「はい!そんな訳で!今回はタツの精神にダメージを与える為に、新しい題材をピックアップしてきました!」
アーニーがそう言って、マーキングの位置を伝達魔法で送りつけてくる。
それを受け取りながら俺は、市場から購入してきた夏野菜を魔法で冷やしつつ、空間魔法からビールを取り出す。
「あら、良いわね。この国の夏では、野菜に齧り付きながら麦ジュースを飲むのが最高の快楽よ」
シーマはそう言いながら、俺がドカドカ出しているビールの山に手を突っ込んできた。
「あっテメェ、俺の保存空間に干渉魔法使いやがって!」
「良いから酒を出しなさい酒を」
「うるせー!これでも飲んでろ!」
投げつけたのは、シーマが麦ジュースと呼ぶビールとは格の違う、スウェーデン産の馬鹿みたいな度数をしたビール的な何かだ。
「へえ……、67.5%ね。それくらいなら、少しは酔えそうだわ」
「ねえアーニー、この女の肝臓に工業用フィルターをインプラントでもしてんの?サイボーグか何か?」
「知らないよ、君の嫁でしょ」
「サイボーグを嫁にした覚えはないんだよな」
「まあ確かに鉄の女って感じだよね」
そしてこっそりとハイネケンを手にしていたヴォルフと、バドライトを手にしていたアーニーが。
瓶開けも使わず、指で蓋を剥がして……。
瓶をぶつけ合う!
「「「「乾杯ー!!!」」」」
あ、因みに俺はエビスビールだ。
エビスビールは味が美味いからな!
一杯目はアサヒスーパードライでも良かったか?あれは雑に美味いからな。あれはあれで全然アリなんだよな。
キンキンに冷やした野菜に、塩を振って。
或いは、マヨネーズをつけて。
俺は、真っ赤なトマトに塩を振って、思い切り頬張った!
じゅわっ!と、果汁が溢れ出す!
口の中に広がる仄かな青臭さと、たっぷりの甘みと酸味!
それをすぐさま、冷えたビールで喉奥に押し込む!
「た、堪らねぇ〜!夏のトマト最高に美味い!!!」
アーニーは、七味マヨネーズをつけたきゅうりをパリッと。
「うっま……!あー美味い!水分が全身に行き渡るぅ〜!」
ヴォルフは、蒸し炒めにしたピーマンを齧る。
「おおお……!この苦味と甘味が堪らんな……!脳に響く旨味だ!」
シーマは、焼きとうもろこしを豪快に。
「はあ〜……、最高ね。人類は酒と肴の為に生きていると再び確信したわ」
何言ってんだこいつ。
「ところで、そのビールどうなんだ?全然泡立ってないんだが」
「味は普通にビールよ。アルコールが少し多いけど」
「お前ん中じゃ十倍を少しと表現するのが普通なんだな」
67.5%のアルコール度数と言えば、普通のビールの十倍を超えている。
「普通のビールはアルコールが感じられないのよ」
「ヤベーって、お前舌がイカれてんぞそれは」
「私の肝臓は私と違って働き者なの。常に働きたいと腹の中で叫んでいるのよ」
「おまけに幻聴もか。遂に終わったな」
「………………」
「痛ぇ?!!」
こ、こいつ、普通に剣で刺してきやがった……!
まあ効かないけど。
「けれど、味は本当に良いわよ?」
「どれどれ?……お、イケるじゃん!」
俺達は、夏野菜を使ったつまみをパクつきながらビールをがぶ飲みし、今回の「生の映画」について話し始める。
「で、今回は何だ?流石に、身体売って生活してる女とかはやめろよ?見ててもつまらんからな」
「僕は純愛派だからそう言うのは……」
「ハハッ、キモい。童貞かぁ〜?」
「いやぁ、普通に重婚してる気狂いに煽られんのは納得できないなあ。実際夜とかどうなってんの?」
「馬鹿娘共四人のケツ並べて愉しんでるよ」
「うわあ、何でそんな悪者っぽいことができるんだか……。よくもそんなことを!」
「環境テロリスト見習い女やめろ」
「ええ……、いや実際さあ、人間関係ギクシャクしたりしない?」
「してるぞそりゃ」
「ええぇ……、どうしてんの?」
「どうもしない。うちに居たいなら居りゃあいいし、抱かれたいなら抱いてやる。それだけの話だろ?」
「ハハッ、やっぱ、君イカれてるねえ。見てて飽きないよ」
「そうかぁ?」
「そうだよ。……で、今回は、そんな訳だから女の人視点だよ」
「アーニー君、女の子の覗き見してたのかい?お兄さんと一緒に警察行こうか」
「いやいや!そう言うアレではないから!……ちゃーんと、この世界を必死に生きている、映画みたいな人間だよ」
映画みたいな人間、ねえ……。
「荒木美幸、年齢は十六歳。崩壊前はもちろん学生」
ふむ。
「そして今は……、『教祖』のジョブについている」
……はあ?
「新興宗教、『ムンドゥス教』の教祖にして、姫巫女を名乗る、ユニークジョブの少女だ!さあ、是非見てくれ!」
はああーっ?!!
ライブアライブ、最終編でダレてきました。
短いとはいえストーリー性もクソもないダンジョンを複数は結構きつい。
何が知のダンジョンや、こちとら痴の作者だぞ。
そして新作、ぶち壊しタクティクスですが。
あえてプロットを作らずに、ライブ感のみで書き始めたら、事件が何も起きなくて草生えましたよ。
マジな話、ざっとキャラ案だけだして、「このキャラならこうするだろうな」という思考のみでやってます。ストラテジーゲームの世界のような感じで、とのことなので、ストーリーありきではなく、「その世界に生きる人々がどうするか?」という視点で書いているつもりです。
が……、まだキャラ案が固まっていないためか、上手く世界が回ってくれない……。
うーん、またキャラ案でも募集するかなあ……。
もういっそ、やる夫スレがごとく、展開を全部ダイスで決めるとかにする?
キャラ案募っても、ストラテジーゲーム世界、要するに戦記物なので秒で死ぬかもしれんからな……。
ってかそれより、次作の書き溜めせんと……。