ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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FF14始めました。


8話 土井中村の日常 その4

森人族アニエス。

 

いわゆるエルフだな。

 

普段何やってんだろうか?

 

付いて行ってみる。

 

「おお、今日も来たか、アニエスちゃん」

 

「働き者やのう」

 

「偉いのう」

 

こいつらは……、猟師か。

 

「狩りでもやんの?」

 

「ええ、猟師さんが言うには、熊や鹿なんかが定期的に山を降りてきて危ないから殺すそうですよ」

 

ほーん?

 

「森人族的にはどうなの?」

 

「そうですね……、いたずらで殺すなら許しませんが、人に害をなすものを殺し、供養すると言うのであれば、構わないと思います」

 

割とシビアなんだよな、森人族。

 

洋弓くらいの大きさの、魔法の弓を持って、猟師と山に入るアニエス。

 

因みに、矢は魔力で生成するので持ち歩く矢の本数は少ない。

 

「旦那さんも山に来るのかい?」

 

「あ、はい」

 

「んー……?」

 

じろじろ見られる。

 

「体格は良いし、筋肉もあるな。山に入った経験は?」

 

「前の仕事は軍隊で、山の中でキャンプしたりしました」

 

「なら大丈夫か?」

 

「平気だべ」

 

「んだべんだべ」

 

オーケーらしい。

 

 

 

山の中で、アニエスが、森の声を聞く。

 

森人族はなんか知らんけどそう言うことができる。

 

精霊と話しているらしい。

 

因みに、都会の方は精霊があんまりいないんだとさ。

 

多分、不特定多数の生命体の集合意識のような何か……、だと思われる。

 

「ミツオさん、あっちです」

 

「んだな、やっぱり上の方だぁ」

 

「行くべさ」

 

「うちのチビ太も上じゃ言うとるわ」

 

アニエスが位置を特定し、犬を連れた猟師が上だと言い、満場一致で上に。

 

「おったぞ……」

 

銃を構える猟師。

 

そして。

 

『グオオオッ?!!!』

 

「当たった!!」

 

「逃げるぞ!」

 

「追っかけろ!」

 

その時。

 

「お任せ下さい!はあっ!」

 

光の矢が、アニエスの弓から放たれる。

 

『ガアアアーーーッ?!!!』

 

熊の右足が吹っ飛ぶ。

 

「相変わらずやるのお、アニエスちゃんは!」

 

「追え!手負いだ!」

 

「当たった!やった!」

 

そして、始末される熊。

 

そして、その場で解体。

 

「では、解体しましょう」

 

「「「「おう!」」」」

 

「アニエスちゃんは肝が座っとる。女だてらに熊狩りとはのう」

 

「んだべさ、儂があと三十若けりゃ嫁に来てもらっとるわ」

 

「本当にええ子じゃ、熊のはらわた見ても悲鳴の一つも上げねで、綺麗に搔っ捌く。勘もええ、力も強い、体力もある。本当にええ子じゃのう」

 

「ふふふ、煽てても何も出ませんよ」

 

そしてバラした熊をリュックに詰めて下山。

 

俺も荷物持ちを手伝った。

 

猟師達は家に帰り、リーダーである光夫さんの家に集まって、宴会。

 

俺とアニエスも参加する。

 

「おっ母!おっ母!酒じゃ!」

 

「はいよー!あらー、アニエスちゃん!今日もうちの旦那のお手伝い?」

 

「ええ」

 

「ありがとうねえ、助かるわあ。うちの旦那ももう八十だから……」

 

マタギの高齢化ッ!!

 

「おっ母、熊肉とれたぞ、焼いてくれんか?」

 

「はいよ、もう宴会の用意はできてるから、居間に行きな。ん?」

 

あ。

 

「アニエスの夫の、鎧嶺二です」

 

「あら!あらあら!アニエスちゃんの旦那さん!良い男ねえ〜!」

 

「いえいえそんな」

 

「旦那さんも山に?」

 

「荷物持ちですよ」

 

そんなこんなで猟師グループと宴会。

 

酒が美味い。

 

「異人さんはみんな耳が長いのかい?」

 

「私の国の人達はみんなそうですよ」

 

「ほー、エゲレスの人は耳も長いのか……」

 

なんか誤解されてるー。

 

「いや……、うちの子はイギリス人じゃありませんよ。もっと遠くの方から来ました」

 

「そうかあ」

 

「じゃけんども、エゲレスの人は魔法使いよるんと違うか?」

 

「おらは前、テレビでエゲレスの人が魔法使うの見たぞ?ほら、はりぃ?とか言う眼鏡の子供が魔法使うんじゃて」

 

何言ってんの???

 

「いや……、アニエスは森人族っていう、森に住む一族のいいとこの子なんですよ」

 

「ほー!やっぱりアニエスちゃんはええとこの子か!」

 

「んだべなぁ、アニエスちゃんはお姫様みたいだものなあ」

 

「んだべんだべ」

 

まあ……、良いや。

 

 

 

そして、龍人族グロリア。

 

いわゆるドラゴニュート。

 

龍人族最強と謳われた戦士は、今。

 

「オ、おおっ!!!」

 

「シャアアッ!!!」

 

怪しげな剣術道場で稽古してる。

 

……怖。

 

流派は?

 

『示現流』

 

ここ北海道だぞ?

 

薩摩じゃねえぞ?

 

薩摩はこれだから……。

 

つーか、何だあれ。

 

道場主の八十歳超えてるジジイがうちの最強戦士グロリアと渡り合ってるぞ?

 

いや、グロリアも人間の女並に身体能力を落としてるけどさ。

 

それでも、あんなジジイがグロリアと渡り合うか?

 

やべえぞ薩摩。

 

「そこまでぇい!!!!」

 

「「ありがとうございました!」」

 

 

 

「カッカッカッ、強いのお、グロリア殿」

 

「いや、その歳でここまでやれるシゲヒサの方が凄い。俺は老いないが、仮に老いたとして、そこまでの技と力を維持できるかは分からない」

 

何なの、これ?

 

「さあて、次じゃ。これだけの女の旦那なら、それなりにできるんじゃろ?かかってこい!!!!」

 

え?

 

俺?

 

俺もやるの?

 

ええー……。

 

「まあ、分かりました。鎧嶺二です」

 

「島津重久じゃ」

 

「行きます」

 

竹刀の切っ先を相手に向け、竹刀を握った両手は顔の横に。

 

「ほう……!知っちょるぞ、それは洋剣の構えじゃて……!」

 

踏み込む。

 

最速の突きだ。

 

「疾いのぉ!」

 

「これを避ける?!」

 

「キエエィ!!!!」

 

袈裟斬りか!

 

竹刀を戻すと同時に弾く。

 

っ、重っ?!!

 

老人の腕力じゃねえぞこれ!!!

 

だが俺も勇者だ、行くぞ!

 

「はああっ!」

 

「せえい!」

 

弾かれる!

 

鍔迫り合いになるが……。

 

「「おりゃあ!!!」」

 

ああ、クソ!

 

同じこと考えていやがった!

 

足払いが交差する!

 

だが、ジジイの方が一歩速い!

 

「チェストおおお!!!」

 

「しゃおらあ!!!」

 

柄で受ける!

 

手首を回して、相手の竹刀を下げ、打ち込む!

 

「せえい!!!」

 

避けられた!

 

どんな反射神経だ?!

 

お前の方が勇者に向いてるよマジで!

 

次はどうするか……?

 

と、考えていたら。

 

「ふむ!良かぞ!」

 

はい?

 

「認めよう、婿殿。おまんにならグロリア殿を任せられる」

 

「は、はあ」

 

「いやあ、心配しとったんじゃよ?グロリア殿は正に巴御前の様なおなごじゃて。こんなええ女を任せられるのはつわものだけじゃ」

 

「お眼鏡に叶いましたか?」

 

「うむ、最初は遊びの洋剣術かと思えば、しっかり鍛えられた人殺し……、いや、もっと強い、大きい、硬い何かを殺す技じゃて」

 

あー、その辺、分かるのか。

 

俺、対人より対魔物の方が得意なんだよね。

 

「妖相手に剣を振っておったじゃろ?羨ましいのお!儂も妖を斬ってみたいもんじゃて!」

 

「はあ」

 

「それに、得物は長い洋剣と銃も使うじゃろ?」

 

え?そこまで分かんのか?!

 

凄え……。

 

「おんしは、左手をあまり使っとらん。そして、腰の左側を意識しとった。いつもはそこに短銃を下げとるんじゃろう?」

 

「その通りです」

 

「ええのう、ええのう!どんな妖を斬った?聞かせてくれんか?」

 

「あ、はい」

 

まあ、悪い人じゃあ、ねえな。

 

 

 

角馬族エリーゼ。

 

いわゆる、ユニコーンのケンタウロス。

 

身体が鈍ると言って、毎日走るのはルシアと同じ。

 

しかし。

 

「何やってんだお前」

 

「おや、レイジ様。馬車があったので」

 

馬車を牽いて、後ろに人を乗せている。

 

「何やってんの?」

 

「タクシーです」

 

タクシー……。

 

「この辺りは過疎?と言って、人が少なく、タクシーがないそうなので、私がやってみようかと」

 

はあ……、そうですか……。

 

「土井中村周辺ならどこでも五百円です」

 

やっすい!

 

「子供はタダです」

 

良心的!

 

「何でも運びますよー!」

 

「まあ、お前がそれで良いなら、良いんじゃねえか?」

 

「はい!」

 

 

 

九尾族カエデ。

 

いわゆる狐巫女。

 

「………………どうなってんだこれ?」

 

「どうなってるも何も、現人神たる妾が拝まれるのは当然のことじゃろ?」

 

んー?

 

道行く人に拝まれるカエデ。

 

どうなってんだ?

 

「お狐様じゃ……」

 

「ご利益ご利益……」

 

「ええ子やのう……」

 

あー、そういうアレか!

 

ちょっと調べてみたところ、この辺りの村の神様は狐だった。

 

神社でも狐が祀られていたし。

 

なんか信仰されてる?!

 

因みに、カエデは普段、16歳くらいの見た目でいる。

 

それで、いつも巫女服っぽい服を着ている。

 

尻尾は九本、金髪、狐耳。

 

結果、カミサマ。

 

そして、神社に行っては、お神酒を神主さんに強請る。

 

「お前……、お前……」

 

「お、怒るでない!ちゃんと妾に貢物をした者には『ラックアップ』の魔法をかけとる!」

 

「人を騙して貢がせるようなせせこましい真似をするなと言っているんだが?」

 

「ひえーっ!イタタタタタタタ!!!」

 

「ま、まあまあ、その辺で……」

 

神主さん……。

 

「うちの嫁がご迷惑を……」

 

「いえいえ、いつも神社の掃除を手伝ってくれてますし……」

 

「でも住民の皆さんからなんか色々もらってるらしくて……」

 

「お供え物ですから、あまり高価なものは受け取ってないそうですよ?直接的な金銭の受け渡しも拒否されてるそうですし……。精々、高くても日本酒一瓶くらいのものですから」

 

うーん……。

 

「でも、この世界の神様とは、何にも関係ないんですよ?ご利益も魔法による人工的なものなので」

 

「むしろ、小さくともご利益が確実にあるって普通に神様では……?」

 

そうだろうか……?

 

 

 

鉱人族エスメラルダ。

 

いわゆるドワーフ。

 

こいつは分かりやすい。

 

商店街の酒屋でたらふく酒を買い、呑んだくれているか、山の手前にある鍛冶屋で鉄を打ってるかのどちらかだ。

 

「ほー、これが日本刀ね。鋼でここまでのものを魔法なしで作るのは凄いと思うよ。まあ、僕の方が上手いけど」

 

「エスメラルダちゃん、手伝っとくれー」

 

「はーい」

 

鍛冶屋のじいさんと定期的にトンカントンカンしてるらしい。

 

ぶっちゃけ、魔法の方が精度が良いけど、手で作る方が楽しいそうだ。

 

あと、プラモデル作りにハマったらしく、鍛冶屋のじいさんからもらったバイト代で模型屋に行って色々と買っている。

 

最近、デモンズネストの一室が模型展示室になってた。

 

まあ、部屋なんざいくらでもあるから構わないが。

 

また、模型を作るには、その模型のモデルの背景も知る必要がある、と言って、今は歴史小説やらアニメを見ている。

 

楽しんでるなー。

 

まあ、迷惑はかけてないから、とやかく言わねえよ。

 




はー、レベル上げかったりぃー。

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