「お、今日は開いとるな」
「いらっしゃいませ、《鬼武者》」
「お、お邪魔します」
「いらっしゃいませ、《夢想神楽》」
「飯じゃ、肉じゃ」
「私も同じものを……」
「豚角煮定食だ」
「おお!んまそうじゃ!」「わあ!」
「「いただきます!」」
「がぁつ、がぁつ……」「もぐもぐ」
「「お代わり!」」
「はいよ、うちはお代わりは五合まで無料だから好きなだけ食え」
「応ッ!がぁつがぁつ」
「ありがとうございます!」
「すまない、やっているか?」「こんにちわー」
「いらっしゃいませ、《ノヴォルーニエ》とその妹さん」
「今日は妹がsushiを食べたいと」
「並、上、特上とありますが」
「特上だ」
「はい、おまち」
「おお……!蕩ける!」「おいしー!」
「こんにちわ……」
「いらっしゃいませ、《アスガルト》」
「バターチキンカレーと……、従魔の餌を。外のテーブル席で待ってます」
「はい、お待ち」
「はむっ……!ああ、美味しい!カレーなんて久しぶりだ!」
『『『ガルル……』』』
「さあ、みんなもおたべ」
『『『ガウ!』』』
「マスター、今日はやっているか?」
「いらっしゃいませ、《パラディン》」
「おお!ならば今日は和食だ!テンプーラが食べたい!」
「お待たせしました、天丼です」
「おおお!この甘いタレがたまらんな!」
「ハロー!やってるー?」
「いらっしゃいませ、《カラミティ・ジェーン》」
「ラーメン!トンコツチャーシューメン!」
「どうぞ」
「ずるるー!んまい!」
「うちは替え玉5玉まで無料だよ」
「わあい」
何でだろうか、うちの喫茶店に来る面子が冒険者ばかりだ。
俺も、《異名持ち》の冒険者の顔は覚えているんだが、最近はそう言う奴らの出入りが多い。
もちろん、地元民もたくさん来ているのだが、異名持ちの冒険者の中に割り込めるような勇者はいない。
ああ、異名持ちってのは、その名の通り、通り名がある冒険者のことだな。
そんな、各国トップクラスの冒険者が、何故かこの喫茶店に集まる。
「フォルジュ辺境伯」
「何かね、ムッシュ羽佐間」
「何故うちの店にこんなに冒険者が集まるので?」
「それはもちろん、ここの食事が一番美味いからと言うのもあるが……、ここは、上級冒険者のサロンとして集まっている節があるな」
「え?」
マジで?
「各国の最高レベルの冒険者と、統治者が集まるからな。政府高官御用達のレストランなのだよ、ここは」
「ふむ……」
そんな格式高い店じゃないんだがな。
おっと、客だ。
「いらっしゃいませ、《アグニ》、《九頭龍》、《エレメンタルマスター》」
「お邪魔します」
「失礼する」
「こんにちわ」
それを見て、フォルジュ辺境伯が……。
「おや、インドと、中国と、イギリスの……」
「貴方はフランスの……」
などと挨拶を始めている。
ふむふむ。
このようにして、高レベル冒険者の会合の場になっている訳か。
因みに、このレベルの冒険者は大体、翻訳魔法のエンチャントされたアクセサリーなんかを身につけているし、最低限の英語は話せる。
「ここのマスターに通り名を覚えてもらっていると言うことは、冒険者の中でもトップクラスという証明なのだ」
そんなルールあったんだ。
にしても、通り名ねえ。
長い名前を覚えるのが面倒だから、通り名で覚えているだけなのに、なんかそんな、俺に覚えられてるやつは強い!みたいな話になってるのか。
「《ムンドゥス》、《アルスマギカ》、《ラーミナ》、《アルマトゥーラ》に名前を覚えてもらえる……、冒険者として最高の栄誉だ」
ふむ。
俺=ムンドゥス(世界)
アーニー=アルスマギカ(大いなる魔法)
シーマ=ラーミナ(刃)
ヴォルフ=アルマトゥーラ(鎧)
と言うことらしい。
「我々、チームクズは一般人パーティなんだがね」
「またまた、ご冗談を」
まあ、もちろん、それは冗談だ。
だが、俺達は面倒はごめんなんでね。
「察しが悪いな、フォルジュ辺境伯。我々、チームクズは一般人パーティだ。『そう言うことになっている』」
軽く威圧してやる。
すると、フォルジュ辺境伯は冷や汗を一筋流しながら。
「あ、ああ、分かっているさ」
と返した。
天海駅へ顔を出してみる。
「お」
「サンドイッチ!ゴヒャクエン!コウチャ!サンビャクエン!」
「ハンバーガー!ゴヒャクエン!」
謎のインド人のサンドイッチ屋、謎のアメリカ人のハンバーガー屋。
『倉庫まで運べ!四番倉庫だ!』
『おう!』
茶葉を運ぶイギリス人。
天海街は、貿易の要所と化していた。
天海駅周辺には大型倉庫が建ち並び、ワープゲートからワープゲートへと人々が物資を運んでいる。
古来から、港を持つ領地は栄えた。
つまり、世界有数の港を持つこの天海街は大いに栄えている。
俺は謎のインド人から野菜サンドイッチを買って食べてみる。
バターがこれでもかと染み込んだ、千切り野菜のホットサンドだ。
脂っこいが素朴で癒される味だな。
「美味かった」
「アリガトゴザマス!」
さて……。
人々は、天海駅……、否、天海ポータルを上手く活用しているようだな。
ポータルのお陰で、冒険者の各国への移動、貿易などが、小規模ながら成り立っているようだ。
例えば、インドのダージリンから紅茶が届いたり、フランスから小麦が届いたり、ドイツからソーセージが届いたりする。
元々、日本は、海運貿易でやってきた国だからな、貿易網が寸断された現在は、それは酷いものだ。
天海街は、俺の力もあり、相当マシな生活ができているが、他の小さい村なんかは、戦国時代の農村のような暮らしらしい。
年貢はそうそうないが、とにかく貿易網が寸断されているのがあまりにも辛過ぎた。
スーパーへ行って品物をひっくり返せば分かることだが、日本は、中国などから安価な食材や布などをたくさん輸入している。
しかし、今や内乱状態の中国と貿易などとてもじゃないができない。
つまり、食べるものも、着るものも、住むところも、使う道具も……、全部自国で生産しなきゃならない訳だな。
自国生産……、日本の食料自給率が確か四割くらいだったか?
鉄は?電子機器は?半導体なんて日本で自国生産してるのか?その辺りは詳しくないが、恐らくは、日常で手にする道具の多くを海外のもので補っているだろう。
つまり、まあ、天海街以外のコミュニティでは、食っていくので精一杯ってことだ。
豆や山菜、少しの野菜の塩漬けに米!みたいな、戦国時代並の食事しかできないらしい。
かわいそうだね!
せめて江戸時代並になればマシなのだろうが……、国内の交通網が寸断されているから、江戸時代並にすらなれないそうだ。
こんな世界で、俺達チームクズはどうすべきなのだろうか……?!
俺達はその辺よくわからないので、とりあえず明日は花見しまーす!
次は多分クラフターです。