ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あーーーーー。


114話 生の映画アメリカ編 その2

モハーヴェ砂漠。

 

ネバダ州を、武装トラックで旅する一人の中年がいた。

 

ちょっと待って?ナレーション君なの?

 

うるせーな、この時のために俺は『美声』のスキルを取っておいたんだ、大人しく聞け。

 

アッハイ。

 

……男の名はイーライ・パーカー。

 

元陸軍軍曹の、トラック運転手である。

 

イーライは、分厚い筋肉を持つ白人の中年で、オールバックの金髪とイカつい顔が特徴だ。

 

服装はミリタリー系のズボンと、鉄板入りの安全靴。黒いタンクトップに、モンスターの革でできた丈夫なジャケットを羽織っている……。

 

で、サングラス?

 

白人は光に弱いので、サングラスもかけている。

 

ってかさ、まず、一番のツッコミどころなんだけど……。

 

うん?

 

「イーライ……?」

 

「どうした、サラ?」

 

イーライの隣に座ってる女の子、何なの?

 

ああ……、彼女は『サラ・レイビス』だ。

 

世界崩壊に伴い、親を失った、イーライの家の近所の子だな。

 

イーライ自身に家族はいないの?

 

居たよ。

 

なるほど、『居た』のね。

 

サラちゃん、年齢は十四歳。イーライの娘の友人だった。

 

イタリアからの移民の家系で、地中海系の黒髪の少女だ。

 

崩壊前はロングヘアのオシャレさんだったらしいが、崩壊後は髪の手入れなんてできんから、さっぱりとショートカットにしたようだな。

 

ボロボロの服を着た短パンの女の子が、助手席で膝を抱えて座ってるとか……、側から見たら異常だよ。

 

事件性はねぇよ。ガチロリコンとかなら不愉快だから「生の映画」の題材にはしねぇ。

 

でも君もロリコンじゃん。

 

俺は関係ねぇだろうが。それに、揚羽も昌巳も一応結婚可能な年齢だし、ついでに言えば崩壊した世界じゃ法もクソもねぇ。

 

アッハイ。

 

「イーライ、私……」

 

「サラ……、その話はもういい」

 

「でも!」

 

「お願いだ、やめてくれ」

 

んー、揉めてるね。何の話?

 

聞いてろ。

 

「だってイーライ!私、何もやってないのに、ずっと貴方に守ってもらっている!こんなの、耐えられない!」

 

「サラは家事をやったりしてくれているだろう?俺は……」

 

「やめてよ!私だって知ってるんだよ?!今の時代に、女の人がどうやって生活しているかくらい!」

 

「頼む、やめてくれ……。俺は君にそんなことを望んでいないんだ」

 

「イーライ、綺麗事はやめて!もう嫌なの、役立たずの私が、何もできない私が!」

 

あー……?つまり、そう言うこと?

 

そうなるな。

 

サラは、缶詰一つを貰うために、複数の男達に一晩中陵辱される女性がいると、それを知っている。見てきたんだろう。

 

だから、ただ守られている自分が不安だと?

 

そうだ。サラは、命懸けでモンスターやレイダーと戦い傷だらけになり、少ない食料を分け与えてくれるイーライに感謝すると共に……。

 

恐怖している訳だね。

 

そりゃそうだ。親兄弟が全滅して、住む家も燃え、故郷も崩れ落ち……。

 

十四歳の少女が、まともな精神でいられる訳がないってことね。

 

「もう嫌、嫌なの、イーライ……。私は何なの?貴方のペットなの?」

 

「違う、そうじゃない。聞いてくれサラ、俺は……」

 

「何が違うの?!私は、私はッ……!」

 

まあ実際、ペットなんだよな。

 

そうだよねえ。あっ、シーマはこう言うの見ると怒りそうだし黙っとこ。

 

別に怒らないわ。

 

あ、そう?

 

嫌なら、この男の庇護下から外れて、どこへでも行ってのたれ死ねば良いでしょう?

 

い、いや、それはさ。

 

プライドも貞操も、両方を守ろうなんて、世の中を舐めているとしか思えないわね。

 

アッハイ……。

 

あー、確かシーマは、親父の残した借金を返す為に身体売ったりしてたからなあ。

 

えぇ……。やめてよ……、友人の辛い過去話とか、聞きたくないんだけど……。

 

あっほら、映画見ろ映画。急展開だぞ。

 

「サラ、もう今日は薬を……」

 

「……精神安定剤?こんなの、効いてないわよ」

 

「頼む。あと少し、あと少しなんだ……」

 

「そう言ってもう、半年も放浪してるじゃない!いつになったら、『ハリアルシティ』に着くの?!」

 

え"っ……?!

 

おやおや、どうしたアーニーさん?ハリアルシティの市長アーニーさん?

 

んんんもおおおー!!!何これ?!!!僕に対する嫌がらせぇ?!!!

 

いや別にそんなことはないぞ。今現在安定していないアメリカ人は、大抵はハリアルシティに行きたがってるってだけで。

 

次の「生の映画」の題材は日本にしてよ?!天海街に行きたいって言いながら死ぬ子供とか見せて!僕ばっかりこんな鬱な気持ちになるのはアンフェアだ!!!

 

おーおー、もちろん良いとも。次の「生の映画」の題材は、お前が選んで良いぞ?まあ俺は何とも思わんが。

 

畜生……、畜生……!

 

 

 

でさ、結局、何でこの人達はハリアルシティに来ないの?

 

来れないんだよ。

 

は?何で?ここネバダでしょ?車で二十時間くらいで……。

 

馬鹿が。ダンジョン化現象のことを忘れたか?

 

あー……。

 

都市そのものがダンジョン化してるんだ。ネバダなんて人口密集地、半径100km以上は呑まれてるぞ。

 

つまり、ハリアルシティに行くには、ダンジョン化した土地を避けながら遠回りしなきゃならない、と。

 

その上で、襲いくるモンスターやレイダーをぶち殺しつつ、飲食物や雑貨を集めながらな。

 

……無理じゃん?

 

ああ、無理だぞ。因みに、ハリアルシティに行くための道路も、一番楽なルートでも最低レベル40はないと突破できん。

 

無理じゃぁ〜ん!!!

 

ははは、だからこそ「生の映画」なんだろうが。

 

……んー、まあ、それを言えば悲劇の方が収まりが良いかも?イーライが死んでサラちゃんが跡を継ぐとか面白くない?

 

ラストオブアス2は絶対に許さない。

 

それは僕も許してないよ。

 

む……、あれは俺も許せないな。

 

私も許していないわ。

 

……んん、まあ、何だ?

 

他人の不幸は蜜の味、ってことだな。

 




ぶち壊しタクティクス、書き始めてしまった……。

ままええわ。

早速、美少女領主様に仕えて遊ぶサイコパスが張り切ってて草。

あとほら、ヨーロッパだから王様は陪臣には命令権ねーから、こいつマジで美少女領主様以外の命令聞かない……。誰か止めてくれ。

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