ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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口内炎いたひ。


69話 新世界インターネット計画

俺はスマホの電源をつける。

 

「んー……、やっぱり繋がらない、か」

 

wi-fi通信が繋がらなくなっている。4G通信も駄目だ。噂によると、軍用などの特殊な衛星通信は繋がるみたいだ。

 

恐らくは、光回線が物理的にどこかで寸断されているのだろう。

 

東京は今、施設も含めてまるまる吹っ飛んでるようなもの。

 

ママゾンのデータセンターなどのクラウドがあるサーバ機器も完全に破壊されているだろう。

 

人類の叡智たる『インターネット』は壊滅状態にある訳だな。

 

ふむ。

 

俺は、チームクズを集めた。

 

「やっぱりネットないと辛くない?」

 

「辛いねえ」

 

「不便だ」

 

アーニーとヴォルフがそう返した。

 

「そんな訳でネットワークを構築することにした」

 

「はぁ?」

 

「む」

 

俺はアイテムボックスから文庫本ほどの厚さと、スマートフォンほどの面積のあるタブレットを出す。

 

「これは?」

 

「シーマと月兎が冬の間に作った改造タブレットだ」

 

「へえ、どうやって作ったの?ダンジョン内で使える?」

 

「作成方法は錬金術、ダンジョン内でも使える。魔法で電力が供給されるデータセンターと接続してある。ここのアンテナのところに小さな転移門を常に展開していて、常に天海街のサーバと繋がる強制wi-fi接続だ」

 

「電力」

 

「雷魔石発電カートリッジ式だ」

 

「ふむ……」

 

「俺は思った。現代ファンタジーものなら、タブレット片手にダンジョン探索とか良くね?と」

 

「インターネットって言っても、どんなサービスを想定してる訳?流石に一から翻訳サイトを作るとかだったら協力しないよ僕」

 

と、アーニー。

 

「『ずかん』だ」

 

「図鑑?」

 

「モンスター、武具、アイテム……、色々なものの図鑑を作る」

 

経営者だった頃の癖が染みついているのか、PowerPointでプレゼンを始めてしまう俺。

 

そして、アーニーとヴォルフも、ビジネスマンの目になって、俺に質問をぶつけてくる。

 

「……つまりは、情報インフラを握って、今後の世界の主導権をも握ると?」

 

「ああ、どう考えても、これからの世界では、強い奴が正義になる。もしかしたら、俺達に追いついてくる冒険者もいるかもしれない。そんな時に、保険として、情報インフラを握っておきたいんだよ」

 

「既に屑籠屋で冒険者からの支持は稼げていると思うけど?」

 

「この新世界インターネット計画は、やがては冒険者以外からの支持も欲しいと思っている」

 

「支持を集めてどうするんだい?」

 

「世界への影響力を確保するんだ。さっきも言ったが、俺達より強い奴が現れないとも限らない。そんな時に、世界に対して影響力があれば、俺達よりも強い存在に対抗できる」

 

因みに、これとは別に、既存のコンピュータに接続することで、天海街のサーバに繋げられるようになる『MagicLAN』と、電力を魔石カートリッジから供給できる『MagicStone PowerSource』を用意した。

 

魔石カートリッジ自体は、初級の錬金術スキルでもあれば作れるな。

 

しかし……、工業力よりも人の技能で左右されるとは、人治国家じみてきたなあ。

 

 

 

屑籠屋の大盛況を見て貰えば分かるように、俺たちは金を持っている。

 

この金を使って、タブレットを持たせた冒険者に図鑑を作らせる。

 

図鑑の編集は誰でも可能で、しかも、簡単だ。

 

HTMLよりも簡単な独自の言語で編集可能な『図鑑』は、鑑定持ちの冒険者のいい小遣い稼ぎになっているようだ。

 

小遣いってのは、試験的にだが独自の電子通貨を導入しているからだ。この電子通貨は『DP(ダンジョンポイント)』と名付けておいた。今後は、有料記事の閲覧などに使あるようにしようと思う。

 

で……、そう、鑑定である。

 

鑑定は、俺達が調べた限りでは、『集合無意識の見解』ってところか。

 

例えば、長さ70cmの金属の剣と、長さ80cmの同じ金属の剣があったとする。

 

それを鑑定すると、結果は、両方とも『ショートソード』だ。

 

例えば、HP5のゴブリンと、HP6のゴブリンがいたとする。

 

それを鑑定すると、どちらも『ゴブリン』だ。

 

つまりは、例え誤差があれど、『何者か』が決めた基準により、ものの名称が決められているのだ。

 

そして、同じ名称のモンスターやアイテムは、性能もほぼ同じ、と。

 

しかも、誰も手にしたことのないアイテムなら、最初に手にした人に命名権があることも分かっている。

 

この『何者か』が神なのか、集合無意識なのか、それは分からないが、俺達、チームクズは無神論者の集まりなので、仮に、『集合無意識』としている。

 

そもそも、HPやレベルなどの数値もよく分かっていない。

 

例えば、HP5でVIT5のゴブリンを、STR10の人が、ATK10の棍棒で殴ったとする。

 

しかし、当たりどころによって、ゴブリンが死ぬかどうかは分からないのだ。

 

ならば、TRPGのように、クリティカルなどがあるのだろうか?

 

色々と考えたが、サンプルが足りない。

 

今回の図鑑作りでは、そんな足りないサンプル集めをしたいと思っている。

 

例えば、HP100でVIT100のモンスターにSTR50の自分がATK100の武器で全力攻撃したらHPを50削れた!などのサンプルが集まれば、この世界の所謂、『内部数値計算式』を解き明かせるかもしれない。

 

それも興味深いだろう。

 

どうして、モンスターが、ダンジョンが現れたのか?

 

その謎を解き明かすことができたら、面白いと思わないか?

 

さあ、新世界インターネット計画、始動だ!

 




僕のTLがスーモとコックカワサキマイクロビキニ部に侵略されて爆発しました。

誰か助けてください。

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