1話 スペースオペラやりましょう
「私は女神よ!」
「ほーん」
あれぇ?夢かな?
まあ、夢でも美人に会えるなら役得かー。
「夢じゃないわよ!」
「そうなの?夢が夢じゃないと言ってくるとは中々に珍しいな」
「だから夢じゃないわよ!斗升鞍馬!貴方は死にました!」
ほーん?
なんか変な夢だな。
まあ夢ってそんなもんか。俺、この前、同僚が三人に分裂して仕事中にブロッコリーを茹で始める夢を見たし、こんな夢もあるだろうな。
「本当に夢じゃないのよ!貴方、死んだの!」
「ほーん?仮に死んだとして、何で死んだんだ?」
「寝ゲロ」
あー……?
「あんた昨日馬鹿みたいに飲んで寝たでしょ?それで寝ゲロして窒息死よ」
それは、何て言うか。
「めっちゃあり得る」
「信じてくれた?」
「ああ、面白い夢だな」
「もー!!」
ん?夢?
夢なら目の前のこの女にセクハラしても良いんじゃね?
「ま、待ちなさい!女神にそんなことしちゃダメよ!転生特典あげないわよ!」
んー?
「良いかしら?あんたは転生するの。別の世界へ、今現在の知識を持ったまま、若返って生まれ変わるの。ここまでは良い?」
「ああ、それで?」
取り敢えず、聞くだけ聞いてみるか。
「それでね、あんたは別の世界で生きていくの。でも、私の慈悲で、転生特典を一つあげるわ」
ほーん。
「何言ってんの?」
「転生特典よ、分からない?」
「分からん……、DLCか何か?」
「あのね、転生特典っていうのはね、転生するにあたって、簡単に死なない様に何か凄い能力とかを渡してあげるって言ってるの」
凄い能力?
「頭文字◯みたいなドラテクとか?」
「あ、ごめん、私は武具専門なの」
「えー、じゃあ、何でも切れる剣とか言えば、それをくれんの?」
「そうよ!武具なら何でも言って!」
ほーん……。
「でも、転生先はスペースオペラな世界よ!だから、防具とかの方がオススメかも。あ、転生するからって調子に乗っちゃダメよ?確かに、転生すれば私達神はもう手出しできなくなるけど、世界を破壊したりしちゃダメなんだからね!」
ほーん。
「武具なら何でも良いんだな?」
「ええ!何でも良いわよ!オススメは防具とかね、個人携行式のバリアシステムとか、生存率が上がるわよ」
それじゃあ……。
「スーパーロボット軍団」
「話聞いてた?スペースオペラって言ってるでしょ?!スペースオペラって言ってるでしょ?!」
「じゃあこうしよう、スーパーロボット軍団だが、全機が変形したり合体したりして、ちょっとした衛星くらいのサイズの宇宙戦艦に変形するんだ」
「い、いや」
「動力源は永久回路、物質転換装置と時空間操作システム、どでかい主砲と小型の戦闘ロボットや戦闘機を何万機も収容していて、装甲はビックバンを弾き返す上に無敵のバリアを永遠に張っていられる、火力は星雲を破壊し空間を切り裂き並行世界を破壊するくらい、機動力は光速以上で、レーダーは全てを見通し、照準は針の穴を通すように精密、空陸海宇宙異次元どんな世界でも最高のスペックを発揮」
「あ、あの」
「多次元を認識し操作するシステムや、因果律を操作するシステム、限定的な未来予知ができるほどの高度な演算システムを持ち、電子戦もまさに無敵、ブラックホールを自在に創造できるし、粒子加速砲、反物質砲や光子魚雷とかもある。複数種類の高燃費かつ超硬度なバリアにテレポートシステム、自己再生、自己進化し自己増殖もして高度なAIを持ちながらも俺の意思に反した行動をとらないし、暴走もしない」
「だ、だからね」
「工業プラントとか生産プラントとか医療プラントとかが沢山あって、常に天然物の最高級の食材や嗜好品が楽しめ、最高レベルの武装や機材を惑星数個分くらいの生産力で生産でき、不老不死薬や再生薬、どんな病気も治す薬や、若返りの薬なども生産でき、脳の開発などもしていて、誰でも簡単に超能力者になれる訓練プログラムがある。船内に豊かな自然もあり、ゲームセンターやらゴルフ場やらがあり、ギャンブルなんかも楽しめる。歴史上重要な建物を再現したレプリカや、世界の様々な環境を真似て作った極めて自然な人工の森、海、砂漠、川、荒野、山、谷など……、そして数多の生物がいて、また、それぞれに適切な四季がある。書庫には膨大な量の蔵書やデータもあり、それを使って超AIが常に俺の為に様々な研究をしている。因みに重力も完全に制御されていて、どんなスピードで移動しても揺れないで快適。そして俺以外の奴はこの艦隊をコントロールできない、ハッキングも不可能」
「………………」
「もちろん、自己増殖自己進化するので、俺が命令した通りに進化する、足りないものはない……、なんてのはどうだ?」
「チートじゃない!!!」
チート?
「お前、何でも言ってくれ、って言っただろ。何が駄目なんだよ?俺は俺の希望を伝えただけだぞ?それとも何か?神様には二言があるのか?」
「うっ……、か、神は嘘をつかないわ……」
「じゃあ頼むわ。まあ、そんなことになったら楽しいだろうなー。そしたら毎日酒が飲めるしよ、最高だろうな。さて、いつになったらこの夢が覚めるんだろうな?」
「だから夢じゃないって……」
「まあ、取り敢えず……、パンツ見せろオラ〜!!!」
「うきゃあ?!!も、もうっ!転生特典確定!『無敵万能艦隊』!!転生許可!転生門解放!行きなさいっ!」
「は?」
ウィーンと開いたSFっぽい扉に吸い込まれる俺。
「う、ウボァー?!!!」
『スター……、マスター……、起きて下さい、マスター……』
「はっ?!」
やべえ、今何時だ?!仕事、っは今日は休みだ。
なら二度寝すっか。
『マスター、起きて下さい』
「二度寝タイムだ、起こすな」
『はい』
………………
…………
……
「あー、よく寝た……、ん?んんんんんー?」
あっ、俺これアニメで見たことあるぞ、ほら、宇宙戦艦のブリッジだ。
立体映像の宇宙図、エネルギー量などのゲージ、使いやすそうな未来椅子……、誰が見ても宇宙戦艦のブリッジだと分かる。
「何これ」
『マスター、おはようございます』
「頭の中に、声が……?」
『いえ、普通に艦内のスピーカーから呼びかけていますが……?』
「ふざけただけだよ」
『そうですか』
さて。
「誰だ?」
『私は旗艦である一番艦の制御AIです』
うーん?
『マスターは、女神フリーデンとの盟約により転生し、私達、無敵万能艦隊を指揮下に置きました』
お、おお?
「え?あれ夢でしょ?」
『現実です』
「これも夢でしょ?」
『現実です。異次元観測装置によりマスターのマンションを写します』
そこには。
……「鞍馬……、まだ若いのに……」
……「うう、鞍馬……」
……「故人に最後のお別れを……」
うーん。
「ばっちり死んでるじゃん」
『はい、死にました』
え?
「死んでるーーー!!!」
『はい、死にました』
嘘だろお前!
「え?じゃあここにいる俺はなんなの?」
『転生したマスターです』
おぉん?
『魂は同じです』
あぉん。
あー……。
うー……。
「つまり、これは現実?」
『はい』
……まあ、死ぬよりはマシか。
形は違えど生きていられるなら、それは幸せなことだろ。
さて、それで……?
「じゃあ、あの女神は、俺が願ったものを本当にくれたのか」
半分冗談だったんだがな。
『はい。私達は無敵であり万能である、最高の艦隊です。この宇宙を滅ぼすことも可能です』
ほーん。
「取り敢えず、詳しいデータを見せてくれる?」
『脳内に情報を直接転送します』
なにそれこわい。
あ、来たわ。
「ふむ……、十二隻の、六千から八千キロメートルほどの、衛星サイズの超巨大宇宙戦艦で、それぞれに役割があり、全機は変形し巨大ロボになる、と」
成る程ね?
無敵では?
いつもの俺つえーです。
今回もまた度を越した俺つえーを書きたかった。