ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ジョン・ウィックおもしれー。


77話 鹿児島県黒土市

鹿児島県黒土市。

 

人口十万人程の、九州最大のコミュニティだ。

 

特産品は『鬼黒土』と言うかなり強い芋焼酎で、酒飲みが多いらしい。

 

また、街中に剣道場や居合道場があり、武術の達人も多いことで有名だった。

 

ある道場の目の前に、別の流派の道場が出来て、他流試合やら看板の奪い合いやらをしていた、好戦的な街だ。

 

年に一度の喧嘩祭では、毎年百人近くが病院送りにされる。

 

これは、俺が伝え聞いたばんぞ……、侍達のこれまでである。

 

 

 

辺志切吉宗という男がいる。

 

示現流剣術の達人で、御齢五十六歳にして未だ現役。

 

剣術無双の武人である。

 

白髪の混じる黒髪を短めに切り揃え、猛禽のように鋭い眼に闘気を滾らせ、鍛え込まれた肉体は老いてなお健在。

 

その肉体は、生き様は、まさに一本の刀であった。

 

 

 

『NAME:辺志切吉宗

TITLE:剣術無双

RACE:人間

AGE:56

SEX:男

JOB:侍

LEVEL:54

 

HP:588

MP:157

 

STR:258

DEX:158

VIT:141

AGI:189

INT:7

MND:282

LUK:7

CHA:14

 

SKILL

示現流(上級)

神変自源流居合(上級)

空歩(下級)

瞬動(中級)

縮地(中級)

神降ろし・八幡大菩薩(下級)

神降ろし・武甕雷(中級)

神降ろし・不動明王(中級)

神降ろし・摩利支天(下級)

筋力増大(中)

心眼(中級)

生活魔法

鑑定』

 

 

 

辺志切吉宗は、息子の景光と義光の二人と共に、今日も剣術の稽古に励んでいた。

 

辺志切示現流道場は、突きあり足払いありの超実戦的な道場だった。この平和なご時世に何をやっているのやら。

 

しかし、その実戦的な道場の稽古は、これからの世界で活きるものだった。

 

世界崩壊……。

 

三月のとある日のことである。

 

まだ稽古をしている時間に、景光の幼馴染にして、近所の神社の娘、『益口命』が道場に怒鳴り込んできた。

 

「大変よー!!!」

 

「おう!みこっちゃん、どうした?」

 

吉宗は、息子の嫁になるであろう命に甘い。

 

色恋のことは分からなかったが、側から見れば、命が、景光に気があることはよく分かっていた。

 

吉宗も人の親である。息子の幸せを願っているのだ。

 

「おじさん!大変なのよ!ニュース見てニュース!」

 

「なんじゃ?地震かの?台風じゃろうか?」

 

「とにかく見てください!ほらっ!景光も!義光くんも!」

 

しっかり者の命が声を荒げている。その剣幕を見て、ただ事ではないと思った辺志切家は、一旦稽古を切り上げて、道場の剣士達とテレビを見たり、スマホを見たりし始めた。

 

「な、なんじゃ、これは?!!」

 

そして、テレビに映ったのは、醜悪なモンスター達が、東京の自衛隊や警察隊を食い荒らす姿であった。

 

戦争が終わって七十年、戦いでこんなに日本人が死ぬとは、という悲しみももちろんある。

 

しかし……、モンスターなるものの凶悪な姿を見て、辺志切家の者が思ったのは。

 

「「「斬りたい……!!!」」」

 

本当の殺し合いができる喜びであった。

 

吉宗は、凶悪な笑みを深めると、息子二人に声をかけた。

 

「景光!義光!」

 

「「応ッ!!!」」

 

「刀を持てい!征くぞ!!!」

 

「「応ッ!!!」」

 

 

 

街のど真ん中にできた穴倉から、緑の醜い小人や、醜く肥えた豚人間、赤い鬼のような化け物が山ほど現れる。

 

『『『『ゴアアアアッ!ガアアアアッ!!!』』』』

 

肌がひりつく、殺意の篭った咆哮の雨あられ。

 

それを身に受けながら、辺志切家の男は、息を飲んだ。

 

……ああ、楽しめそうだ、と。

 

そうでなくてはいけない、と。

 

「おうおうおうおう!吉宗殿!楽しそうじゃのう!」

 

「おいも混ぜてくれい!」

 

「カカカカカ!儂等もおるぞい!」

 

吉宗は笑った。

 

他の剣術道場の剣士達も集まってきたことを見て、「やはり、考えることは皆同じか」と思ったからだ。

 

「カカカカカカカ!こりゃあ楽しい!考えることは皆同じか!さあ、戦じゃ!戦をするぞ!」

 

「よか!鬼斬りじゃ!」

 

「クカカカカ!根伐りじゃ!撫で斬りじゃ!!!」

 

 

 

かくして、戦闘狂が勝手に、刀や和弓、槍に薙刀を振り回して、黒土市内のダンジョンは壊滅したのであった。

 

しかも、モンスターを斬れば斬るほど強くなれるとあらば、この黒土市のバトルジャンキー達が黙っているはずもなく……。

 

「儂思ったんじゃけど、この穴倉を壊さねで放っておけば、もんすたあ出るんじゃねか?」

 

「天才か?!」

 

などと言いつつ、黒土市外縁部のダンジョンを保護して。

 

「味噌で煮れば食えるべ」

 

「食える食える」

 

「えのころ飯じゃて」

 

ぶっ殺したゴブリンやオークを食い。

 

「酒と干し飯は持ったな?!遠征して戦じゃあ!!!」

 

「「「「応ッ!!!!」」」」

 

遠征を繰り返して、近隣住民の安全確保と生存域の拡大をした。

 

そして、酒造会社は昔ながらの方法で、機械を使わずに酒を量産して、それを住民へのせめてもの娯楽にと配った。

 

そして、息子の景光が、命を連れて、もっと戦える『天海街』なるところに行った数ヶ月後……。

 

 

 

我々、運送会社ガーベージが現れた訳だな。

 

ガーベージが現れたことにより、米やまともな肉類の輸入ができ、強力な武器も輸入できているので、助かっているとのこと。

 




焼肉うめー。

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