ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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汚い魔法使いの弟子、はーじまーるよー!


魔法使いになろう!
1話 スカウト!


「どこだァ〜?叢雨志導ゥ〜!!!」

 

「舐めた真似してくれやがって、ぶっ殺してやる!!!」

 

「オラァ!いるのは分かってんだぞ!出てこい!」

 

あー。

 

やっべーーー!!!

 

そもそもどの件だ?

 

チョーシ乗ってる番長(笑)を闇討ちして駅前に吊るしたことか?

 

ヤクザの組長の一人娘堕として抱いたことか?

 

舐めたゾッキーの通過地点にピアノ線張ったことか?

 

クソ、覚えがあり過ぎてどれだか特定できねえ!!!

 

「叢雨志導ー!!!てめーはもう殺すぜぇぇぇ!!!明日の朝刊載ったぞてめー!!!」

 

「ボコって富士の樹海に捨ててきてやるよぉぉぉ!!!」

 

「セメントに埋めて東京湾に沈めてやる!!!」

 

やだ、殺害方法のレパートリー多い!

 

あー、クソ!

 

どうすっかなマジで!

 

チンピラ相手なら、四人くらいまでならまあ、何とかする自信はあるけどよぉ……。

 

「「「「どこだーーー!!!」」」

 

三十人は無理だわ!!!

 

ああ、クソ!中学生で死ぬのは早過ぎるだろ!俺は孫に囲まれて老衰で死ぬって決めてるんだ!ここで死ぬ訳にはいかねーぞ!!!

 

「なら、どうする?」

 

「逃げるんだよ!」

 

「逃げてどうするのさ」

 

「正確には逃げるフリをするんだよ、そんで、追いついてきた奴らから各個撃破だ」

 

「……るろ◯に剣心?」

 

「それとこんな言葉もある。一度に四人倒せれば作戦なんて関係ない、五十億人と喧嘩しても勝てるってな!」

 

「……グラップラー◯牙?」

 

「うるせー!どっちも良作だろうが……、って、お前……?!!」

 

「何だい?」

 

「な、んで」

 

ひ、人が、宙に浮いてる?

 

「え?何?僕、なんかおかしいことしてる?」

 

「宙に浮いてるだろ!」

 

「え?あー……、こんなの、初歩の初歩だよ?大抵の魔法使いならできるよ」

 

「魔法使いだぁ……?」

 

長い金髪、胡散臭い笑顔、ひょろ長な肉体。

 

宗教勧誘の六倍は胡散臭いオーラ。

 

「ははは、よく分かんねえけどよ……、魔法使い様なら、哀れなパンピーの俺を助けてくんねえかな?ちょーっと悪ーい奴らに追われててさ」

 

「自業自得なのに?」

 

「うるせえ!」

 

「ははは、分かった分かった。ただし、条件が一つ」

 

「あぁ?んだよ?」

 

胡散臭い男は、無礼にも俺に指を指した。

 

 

 

「僕の弟子になれ」

 

 

 

「はあ?」

 

「君、本当に才能あるよ。僕に次ぐ……、始まりの五人に次ぐ大魔導師になれる才能がね」

 

トチ狂ってんのかこいつ?

 

「何だそりゃ。まあいいや、助けてくれんならパパッと助けろ。じゃなきゃ俺は明日の朝刊にコンクリに埋められて樹海で発見されたと載るぞ」

 

「ははははは!そんなことにはならないよ!何せ……」

 

胡散臭い男が指を鳴らす。

 

「「「「ぴぎっ」」」」

 

「ほら、君は助かった」

 

……え?

 

マジで魔法使い?

 

「マジだよ」

 

「マジか……」

 

 

 

夜の八時。

 

空飛ぶ気狂いがマジで魔法使いだった件。

 

その証拠に、東京にいたはずの俺が、この男について行ったら、いつのまにか森の中の城に案内されていた。

 

東京に森なんてねーよ!

 

よしんばあったとしても、こんな土地ねーよ!

 

「あ、ここ、魔法で作った異次元だから」

 

「お、おう」

 

「じゃ、入って」

 

「お、お邪魔します?」

 

そこには。

 

「「「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」」」

 

ガキ、ガキ、ガキ、ガキ……。

 

見てくれの良い、小学生低学年くらいの女がずらーっと並ぶ。

 

四十人はいそうだ。

 

「な、何だこりゃ!」

 

「だだいま!僕の天使ちゃん達!」

 

は?

 

「「「「アニマ様ぁ〜❤︎」」」」

 

は?

 

「全くぅ〜!甘えんぼさんだなあ!僕の天使ちゃん達は〜!」

 

は?

 

「いや……、キレないでよ」

 

「何だこれ」

 

「僕の天使ちゃ」

 

「は?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

 

「まあ、お前がロリコンなのは良いとして……、結局、魔法使いって何だよ?俺に才能があるって?」

 

「あるある、めっちゃあるよ」

 

はー。

 

「………………」

 

「……え?今僕のこと魔法で半殺しになれって思った?」

 

「うん」

 

あ、分かるんだ。

 

「いや……、心くらい読めるけど。少しは躊躇ってくれない?」

 

「いや、良いかなって」

 

「人の心がないのかな?」

 

あるぞ。

 

「まあ、良いや。はい、入門用の魔導書」

 

読めってか。

 

「俺勉強苦手なんだけどな」

 

「大丈夫だよ。本を開くだけで良いんだ」

 

ほーん?

 

なら開いてみるか。

 

「……う、お?!!!!」

 

「うん、やっぱり、君には才能がある」

 

「………………」

 

 

 

はっ?!

 

今何時だ?

 

スマホを開く。

 

ホーム画面には11:35……。

 

「次の日じゃねーか!」

 

「あ、おはよう。昼ごはん食べてきなよ」

 

「てめえこの野郎!出席日数ヤバいんだぞ!卒業できるか怪しいんだぞ!『加速』『倍力』!!!」

 

「おっと」

 

透明な膜に俺渾身のストレートが防がれ……、って、今俺……?!!

 

「うん、うん!良いね!初歩的な魔法のダウンロードパッケージが上手くダウンロードされてるね!」

 

「お前、これ……」

 

俺は今、無意識に魔法を使っていた。

 

頭の中に魔法の知識がある。

 

「いやー、これ、魔法の才能ない人が使うと頭がパーンってなるんだけどね!」

 

「んな危ねえもん俺に見せんな!!!」

 

ぶん殴る。

 

「顔が痛い!」

 

鼻血を吹き出す胡散臭い男。

 

「いや……、これ、使う人ちゃんと選んでるから。君は才能があるから使っても良いって判断したんだよ」

 

「それでも普通使うか?」

 

「万一パーンってなっても、僕なら治せるしね」

 

「ほーん、治せりゃ人の頭パーンしてええんか。ならお前の頭もパーンしてやろうか?」

 

「ははは、今の君じゃ僕に指一本も触れられないよ」

 

「………………触れるじゃん」

 

「いや……、敵意がないなら触れるよ。僕を害する気なら勝てないよってことだよ、比喩表現だよ」

 

成る程。

 

「死ねっおらっ!『加速』『倍力』!!!」

 

本当だ、防がれる。

 

「だからって殺す気で殴るかい?!!」

 

 

 

「じゃあ、改めて名乗ろう。僕はアニマ。魔法使いだよ」

 

ほーん。

 

昼飯……、普通にパンとハンバーグ、サラダが出てきたので、それを食った後に話をする。

 

「君の名前は?」

 

「魔法で知ってるだろ」

 

「そうだけど……、折角だから名乗ってよ」

 

「やだ」

 

『君の名前は?』

 

「叢さ……?!!!」

 

何だこれ?!

 

暗示か?!

 

慌てて口を抑える。

 

「……おや!凄いね!抵抗できるんだ!ではもう一度。『君の名前は?』」

 

「が、あっ……?!!!」

 

む、ムカつくぅ!!!

 

こんな野郎の思い通りに動くなんて絶対に嫌だ!死んでも抵抗してやる!!!

 

「二度目も防ぐの?素晴らしいね!では、これで最後だ、強めに行くよ。『名乗れ!』」

 

「がああああああああっ!!!!」

 

「どうだい?叢雨志導君?」

 

「……死、ねぇ!!!」

 

ぶん殴る。

 

「顔が痛い!」

 

鼻血が出た鼻を抑えながら、俺を称賛し始めるアニマ。

 

「素晴らしいよ!実に素晴らしい!さっきの暗示は、一般人ならまず防げないし、そこそこの魔法使いにも効くんだよ?それを、たかが魔導書一冊ダウンロードしただけのインスタント魔法使いが抵抗するだなんて!君の精神が圧倒的に強い証拠だ!」

 

「そうかよ……!!」

 

「いやあ、嫌な奴には一ミリたりとも従いたくないとは!本物の社会不適合者だね!感心するよ!」

 

「おらっ!」

 

「顔が痛い!」

 

さっきから殴れてるな。

 

殺す気パンチ以外は通るのか。

 

「実に素晴らしい精神力だ!精神的に超人だよ君は!」

 

鼻を抑えながら、アニマは言った。

 

「魔法使うのに精神力いるのかよ」

 

「いるとも!メンタル弱い奴は何やらせても駄目だからね!」

 

「まあ、そりゃそうだ」

 

「兎に角、歓迎するよ。僕の久し振りの弟子、叢雨志導君!」

 

まあ、そうだな。

 

「魔法とやらを覚えれば、喧嘩で楽に勝てるか?」

 

「ああ、非魔法使いなんて、軍隊が相手でも楽勝さ」

 

「楽して稼げるか?」

 

「まあ……、多分?」

 

「……退屈しねえか?」

 

「……最高に楽しい日々を約束しよう!」

 

なら……。

 

「やってやるよ、魔法使い!」

 




例によって人間性ガバガバ主人公です!

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