ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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取り敢えず、こっちはひと段落ついたら、帰還勇者を投稿します。


8話 茶髪の子かわいそう

「あ、あの、入学式……」

 

「サボれ」

 

「ひーん……」

 

何だァ……、テメェ?

 

「その、駄目です……」

 

「うるせぇ!行こう!(ドン!!!)」

 

「私、チョ◯パーじゃないですぅ……」

 

 

 

痩せ型、胸尻控えめ。髪色、明るいブラウン。髪型、サラサラショート。顔、可愛い、しかしクソダサ瓶底眼鏡で大幅減点。服、八ツ橋学院高等部の制服。大人と子供の中間時期。食べ頃。つーか本当に何だそのかってに◯蔵みたいな眼鏡。舐めてんのか?似合ってねえぞ。

 

対して俺。高身長(182cm)、イケメン。髪色は黒。髪型、美容院カット、プラスセットバッチリ。筋肉はほどほど。服装、改造制服。

 

改造制服?

 

だって俺、導師の弟子、稀少固有魔法、禁術使いの三本揃ってるから、バレたらやばいし、制服はガチガチに防護魔法で固めてるよ。

 

あと……、ブレザー、ダッセェ。

 

学ランが良かった。

 

ネクタイとか好きじゃないし、首に紐を巻いておくとか弱点でしかねえ。シャツの上に上着を羽織っている。なお、上着は黒のロングコート。師匠の真似。

 

改造制服はオーケーらしいし、遠慮なく改造させてもらった。

 

裁縫ができるような繊細な男とは思えない?

 

母親の育児放棄で、自分で服とか縫えなきゃ困ったんだよなあ。

 

はい、取り敢えずこの女を拉致って、校内を見回る。

 

何で入学式なんてもんに出なきゃならねえんだ?

 

ダルいだけだろ。

 

式とかやりたがるのが人間の悪いところだ。

 

「あの……」

 

「何だ」

 

「お名前、教えてくれますか?」

 

それくらい構わん。

 

ってか、調べれば分かるだろうしな。

 

「叢雨志導」

 

「志導君、ですね。私は愛染湊です」

 

みなと、か。

 

知らん名前だ。

 

当然だが。

 

「一年生ですよね?クラスは……?」

 

「Aだ」

 

「私もAです!仲良くしてくださいね!」

 

「おう」

 

校舎の中を歩く。

 

特に、ホグ◯ーツ的なビックリドッキリクソギミックや、そこら辺に魔法生物が転がっていることもなく、普通の高校っぽい。

 

「志導君の学派はどこでしょうか?」

 

学派……。

 

あー……。

 

普通は、始まりの五人に師事した、なんて奴はそうそういない。

 

そして普通は、だいたい何でもできる、とかではなく、自分のやりたい分野に絞って学ぶ。

 

だから、魔法使いには学派がある。

 

生命魔法の使い手でも、肉体の再生や病気の治療をメインにする『施療院』、あくまでも生命の神秘を探求する『真命会』、肉体の操作による自己改変で生命体として進化することを目的とする『スペリオルズ』、魔法生物の創造と操作に心血を注ぐ『レギオン』……。

 

変わったところだと、延々と生き物を搔っ捌く『解体新書』、房中術の流れをくむセックスカルト『淫性會』、脳内麻薬の操作で精神的に天国へ行こうとしている『ヘブンズドア』などなど。

 

他にも、細かい学派が数え切れないほどある。

 

そして、学派ごとに仲が良い、悪いなどがあり……、大変めんどくさいことになっている。

 

まあ、宗教みたいなもんだ。キリスト教にもカトリックとプロテスタントがいて、その上で、天使信仰、聖母信仰やら色々あるだろ?イスラム教の一部とか、過激派もいるだろ?

 

魔法使いの歴史は五十万年以上。

 

そりゃ、学派やら何やらも複雑化するってもんだ。

 

「私は元素魔法の『エレメンタルダスト』です」

 

エレメンタルダスト……、元素魔法の学派の有名どころだ。あまり魔法世界の事情に詳しくない俺でも知ってるぞ。

 

確か、元素魔法の中でも、四大元素……、火、水、風、土を操ることに特化した連中だったな。有名どころだ。

 

となると俺は……。

 

「俺はフリーの魔法使いだ」

 

こう言っときゃ良いだろう。

 

「え?フリーですか?」

 

フリーの魔法使いはかなり少ない。

 

フリーだと不利だからだ。駄洒落じゃねえぞ、マジな話だ。

 

フリーだと、横の繋がりがないから、他人の研究を見れないし、組織から守ってもらえない。

 

フリーってのは即ち、問題がある魔法使いなのか、それとも、学派に入らなくても良いくらいに凄い魔法使いなのかのどっちかだ。

 

まあ、基本的には、学派から追放された奴とかだから、差別の対象だな。

 

「そ、そうなんですか……、その、珍しいですね……」

 

「文句でもあるか?」

 

「い、いえいえ、ありませんよ」

 

だが俺は、できることが幅広過ぎて、特定の学派に入ってますとは言えないんだよな。

 

俺は『施療院』のように、肉体の回復や再生、病気の治療もできるが、『スペリオルズ』のように、肉体変化もかなり使う。その上、『淫性會』のように性魔法も使えるから……、どこか一つの学派に属しているとは言いづらい。

 

まあ、学派の掛け持ちはできるが……、調べられたらバレる嘘はやめた方が良いな。

 

因みに、生命魔法が一番得意だが、他は、運動、器物、時空、元素の順に使える。

 

どれも腕前は上の下ってところか。

 

「じゃあ、得意な魔法分野は何ですか?」

 

「生命だ」

 

「……え?」

 

「生命だ」

 

「そ、その、私を解剖したり……」

 

「しねえよ」

 

そんなことせんでもデータはあるし、検体は師匠が解剖用のホムンクルスをくれる。

 

ってか、やっぱり、フリーの生命魔法の使い手の認識ってのはそんなもんなのか。

 

 

 

適当に校舎を歩き回るが……、魔法の学校とは思えないくらいに普通だ。

 

別に首なしの幽霊出てこいとかそういうのはないが、拍子抜けだ。

 

グラウンド、広い。山の中の学校なのに……。こんな土地、日本にねえだろ。時空魔法だな。

 

山。生命感知の魔法によると、魔法生物が結構いる。

 

「山ですか?何でも、実習で山の魔法生物を捕まえたりするらしいですよ。私の師匠が言ってました」

 

成る程、そんな感じか。

 

魔法生物の中には、例によって、マジックアイテムの材料になる奴が多い。

 

養殖でもしてんのかな?

 

体育館、は今入学式やってるのでスルー。

 

職員室?どうでも良い。

 

保健室……。

 

「おっすおっす」

 

「お邪魔しますー……?」

 

「あら?」

 

お、保健室の先生は女か。

 

白衣で赤い縁の眼鏡、ウェーブのかかった長いブラウンの髪。女にしては背は高め、胸は大盛り。美人だな。

 

「こんにちは」

 

「はい、こんにちは……?学生さん?入学式は?」

 

「サボりだ」

 

「あら、悪い子ね」

 

「悪い子は嫌いか?」

 

距離を詰める。

 

「あら……、悪い子は好きよ?見てて面白いもの」

 

「そりゃ良かった、俺くらい愉快な男は他にいないからな。だが、あんた程良い女も他にはいないだろう」

 

「あらあら、口説かれてるの、私?面白い子ね……、どこの子かしら?」

 

「吹けば飛ぶようなフリーの生命魔法の使い手だよ」

 

「そうなの?私も生命魔法専門よ。『施療院』の薬研治恵よ、よろしくね?」

 

ほーん?

 

年齢は……、25ってところか。

 

行けるな。

 

「ああ、よろしく。だがまあ、俺はここに誰かを送り込むことはあっても、俺が来ることはまずないだろうな」

 

「そう?会いに来てくれても良いのよ?お茶くらい出すわ」

 

「そうか、コーヒーにしてくれ」

 

「はいはい。そっちの子は?」

 

「は、はい、『エレメンタルダスト』の愛染湊です」

 

「そう、貴女もサボり?」

 

「そ、その、サボるつもりはなかったんですけど……」

 

ちらりと俺を見てくる。

 

「……貴女、色々と損するタイプねえ」

 

「あはは、よく言われます……」

 

 

 

「まあ、流石に、クラスメイトとの顔合わせくらいはした方が良いわよ。あと一時間くらいで入学式は終わるから、そしたらクラスに戻りなさい?」

 

「ああ、そうする。一時間か……、学校に何か面白いところは?」

 

「うーん、図書館とか?魔法使いなら魔導書を見たいでしょう?蔵書は結構充実してるわよ」

 

ほーん?

 

「それと、裏山ね。あそこには、割と貴重な魔法生物が養殖されてるわ」

 

ほーん?

 

「他にも、マジックアイテム保管庫とか。割と良いもの置いてるわよ」

 

ほーーーん?

 

まあ、今日のところは良いか。

 

「成る程。さて、取り敢えず……、一時間、話に付き合ってくれ。暇つぶしにな」

 

「ええ、それくらいなら」

 

治恵さんとプライベートの会話を楽しんだ。

 

 

 

湊?

 

端っこでココア飲んでるよ。




旅人は多分明日とかじゃないかな。

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