アクシオン財団テストパイロット、クロウ!
アクシオン財団テストパイロット補佐、旅人!
俺達は今、日本の警察に捕まっていた!!!
どうやら、マジンガーZなるスーパーロボットは、政府に届け出をしていなかった違法ロボらしく、その仲間として活動した身元の怪しい俺達も、テロリストかなんかだと思われているようだ!
「どうする、旅人?」
「まあ、どうもこうもないよね。正攻法で説得して、駄目なら脱獄でしょ」
「脱獄?どうやってだ?」
俺は、軽く呪文を唱える。
かしゃん、牢屋の鍵が開く。
「ほら、開いた」
「……何したんだ今?」
「魔法よ、魔法」
そうこうしている内に、警察官が現れた。
名前は暗黒寺。凄い名前ですね。
「俺達はアクシオン財団のテストパイロットだ」
「アクシオン財団に確認を取ったら、知らないと言ってきたぞ?やはりテロリストなんだろ!」
「なら、スコートラボってところに確認を取ってくれ」
「ううむ……、まあ、その話は昼飯の後だ。取り調べなんで、カツ丼を用意しておいてやるよ!」
そういうことになった。
おっと、そういや、同じ牢屋に、マジンガーZのパイロットの甲児君と、その弟のシロー君がいらっしゃるよ。
クロウが、甲児君を励ましている。
いつも思うけど、クロウは本当にいい奴だな。
傭兵と言うと粗暴そうなイメージがあるのだが、クロウは真っ当な善人だ。
そして、なんかクロウが、甲児君とシリアスを決め込んでるので、俺はシロー君とお話ししてる。
「ほら、シロー君、チョコ食べるかい?」
「わーい!」
その後……、国連の人が来て、機械獣が出たから追い払え、追い払ったらテロリスト疑惑をなかったことにしてやると言われた。
司法取引って言うのかなこれは。俺が知る司法取引と比べると些かダイナミックだが。
ここで、なろうサイコパス主人公なら、「は?テロリストでも構わんのだが?」とか言っちゃうのかもしれないが、俺は一般通過旅人。
周りの人の言うことはちゃんと聞くのであった。
えーと、見たところ、ボロボロの赤いロボットと、無双してる黒いロボットがいるな。
ボロボロの赤いロボットはよく分からないが、あの黒いロボット多分、ダンクーガって奴じゃないか?
確か、紛争の中に乱入しては、弱い方の勢力を味方する変態だとか。
なるほど、だからこっちの味方なのか。
『よっしゃ、行くぜ!』
『おー!』
クロウは、デカいスナイパーライフルで機械獣を吹っ飛ばす。
俺は、近くの機械獣に加速タックルからのリボルビングバンカーで風穴をぶち抜いていく。
『お、俺達も援護に……!』
『やめなさい赤木君!』
ん?
ボロボロの赤いロボット。
なんだあれ、装甲板がハリボテじゃないか。
あんなのじゃロクに戦えないだろ。
『………………!!』
機械獣タロスが剣を振り回しながら、赤いロボットに突撃していった。
まずいな。
『ま、まずい!』
『回避しろ!』
赤いロボットは回避しようとするが、動きがイマイチ遅い。あまり実戦慣れしてないのかな?
いや、三人乗りのロボットなのに、三人の心が一つになっていないんだ。
あのままじゃやられちまうぞ、仕方ない、助けよう。
『ぁあー、どっこいしょー!!!!』
俺は、アルトアイゼンのブースターを全開にして、慣性のまま全力のドロップキック。
その後、空中で一回転してから着地した。
『う、うおおっ!カッコいいぞあれ!』
パイロットの赤木君なる人物が喜んでいる。
『ダイガードも負けてられないな!』
『いいから後退しなさい!』
『そうだぞ!無理するな!』
いいなあ、三人もパイロットがいると賑やかそうで楽しそうだ。
そうこうしている内に……。
『ブレストファイヤァァァッ!!!!!』
『………………!!!!』
「「お、おのれぇっ!覚えておれ、マジンガーZ!!!」」
なんか、終わったみたいだ。
完全にモブキャラだな俺。
その後、ダンクーガがどっか行って、ソレスタルビーイングのガンダムが四機現れた。
どれ、なんでここに来たのかな?
脳内の『瞳』で観測してみようか。
パイロットの外見は分かったが、内面は分からないな。
もっと深くまで見てみるか……。
『……ッ?!誰だっ!俺の脳量子波に割り込もうとする奴は!!!』
あら?あらあら、バレちゃった。
あのデブガンダムのパイロット、こっちが分かるのか。
強化人間的な……?サイボーグ?いや、クローンっぽい感じか?
『貴様あああっ!!!俺の中に入ってくるなあああっ!!!』
あ、待って待って、そのごんぶとビームはヤバイって!
なんとか回避してたら、ソレスタルビーイングのガンダムは撤退していた。
これ、俺、マークされちゃったかな?
まあ、別に困らないから良いんだけどね。
という訳で、甲児君達と一緒に戻る。
未だに、おじいちゃんを失った悲しみから立ち直れない甲児君を気遣いながらも、俺達は飯を食う。
釈放祝いに寿司でも食いに行くか!って事で、寿司屋に行ったんだよ。まあ、回転寿司だけどね。
シロー君は喜んでいるんだけど、肝心の甲児君はまだまだブルーな感じ。
まあ、それも仕方ない事なんだけどね。
普通の学生だった甲児君が、いきなり、謎の半分こオバケの率いる謎ロボット軍団と戦え!と言われて、まともなメンタルを保っていられるとは思えない。
むしろ、甲児君はよくやっている方だ。
にしても……、あのあしゅら男爵?とかって人、何なんだろうね?ロボット軍団を率いているから科学側の存在なのかなー?って思ってたんだけど、『瞳』で見るとかなりの神秘を宿しているし。
それはそれとして、俺達は、食後に再びくろがね屋に向かって、部屋を確保して寝る……。
っと、そんな所で……、おっさんが一人現れた。
「私は、国連平和維持理事会直下の特殊部隊の責任者の大塚だ。君達には、この特殊部隊への参加を要請したい」
なるほど。
国連か。
よく分からないけど、『瞳』で見た限りではこの人そのものに悪意はないことが分かった。
「どうする、クロウ?」
俺としては参加しても構わないんじゃないかなーって思うけど、俺、役職的にはクロウの補佐だしな。
「まあ、良いんじゃないのか?ただし……、幾ら出してくれるんだ?」
「……金か?」
「ああ、慈善事業はお断りだぜ。俺にも事情があるんでな」
「うーん、俺も金は欲しいな」
「……分かった、詳しい契約内容を詰めていこう」
そういうことになった。
でもこれ、誰も見てないでしょ。