私はトライア・スコート。ここスコートラボの責任者さ」

 

「素敵な名前だ、トライアさん。事件もひと段落したことだし、俺と食事にでも……」

 

「はいはい、後で食事でもなんでもしてやるから。あんた、名前は?」

 

「新台真央。旅人で良い」

 

「そうかい。なら、旅人と呼ばせてもらうよ。あんたは?」

 

お兄さんに問いかけるトライアさん。

 

「俺はクロウ。クロウ・ブルーストだ。よろしく頼むぜ」

 

ほー、クロウ、クロウね。

 

「よろしく、クロウ。ブラスタのパイロットとしてキリキリ働きなさい」

 

「よろしくな、お兄さん、いや、クロウ」

 

「ああ」

 

さあて、ここから話は始まる訳だ。

 

長きに渡る俺の新たな旅がな。

 




旅人
乗機はアルトアイゼン。

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