ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おぼーん。


5話 土井中村の日常 その1

イェーイ!隠居生活最高ー!

 

デモンズネストで好きな研究して、暇つぶしにゲームやら読書やらをして、夜は嫁とエロいことして、首都圏に転移して飯食って寝る!

 

みたいなだるだる生活を一ヶ月過ごしていた俺。

 

その間、フリーダムな嫁'sは完全にノーマークであった。

 

……なんかしでかしてねえだろうな、こいつら!

 

近所に聞き込み調査を開始ィ!!!

 

 

 

結果:手 遅 れ

 

 

 

さて……、どうなっているか、嫁について行って調査しよう。

 

まずは、銀狼族のルシアを見てみよう。

 

ルシア、いわゆるワーウルフ。

 

ルシアの一日は走り込みから始まる。

 

この土井中村は、山と海があるクソ田舎である。

 

具体的には、ゲーセンには路上の闘士達の初代が現役で、駄菓子屋やら怪しげな古本屋やらがある。

 

気のいいババアが漁師相手にやっている、クソ朝早くから開く定食屋兼居酒屋、畑、赤い看板のラーメン屋、畑、死にかけのジジイ猟師が鹿やら熊やらを狩ってくる山、畑、そして畑。

 

カフェなんざねえ、古ぼけた喫茶店でコーシーを飲むハイカラなジジババ、過疎化で一クラスしかない学校(木造)、野良猫の群れ。そして畑。

 

もしかしなくても田舎なのん。にゃんぱすー。ふざけんなクソが。

 

まあ、割とでかい図書館とか、地域密着型のスナックとかもあるし、ちょっと遠くには商店街と銭湯、神社、謎の剣術道場もある。

 

そんなクソ田舎の村を、朝っぱらから走るのが、ルシアだ。

 

ルシア的には鍛えているとかそういうのではないらしい。

 

ぶっちゃけ、魔法とナノマシンで俺達の肉体は固定化されてるので、劣化やら老化やらはしないんだが、ルシアは身体が鈍ると言って、毎朝村をぐるっと一周、走っている。

 

因みに、この村はクソ広いんで、普通の人間なら一周回るだけでもかなりの時間がかかる。

 

……が、まあ、ルシアは機動性に長けた銀狼族の女だ。

 

足はかなり速い。朝の一、二時間で一周回りきる。

 

本気で全速力を出すと、ソニックブームで村を吹っ飛ばしながらマッハで走れるが、ルシアは優しいし良い子なので、そんなことはしない。

 

走り終わった後は、定食屋で朝飯。

 

今日は一緒に行った。

 

「おばちゃん、おはよー!」

 

「あら、ルシアちゃん!おはよう!……あら?そちらの方は?」

 

「私の旦那さんだよ!」

 

「あー……、どうも、夫の嶺二です」

 

「あら!あらあらあら!ルシアちゃんの旦那さん!まあまあ、話に聞いていた通りのイケメンさんねえ!」

 

定食屋の太ましいババアに歓迎される。

 

「嶺二さん、お仕事は?」

 

「あー……、その、一山当てて隠居しました」

 

「そうなの?若いのに勿体ないわねえ。何してたのかしら?」

 

クソが、突っ込んできやがる!

 

これだから田舎は!

 

「軍隊の兵器とかを開発する研究者でしたね」

 

「まあ!じゃあ凄く賢いのね!凄いわあ、ルシアちゃん以外の変わった子達は?」

 

「あー……、その、俺がいた国では重婚ができたので、嫁は十二人います……」

 

「まあ!凄いわあ、若いって良いのねえ。私も若い頃は旦那と毎日何回も……」

 

聞いてねーよ!

 

そして数分世間話をした後に、注文。

 

「私、野菜炒め定食大盛りで!」

 

「はい、いつものだね!」

 

いつもここで食ってんのか。

 

「俺は……、刺身定食、中盛りで」

 

「まあ!嶺二君、若いんだからたくさん食べなきゃ駄目よ!大盛りにしといたから!」

 

畜生!

 

ババア特有の余計なお世話だ!

 

まあ、食えるけど……。

 

「「いただきます!」」

 

「はい、召し上がれ!」

 

ルシアと飯を食う。

 

多いんだよな、いや、食うけど。

 

あ、美味い。

 

そして、代金(あの量で八百円はヤベーだろ)を払って、店を出る。

 

その後は、商店街を散歩。

 

「お、ルシアちゃん!隣のハンサムさんは?」

 

「旦那さんのレイジ君だよ!」

 

「ほお〜!いやあ、良かったよ!ルシアちゃん、良い男捕まえたねえ!」

 

「うんっ!レイジ君は本当に素敵な人だよ!」

 

「良いねえ、俺も若い頃は母ちゃんが最高の女に見えたもんさ!」

 

「何だってえ?今は違うってのかい?!」

 

裏からおばさんが出てくる。

 

「げえっ!母ちゃん!い、いや、違うぞ?今の母ちゃんもルシアちゃんに負けないくらい良い女だぞ?!!」

 

「全く……。ほら、ルシアちゃん、コロッケパンあげるよ!」

 

「わーい!」

 

「あ、ルシアちゃんの旦那さんもどうぞ!うちのコロッケパン、美味しいよ!」

 

「あ、はい、おいくらですか?」

 

「タダでいいよ!ルシアちゃん達はいつもみんな良い子にしてるんだから!」

 

いや……、商売としてどうなんだそりゃ。

 

大体にして、タダより安いものはないんだぞ。

 

「ってかルシア、いつももらってるのか?」

 

「え?うん、肉屋のおじさんとおばさんはいつもコロッケパンくれるよ?」

 

あー……。

 

「いや……、本当に申し訳ないです。今までの分払いますから」

 

取り敢えず、一万円くらいでいいか。

 

財布には百万ほど突っ込んであるが。

 

その財布を見てギョッとする肉屋の夫婦。

 

「い、いや、良いんだよ、大して高いもんじゃないしね」

 

「そ、そうだぞ。ルシアちゃんはいつも商店街の人らを助けてくれているんだから、これくらい構わんよ」

 

「ですが……」

 

「えっと、嶺二さん?構いませんから、本当に!むしろ、金持ちの嶺二さんとこの嫁さんに、こんなうらぶれた肉屋のコロッケパンを食わせてた方が悪いですわ……」

 

あー……。

 

「いえ、まあ、確かに、十二人の嫁を養って、家政婦も何人か雇って、それでもなお余るくらいには金を持ってます。けど、ルシアに良くしてもらって、本当に助かってます」

 

これは事実だ。

 

流石に、大切な嫁に良くしてもらって感謝している。

 

「まあ、お分かりでしょうけど、うちの嫁達はいわゆる物の怪、妖怪、モンスターの類ですから。前にいた国では、偏見とか酷かったんです。そんな嫁達に優しく接してくれることは、もう、本当にありがたく思っています」

 

「嶺二さん……」

 

「嶺二さん、良い人だねえ……」

 

ほろり、と涙を流す肉屋の夫婦。

 

歳取ると涙もろくなるそうだな。

 

「折角だから、他の嫁の分も何か買っていきますね。取り敢えず、コロッケとメンチカツ、あるだけください」

 

俺は万札を三枚渡す。

 

「こ、こんなにもらえないよ!」

 

「いや、本当に、もらっといてください。うちの嫁達、何ぶん遠くから来てるし、人間じゃないしで、迷惑かけてると思うんですよ。迷惑料と思って」

 

そう言って、金を渡す。

 

コロッケ21個、メンチカツ18個ゲット。

 

 

 

「ルシアちゃん!ちょっと手伝ってくれ……、アアッ?!!腰逝ったァッ?!!!」

 

「ああっ?!八百屋のおじさん!!」

 

ダンボールを抱えながら倒れたおじさん。

 

ルシアは、おじさんが持ちきれなかった野菜の入った段ボールを片手でひょいと持ち上げ、おじさんを救出した。

 

「おじさん、大丈夫?」

 

「お、おじさんはもう駄目だ……、腰が、腰がぁ……」

 

「レイジ君、治してあげて?」

 

まあ、それくらいなら。

 

「『ヒール』」

 

魔力が動いて発光する。

 

「………………ん?んんん?んー?!な、治ったぞ?!」

 

「良かったあ、レイジ君は魔法が上手だから!」

 

回復魔法はそんなに得意でもねえけどな。

 

電車に飛び込んで挽肉になった死体があったとして、それを蘇生しつつ完全に再生するとなると、俺じゃ一分はかかる。

 

アウレーリア、アニエス、オリヴィエ、テレジア辺りなら十秒以下で治すぞ。

 

「ま、魔法?今の、ピカッと光るやつかい?」

 

「うん、魔法。おじさんは使えないの?」

 

「おじさんは魔法は使えねえなあ……。っと、あんたが治してくれたのかい?」

 

「ああ、はい。ルシアの夫の鎧嶺二です」

 

「おお!あんたがルシアちゃんの旦那さんか!男前だなあ!」

 

「はあ、ありがとうございます」

 

「仕事は何やってんだい?結構体格も良いけど……」

 

「あー、そのですね、前の仕事でかなり稼いで山程金があるんで、今は隠居してます」

 

「ええ?!嶺二さんいくつだい?」

 

「二十六歳ですね」

 

「まだまだ若いじゃねえか!!その歳で隠居?!」

 

これがあるから面倒なんだよなあ!!

 

「いえその……、実は、前職は軍隊の兵器研究関係で……。もう疲れたと言いますか……」

 

「ああ……、そうなのかい。戦争か……、若いのに大変だったろうに……。俺もガキの頃は丁度戦後くらいでなあ……、あの頃は本当に大変だった……」

 

で、出た!

 

戦争体験世代の昔話だー!

 

聞くのめんどくせえ!

 

先手を打たねば!

 

「まあ、金は腐るほどあるので、取り敢えずはゆっくりしたいですね」

 

「そうかい、そりゃ良いことだ、ゆっくりしてけ」

 

「まあ、嫁達を養うには十分な程金があるので……」

 

心配しないでね?の意。

 

「分かった、嶺二さんなら、ルシアちゃんを任せられるな」

 

お前の許可要らんが???

 

「これ、持ってきな!」

 

「あ、はい、金払います」

 

「良いよ良いよ!サービスだ!」

 

「いえ、払いますから」

 

大根十本、キャベツ六個、ゲット。

 

 

 

その後も、ルシアと商店街を回り……。

 

「魚屋さんおはよー!」

 

「よー、ルシアちゃん!これもってきな!」

 

カンパチ六尾、イワシたくさんゲット。

 

「総菜屋さんこんにちはー!」

 

「はい、おはよう、ルシアちゃん。これ、持ってきなさい」

 

惣菜たくさんゲット。

 

「弁当屋さんこんばんはー!」

 

「おお、ルシアちゃんか!ここの弁当、売れ残りだから持っていきな!」

 

弁当いくつかゲット。

 

と、まあ、このように、沢山の食べ物をもらっているらしい。

 

夜はその食べ物を食べながら、テレビゲームをして、俺とセックスして、寝る。

 

成る程、そんな感じか。

 




お盆の予定?

そんなものはない。

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