ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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基本的に作者の書く主人公の人間性はゼロです。


9話 楽しい自己紹介

「入学式終わったなー」「校長先生の話面白かったなー」「見たか?エレメンタルダストの副代表が来てたぞ?」「それを言ったらアイアンメイデンの幹部も来てたわよ」「なあ、見たか?暁月衆が来てたぞ?後継者探してるってマジなのかな?」「分からん……」

 

ざわざわする教室。

 

1-A、俺のクラスは、俺がサボった入学式に真面目に出た連中が戻ってきていた。

 

「うぃーっす」

 

「お、お邪魔しますー」

 

俺と湊は、ざわざわするクラスに入る。

 

「「「「………………?」」」」

 

「遅刻でーす」

 

「あの、その、私は……」

 

担任教師は……?

 

チッ、んだよ、男かよ。

 

「君達は?」

 

スーツの色男。茶髪。ホストと軍人の中間?顔とか髪型はホストなんだが、身体やら佇まいは軍人のように鍛えられている。

 

「遅刻っつっただろ」

 

「そうか……、分かった。あと、敬語を使いなさい」

 

「考えておく。俺とこいつの席は?」

 

「好きな席に座ってくれ」

 

「おう」

 

「は、はい……」

 

 

 

「入学式サボりかよ……」「勇気あるな」「あの子もサボり?」「不良ってやつかしら」

 

生徒達がヒソヒソと話す。

 

「はい、注目」

 

その時、空気を変えるために、担任が手を叩いて言った。

 

「まずは自己紹介をしよう。例え魔法使いと言えども、他者とのコミュニケーションは大切だ。他人と全く関わらない仕事なんて存在しないんだからね」

 

一理あるな。

 

「では、まずは僕の自己紹介から始めよう。僕は元素魔法の使い手で、『六雷教典』の『四雷』、名前は霧崎響夜だ。年齢は28で、趣味はランニング。魔法以外の特技は古文書解読。これから三年間よろしく……?」

 

俺は『異次元倉庫』の魔法を使い、中から今週のヤングジュンプを出す。担任の自己紹介とか興味あるか?

 

俺はない。

 

「君は……、はぁ、全く。まあ良い、それじゃあ、この列から自己紹介をしていってくれ一人二分くらいで頼む」

 

やっべえ、今週の黄金神威も面白え……。

 

え?

 

クラスメイトの自己紹介?

 

どうでもよくない?

 

ただ、まあ、目立つ奴は何人かいる。

 

「俺は……、カードバトラー!生命魔法、『レギオン』の八竜無限!ドロー!モンスターカード!召喚!光の騎士!ふはははは、はーっはっは!!!」

 

なんか……、カードゲーム漫画のライバルキャラみたいな男。

 

「僕は器物魔法、『武器庫』の青木芽衣。趣味は武器弄り、特技は射撃。武器型のマジックアイテムなら相談に乗るよ。……有料で」

 

ガキにしか見えないチビ女。

 

「あー……、俺は……、あんま言いたくないんだけど、まあ良いか。時空魔法、『天文台』所属、宗方空。趣味は旅行だ。時空魔法使いだからってタクシー扱いはゴメンだぜ?」

 

落ちぶれたホスト崩れみたいな男。

 

「アタシは、運動魔法、『破滅の真言』の三段、不動夏希!特技も趣味も格闘技!格闘技は見るのもやるのも好きだよ!よろしくね!」

 

なんか暑苦しい女。

 

「拙者は藤林道長。元素魔法、『伊賀忍術』下忍でござる。趣味は俳句と茶道、特技は潜入。好きな食べ物はラーメンでござるが、某忍者漫画とは一切関係がないでござる。その辺り覚えておいて欲しいでござる」

 

あからさまな忍者の男。

 

「生命魔法、『陰陽寮』、『十六代目ハルアキラ』の三日月小春。まだまだ今代のハルアキラとしては未熟ですが、精進していきたいと思います」

 

なんか悪魔喚びそうな女。

 

「俺は器物魔法、『黒鉄の巨神』の准尉!鋼レオ!好きなものは愛と平和とスーパーロボットだ!」

 

あからさまに登場する場所を間違えている、スーパーロボットアニメの主人公みたいな男。

 

それ以外にも何人か面白そうなのはいたが……、まあ、俺よりは強くねえだろうな。

 

「愛染湊、元素魔法、『エレメンタルダスト』の『水のアルケー』見習いです……。趣味と特技は……、お料理です」

 

「では次、君」

 

「俺か」

 

俺か。

 

「生命魔法のフリー魔法使い、叢雲志導だ。趣味は女漁りと漫画、特技は借金取りとヤクザから逃げること。将来的には魔法使いとして食っていく気でいるから、高校生活は適当にやらせてもらう」

 

こんなもんか。

 

「フリーの生命魔法……?」「フリーで生命魔法の使い手とか……」「絶対ヤバい」「解剖とかする奴だ……」「人殺し……」

 

そしてこんな反応。

 

「あらかじめ言っておくが、俺は師匠が用意した人型ホムンクルスで生体実験をやったことは何度もあるが、生きている人間をバラしたことはないぞ」

 

「本当か……?」「嘘じゃないか?」「やはりヤバイ」「フリーの生命魔法の使い手はみんなそう言うんだ」

 

まあ、そんなもんか。

 

 

 

自己紹介が終わり、校内の案内をされることに。

 

まあ、適当に案内されるが……。

 

「わあ!凄い量の蔵書!エレメンタルダストの図書館くらいある!」

 

俺は図書館の本をめくる。

 

結果、ゴミ。

 

精々一万年前くらいの魔導書しかない。

 

古けりゃ良いってもんじゃないが、あんまり参考にはならなさそうだ。

 

「どうしたんですか、志導君?」

 

「俺はここの本より良い本を読める」

 

「ええ?!そうなんですか?!凄いです!」

 

信じるのか。

 

こいつ馬鹿だもんな。

 

マジックアイテム倉庫や山も案内されたが、魅力は感じなかった。

 

 

 

昼休みに突入。

 

飯だ。

 

正直、既に食事の必要はないが、食いたいので食う。

 

「志導君、一緒にご飯食べましょう!志導君はお弁当ですか、学食ですか?私はお弁当作ってきました!」

 

「俺はここで作る」

 

「はい?」

 

時空魔法の『異次元倉庫』からテーブルクロスを出す。

 

このテーブルクロスは器物魔法で作った、『その時食べたいと思ったものが出るテーブルクロス』だ。

 

「何ですか、これ?」

 

「名付けて『ノーモアクッキング』ってところか。起動」

 

今日はラーメンの気分だ。

 

味噌バターコーンラーメン。

 

マジックアイテム起動、出た。

 

「え、ええ?!す、凄いです!どこで買ったんですか?!」

 

「暇な時に作った」

 

「えー!凄いですー!」

 

そうか?

 

これくらいなら、一流の器物魔法の使い手なら大体できるってレベルだぞ。

 

「へー!凄いね、君!確かフリーの生命魔法の使い手だったよね?なのに、そのレベルの器物魔法を?」

 

ん……。

 

「芽衣だったか?これくらいならできる。師匠の知り合いに習った」

 

「なんて言う人なの?」

 

「人妻スキー」

 

インスとは言えない。

 

「むー、秘密ってこと?まあ良いや、僕にも何か頂戴!」

 

「金」

 

「えー!友達になってあげるからロハで!」

 

碌でもねえなこいつ。

 

「何やってんだい?」

 

こいつは、夏希だったか。

 

「えっと……、不動さんだっけ?この叢雲君が面白いマジックアイテム持ってるから使わせてっておねだりしてるの」

 

「夏希で良いよ、芽衣。で、どんなのだい?」

 

「食べたいものが出るテーブルクロス」

 

俺が答える。

 

「へえ!面白いね!アタシも昼はまだなんだ、使わせてよ」

 

「金」

 

「……ケチ?」

 

え?

 

「これは俺がケチなのか?」

 

「魔法使いってお金持ちじゃん」

 

「そうなのか?ウィギレスとか手取り二十万なんだろ?」

 

確か、魔法使いの警察組織ウィギレスの下っ端の給料は月二十万円だと聞いているが?

 

「あー……、言っとくがな、ウィギレスの給料は、家賃光熱費水道代税金食費全額払ってもらって、生活必需品の支給をされた上で、自由に使える金額が二十万なんだよ。ウィギレスの下っ端の俺が言うんだ、間違いない」

 

時空魔法の空、だったか。

 

「へー、宗方君はウィギレスに所属してるんだー」

 

芽衣が言った。

 

「そうだよ。だから現場への移動で毎日タクシー扱いされてヘトヘトだ。っと、まあ、そんな感じだから、魔法使いは割と金持ちだ。マジックアイテムの貸し出しくらい、ロハで良いんじゃねえか?」

 

そんなもんなのか。

 

「ほらよ、使え」

 

適当に異次元倉庫から引っ張り出した予備のノーモアクッキングを渡す。

 

「わーい!お昼代が浮く!」

 

「おっ、アタシも良いのかい!」

 

「俺もか、ありがてえ」

 

「ふはははは!!!!」

 

「ござるござる」

 

「ありがとうございます」

 

「これが友情か!」

 

……どこから湧いた、無限、道長、小春、そしてレオ。

 

 

 

食後。

 

「因みにこれ、食器はどうすりゃ良いのさ?」

 

夏希が聞いてきた。

 

「食べ終わったら、箸で食器の縁を三回叩け。そうすると箸と食器が消える」

 

「便利だねえ」

 

そうして、食器を消した後に。

 

「そういやさー、何で遅刻したの?」

 

芽衣に聞かれた。

 

んー。

 

「この湊って奴が入学式サボろうぜって無理矢理……」

 

「ちちち、違いますぅー!志導君が無理矢理サボって遊びに行っちゃったんじゃないですかー!」

 

「は?」

 

「ぴいっ!」

 

ちょっと威圧しただけで面白いくらいにビビる湊。

 

「うーん、やっぱり悪い奴なんじゃないかな……?」

 

と芽衣。

 

「まあ……、ウィギレスの世話になるようなことはすんなよ?」

 

と空。

 

「そう言えば貴様、俺と同じ生命魔法の使い手だそうだな。ならば、カードバトラーか?」

 

と聞いてくる無限。

 

何だよ、カードバトラーって。

 

「まあ、生命創造はできるぞ、ほら」

 

取り敢えず、全裸の女ホムンクルスを作る。

 

「ほう……!ふつくしい……!」

 

「きゃああ!志導君!何やってるんですか!」

 

「おお……、凄えな……」

 

ホムンクルスの乳を揉む。

 

「し、志導君ー!駄目ですー!えっちなのは駄目ですよー!」

 

「うるせえ、お前の乳を揉むぞ」

 

「ぴいいっ!」

 

そして、女ホムンクルスは邪魔だから始末する。

 

「『時空追放』」

 

「「「「ッ?!!!」」」」

 

ん?どうした?

 

「今のは『時空追放』だろ?!」

 

「そうだな」

 

「おいおい……、生命魔法の使い手で、器物魔法と時空魔法も高レベルとか、お前ナニモンだよ?!」

 

「運動魔法と元素魔法も使えるが」

 

「マジかよ……?!」

 

空がビビる。

 

「もしかして、子供の頃から修行してたベテランとか?僕は五年目だよ」

 

「俺も五年目だ!」

 

と芽衣とレオ。

 

「私は四年目です……」

 

湊。

 

「俺は六年目だな」

 

「俺もだ」

 

空と無限。

 

「アタシは七年目だ」

 

「拙者も」

 

夏希と道長。

 

「私は……、物心つく頃には修行していました」

 

と小春。

 

 

「俺は……、丁度一年くらいか?」

 

「「「「はぁ?!」」」」

 

「ありえねー……」

 

「一年目って普通、魔法使うことすらできないと思うんだけど……?」

 

「化け物かな?」

 

好き勝手言うねえ。

 

「俺より師匠とその知り合いの方がもっとヤベーからな。意識したことねえわ」

 

「師匠ナニモンだよ……?」

 

「ロリコン」

 

「ロリコンって……」

 

まあ、こんなところか。

 




おれはかまきり。

かまきりりゅうじ。

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