ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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やる夫で学ぶスレが資料として使えるなあ。


8話 ヒロイン拾いん

「待ちやがれ!」

 

「ひいっ!」

 

「へへっ、追い詰めたゼェ?ちょーっと薄汚えが、穴の具合はどうかなァー?」

 

「や、やめて下さい……!」

 

おーっと?

 

「アリエス、見てみ?テンプレだ」

 

「はあ」

 

「俺は主人公だからカッコよく決める義務がある!行ってきます!」

 

「あっちょっ」

 

 

 

「ダァイナミック……、エントリィィイ!!!!」

 

「ぐあああああああ?!!!!」

 

「な、何だてめえ?!!」

 

「何しやがる!!!」

 

俺はカッコ良く現れる。

 

「クックックッ……、俺か?俺は通りすがりの……、通りすがりの……、あの、なんかカッコいいの思い浮かばねえや。何だとかっこいいと思う?」

 

「はぁ?!知らねーよ!!!」

 

「傭兵って言うとダーティさが出ちゃうし、ヒーローだと子供っぽい……。なんかカッコいい肩書き……、あ、サイキッカーだ、通りすがりのサイキッカーだ!」

 

「はぁ?」

 

「何言ってんだお前?」

 

「何なんだよ……」

 

まあ、ほら。

 

「何かこう、悪いことやってそうだから適当にぶっ飛ばそうかなーって」

 

「んだとぉ?!」

 

「でもこう言うのって難しいよね、一方の意見だけ聞くのは良くないよね」

 

「お、おう?」

 

「でもでも、例え間違ってても小汚いおっさんの味方をするより、女の子の味方した方が気持ちいいよね」

 

「お、おう」

 

「と言う訳で吹っ飛べ?」

 

「「「ぐあああああああ?!!!!」」」

 

やりました。

 

さて。

 

「あ、あの……」

 

「こう言う時にさ、なんて声をかければカッコいいんだろうかな?」

 

「え、その……?」

 

「ああ、まあ、取り敢えず……」

 

俺は少女の手をとる。

 

「怪我はないかい?お嬢さん」

 

 

 

「ふーん、行くとこないんだ」

 

「……はい」

 

名前はエリー。

 

元々はごく普通の市民だったが、両親が事故死して天涯孤独に。そして遠い親戚が作ったらしい借金を背負わされ、ついに市民権すら剥奪。浮浪者暮らし、と。

 

うーん。

 

「アリエスパパー」

 

「えっ……、やめてもらえませんか、キツイです、普通に」

 

冷えなオイ。

 

「ビルゴママー」

 

「え、えっと、はーい?」

 

「この子飼って良いー?」

 

「もう、ちゃんと世話できるの?」

 

「僕頑張るよ、毎日三食食べさせて適度に運動させて勉強や仕事もさせるよ!」

 

「しょうがないですね……、サジタリウスパパ、どうします?」

 

「む、そこで我にキラーパスとは、やるなビルゴ嬢。あー、ちゃんと世話するんだぞ、息子よ!」

 

「分かったよパパ!」

 

はい。

 

「キモいな」

 

「キモいですね」

 

「流石に辛いぞ」

 

この小芝居は良くない、俺がキモい。

 

「で、どうするんです、それは」

 

「エリー?拾うよ?」

 

「拾う、ですか。何故?」

 

「可愛いから」

 

「もっと考えて行動しませんか?」

 

つってもよー。

 

「こんだけ薄汚れてると分からんかもしれないけどさ、この子結構レベル高いよ?痩せてるけどスタイルも良いし」

 

「まあ、分かりました。飼いたいならばお好きになさって下さい」

 

「お前らも面倒見てやれよ。俺はペットの面倒とかみれないタイプの子だ」

 

「はい、まあ、分かりました」

 

さーて?

 

取り敢えず、俺の携帯端末で白羊宮へ転送。

 

「さて、エリーちゃん」

 

「は、はい……、あの、ここは?」

 

「俺の宇宙船の中。取り敢えず風呂入ってきなよ」

 

エリーは年齢は16歳とのこと。

 

元学生。

 

「お風呂、ですか?」

 

「おー、白羊宮には露天風呂あるぞ、一緒に入ろうぜ」

 

「えっ、あっ、その」

 

「まあまあ」

 

風呂に押し込む。

 

 

 

「ビャー!この時間から入る風呂はキモティーな!俺なんか酒も飲んじゃうもんね!」

 

「うぅ……」

 

「どしたのエリー?景色が楽しめない?湯加減が悪いか?それとも俺のパーペキな肉体を見てキュンとしちゃった?」

 

「お湯を張ったお風呂なんて、高級ホテルにしかないんですよ……?わ、私なんかが入ってて良いんですか?」

 

「構わんよ、俺が許可するゥ……。ほら見ろって、自然の、自然のこの、侘び寂び?的な?良いでしょこの、豊かな……、何かこう、雰囲気?」

 

「は、はあ」

 

「まあ、再現された自然だからある意味人工かな?でもまあ、ここまでやると人工と自然の違いって分かんなくなるよな。日本庭園みたいなもんだと思おうか。あれも人工の自然だしな」

 

「?」

 

あー。

 

「まあほら、景色綺麗でしょ?」

 

「はい。その、ホログラムですか?」

 

「いや、本物」

 

「え?宇宙船の中なんですよね?」

 

「宇宙船の中に自然があるんだよ」

 

「そ、そうなんですか?今まで聞いたことないです」

 

「ほら、ロドリスから見えなかった?宙の白い艦」

 

「あ、あれですか?!」

 

「そう、その艦の中だよ。ロドリスから見てもちょっとした惑星くらいデカイのが分かるだろ?だから、艦の中も広くて、色んな自然があるんだよ」

 

「す、凄いです!」

 

エリーは、宇宙船内の環境プラントに興味があり、将来は自然科学系の大学に入って、宇宙船で移動する人々が自然に触れられる、ストレスのない航海をしてもらう為のシステム開発や植物ゲノムの編集がやりたかったそうだ。

 

「でも、今はもう、大学も行けないですけどね……」

 

ふーむ。

 

「そうだな、大学は無理かもしれんが、その道のプロに授業してもらうことはできるぞ。俺の部下にそういうのに詳しい女がいてな」

 

「でも、私、借金が……」

 

「ああ、それな」

 

俺は立体映像を見せる。

 

『では、エリー・ポートランド氏の借金は完済と言うことで』

 

『了解しました、三十万リッチ、耳を揃えて払っていただきました』

 

アリエスに払いに行かせた。

 

「払っといたよ」

 

「………………え?」

 

 

 

「な、何で、ですか?」

 

風呂から上がって、エリーをラフな部屋着に着替えさせた。

 

「たったの三十万リッチで美少女ゲットなら払うでしょ」

 

「そ、れは、じゃあ、私、強制労働とか……」

 

「え?良いよ別に。うちの部下の方が仕事できるし。エリーちゃんはそうだねぇ、俺の話し相手?」

 

「は、はあ?」

 

「俺はほら、独居老人みたいなもんやし。話し相手が欲しいんだよ」

 

「えっと……?」

 

「何となく拾っただけだよ、嫌だったらロドリスに下ろすから言って。ほら、孤児院とかあるでしょ?」

 

「………………」

 

「俺についてくるんだったら、まあ、一生宇宙を旅するだろうね」

 

「……借金を、返してくれたんですよね」

 

「ああ」

 

「それなら、私は、恩返しがしたいです」

 

ほーん?

 

「別に良いよ、勢いで拾ったけど、俺についてこなくても怒らないよ」

 

「いいえ、私は、恩返しがしたいです!」

 

ほーん。

 

「OKだ。今日から君は十二宮の住人だ!」

 




あー、生きるのめんどくせえ。

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