ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ゼロ魔の貨幣価値がいまいちわからん。


8話 貨幣価値と会議

あなたは、★ボスチェアに腰掛け、ペットのタバサを膝に乗せて抱きしめながら微睡んでいた。

 

眼前のタバサの髪から女の匂いがして、気持ちがいい。

 

周りの雑音など気にならないほどに。

 

「衛兵は何をしていたんだ!」

 

「平民などあてにならんな」

 

「当直は誰だったんだ!!」

 

「ミス・シュヴルース!!」

 

「す、すみません!!」

 

くんくんと鼻を鳴らす。

 

あなたの嗅覚は尋常ではない探知スキルにより強化され、まるでイヌ科の動物のような鋭敏な感覚を持っていた。

 

そんな極めて鋭い感覚を無駄遣いし、タバサの匂いを嗅ぐことに集中する。

 

あなたは、直感と本能で動く人間なので、本能的に女性のフェロモンの香りに弱い。

 

いい女の匂いは脳が痺れる。

 

「んっ、ご主人様❤︎」

 

それにとっても、ああ、とっても、「美味そう」だ。

 

堪らずあなたは、タバサの首筋に噛み付いた。

 

もちろん、あくまで甘噛みだ。

 

食べちゃ駄目だぞ自分。これは食用ではない。あなたは自分に言い聞かせた。

 

「んんっ❤︎」

 

タバサの心音が跳ねるのが聞こえた。

 

可愛い奴め、気持ちが良いのか、うりうり。

 

「な、に、を、やっているのよあんたはーーー!!!」

 

ペットであるタバサと蜜月な時を過ごしているだけだが。

 

「良い?今は真面目な話をしてるの。あんたみたいなのでも、少しでもフーケの手がかりになるかもしれないから、呼ばれたの。分かるかしら?!」

 

あなたは何も分からない。

 

どうでも良い人間のことは覚えていない。

 

そのフーケとか言う怪盗も、あなた好みの美女でもない限りあなたの目にとまることはないだろう。

 

そんなものより、可愛い可愛いペットのタバサと戯れる方がよっぽど有意義な時間が過ごせると言うものだ。

 

「って言うか、依頼なら受けるって言ったじゃない!!」

 

百万gpから受け付ける、とあなたは宣言した。

 

「それってどれくらいよ」

 

金貨にして百万枚程だとあなたは説明してあげた。あなたは紳士なのでお友達価格におまけしてあげる。

 

「き、金貨百万枚?!何よそれ?!国家予算じゃないんだから!!」

 

自分は何かおかしなことを言っただろうか?とあなたは首をひねる。

 

あなたほどの世界一の冒険者を雇うのであれば、百万gpくらいは用意してほしい。

 

そこで、膝の上のタバサが呟いた。

 

「貨幣価値が違う」

 

ふむ?成る程成る程。あなたは頷いた。

 

確かにタバサの言う通りだ。

 

あなたは、懐からミスリルの剣を取り出し、これでいくらくらいかと聞いた。

 

「これ、何?」

 

ただのミスリルのロングソードであるとあなたは答えた。

 

「ミ、ミスリルの剣ですって?!そんなもの相当なお宝よ?!金貨五千から一万枚はするでしょうね」

 

ふむ?これはノースティリスであれば金貨五十万から百万程の代物だ。

 

それを考えると貨幣価値は数十分の一といったところか。

 

他にも色々な品物を見せて、貨幣価値を算出すると、主にノースティリスの数十から数百分の一くらいだと分かった。

 

ならば、まけにまけて金貨一万枚で良い、とあなたは答えた。

 

「ふざけてるの?!立派なお屋敷ができるわよ、そんな値段!!」

 

あなたの力を買うのであれば、屋敷一つ分くらいはするとあなたは答えた。

 

「たかがちょっと腕の立つ傭兵崩れの分際で吹っかけ過ぎよっ!!」

 

あなたは、いくら言っても冒険者であることを理解しないルイズに少しばかり怒りが湧いた。

 

脅かす程度に軽く蹴り倒し、

 

「あぐっ?!!」

 

ルイズの頭を踏みつけながら、自分は冒険者であること、自分は神をも超えた存在であること、自分を雇うなら相応の対価が必要でタダ働きはしないことを告げた。

 

すると、教員達が騒めき出した。

 

「平民風情が、貴族を足蹴にするか!」

 

「神を超えただと!ブリミル様への反逆だ!」

 

「金にがめつい傭兵崩れめ、野蛮な!」

 

あなたは、文句があるなら面と向かって言って良いんだぞと言ってやる。ついでに足元のルイズを蹴り飛ばす。

 

「もう我慢ならん!エア・カッター!!」

 

あなたの首に向かって飛んでくる風の刃を、あなたは無防備なまま受け止めた。

 

この程度、あなたにとってはそよ風でしかない。

 

「ば、馬鹿な?!私の風の魔法が?!」

 

良し、手出ししてきたと言うことは殺して良いと言うことだな!あなたは喜ぶ。

 

「殺しは駄目」

 

しかし、タバサに止められてしまった。

 

ならば、一本で勘弁してやると寛大なあなたは宣言した。

 

「一本?」

 

ああ、腕一本だ。

 

「ひ、あ?あぎぃいいいいい!!!!」

 

あなたは、軽く移動して、風の魔法を唱えた男の腕を千切った。

 

とても脆い。

 

こんなに脆くてはブレイドΩにも敵わないだろう。お話にならないレベルの雑魚だ。

 

「きゃああああ!!!」

 

「なんてことを!!!」

 

「平民が貴族に手をあげるか!!!」

 

先程まで騒がしくしていた連中は、更に騒がしくなった。

 

そこに。

 

「静まれぇい!!!」

 

白い髭の老人が声を張り上げた。

 

「ギトー君の無礼は詫びよう、冒険者殿」

 

ふむ、自分としては年寄りの軽い頭を下げられても何も嬉しくないのだが、片腕を捥いだので許してやってもいいとあなたは告げた。寛大さをアピールしてタバサからの点数を稼ごうと言う魂胆だ。

 

「確かに、殺されそうになった報復として腕一本と言うのは分かるのう。しかしだ、彼は教師なのだよ。このような怪我では教鞭を執れん」

 

貴族の代わりなんていくらでもいるだろう。あなたは鼻で笑った。

 

「……冒険者殿を死者の蘇生すらなす水メイジと見込んで、頼みがある。彼の腕を治してやってほしい」

 

うーむ?実を言うと、あなたはそれほど怒ってはいないのだ。そよ風を感じたくらいだった訳だし。しかし、けじめをつけるために、腕一本を破壊しただけだ。

 

別に、払うものを払えば治してやるのも吝かではない。

 

金貨三枚と言い、あなたは重傷治療のポーションを渡した。

 

「では、これを」

 

あなたは金貨を受け取り、ポーションを渡した。

 

そして、老人はポーションをギトーと呼ばれた男に手渡し、男は傷口にポーションをふりかける。

 

すると、比喩でもなんでもなく、腕が生えた。再生したのだ。

 

ノースティリスのポーションは、病気も怪我も、死んでなければ治せるのだ。肉体の欠損もなんのその。

 

「なんて効果の水の秘薬だ……!!」

 

「こんなもの、王家にだって置いてないぞ!!」

 

「くっ、傭兵崩れの分際でこんなレベルの秘薬を……!!」

 

ギャラリーを無視しつつ、あなたは老人の言葉に耳を傾けてやる。

 

「申し遅れた。ワシはオスマン、この学院の長じゃ」

 

謙虚なあなたは、ノースティリスのしがない冒険者であると名乗った。

 

「ほっほっほ、しがないなどと……。謙遜するものではないぞ、『闇に向かう終焉』よ」

 

……ほう。

 

あなたは目を細める。

 

この世界にあなたの異名を知る者がいるとは思わなかった。

 

どこで知ったか問い詰めようかと思ったが、別に異名を知られたからと言って不都合はないので放置することにした。

 

「それで、君をノースティリスで一番の冒険者と見込んで、頼みがある」

 

金貨一万枚。

 

「しかしじゃな、この世界では金貨一万などと言う莫大な費用を捻出できるものはそうそうおらんのじゃよ。金貨百枚で手を打ってくれんかの」

 

ふむ、貧しい国なのだろうか。

 

「ノースティリスに行ったことがない故に貧富の差は分からんのじゃが、少なくともこの世界では、金貨一万枚程の仕事はないのう」

 

出来高なのだろうか。

 

「金貨一万枚以上の仕事といえば、大貴族や王侯の暗殺のような、非合法な仕事でなければ貰えんよ」

 

成る程、そういうものなのか。

 

「コソ泥の退治なら金貨百枚くらいでやってもらいたいところじゃのう」

 

そうなのかタバサ。

 

「フーケ程のメイジが相手なら、もうちょっともらってもバチは当たらない」

 

なら三百で。

 

「ぐぬぬ、三百じゃな、了解した。フーケの退治、頼めるかのう、『終焉』殿?」

 

良いだろう。

 

ついてこいタバサ。

 

あなたは外套を翻した。

 




デルフリンガーが金貨百枚で、金貨一枚で一万円くらいっぽいと考えると百万円?

ボロ剣一本で百万?

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