ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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死にたい。


42話 スパイがいっぱい

なんか知らんが、民宿勇者の予約争奪戦が大変なことになっている。

 

一応、三ヶ月先までは開放してあるが、全部埋まっていて、なおかつ、四ヶ月先、五ヶ月先に予約がしたいと言うメールで、お問い合わせフォームがパンクした。

 

笑える。

 

面倒なので、チャチャっとプログラムをいじって、抽選式にした。

 

最大二泊までに制限。

 

キャンセルや門前払いで空いた分は、本当に緊急で土井中村に泊まらなきゃいけなくなった人もいるだろうし、そう言う人のためにもゆとりを持たせたい。

 

 

 

さて、この民宿勇者。

 

今、日本で一番ホットな宿だ。

 

どう言う意味でホットかと言うと、まあ、こんな感じだ。

 

「ジョージ・ワトソンです」

 

「CIAのチャーリー・ウィッカム様ですね。本民宿は悪意あるものの滞在を許可できません。お引き取りください」

 

「What?!!!」

 

「パット・ベリーです」

 

「MI6のダグラス・カーペンター様ですね。本民宿は悪意あるものの滞在を許可できません。お引き取りください」

 

「?!!!」

 

「ウラジミール・サムセフだ」

 

「GRUのヴァジム・スクリポフ様ですね。本民宿は悪意あるものの滞在を許可できません。お引き取りください」

 

「な、なんだと?!!!」

 

そう、民宿勇者は、スパイの見本市になっている。

 

因みに俺は、追い返されるスパイ達を撮影しながら、受付の隣でゲラゲラ笑ってる。

 

これ、めっちゃ楽しい。

 

前に作った、心の声が聞こえてくる読心マイクも使ってスパイ達を撮影しているんだが、迂闊なやつ……、特に中国共産党とか、朝鮮の方の国とかはその辺が若干ガバで、誰から命令されたのかとか、なんて言われたのかとか、国が揺れそうな情報をボロボロこぼしてくれる。

 

例えば、中国共産党では、別々の軍閥からそれぞれ違うスパイが、他の軍閥を出し抜くためにスパイを送ってきた、とか、そう言う面白い火種ががっつり聞こえてくる。

 

もちろん、全公開でーす!

 

フゥー!

 

楽しい!

 

因みに、アジア系のスパイは、失敗して帰ってきた場合は大体処刑されてまーす!

 

生命探知で生命反応が消えるのを感知してるんで間違いないでーす!

 

そのことも公開する。

 

全世界からめちゃくちゃな反響が来てて面白い。

 

「どうです、受付メイドさん?」

 

俺がメイドに問いかける。

 

「現在、約4%程が国内外のスパイ組織です」

 

「ほう、それでお前はどう思う?」

 

「ホムンクルスが何かを思うことはありません」

 

「そうか?俺はちゃんと、お前達一人一人に自我を作ったはずだ。本当に何も思わないのか?」

 

「マスターから命じられた仕事の邪魔ではあると思っております」

 

成る程な。

 

いやー、楽しい。

 

どこの国も、スパイを送りましたと馬鹿正直に言うことなんてしない。

 

故に、俺のアップロードした動画も、表立って何かを言われることはない。

 

まあ、結構な頻度で、捨てアドレスから脅しのメールが送りつけられてくるが。

 

そんなメールをまとめて消去しながら、春の訪れを楽し……、いや、北海道の春はまだ先だな。

 

あ、俺は今年で二十八になった。

 

そして、春に……。

 

映画、アドベンチャーズ:ワールドウォーが公開された……。

 

今作のアドベンチャーズは、シリーズの節目となる、一大決戦の内容だ。

 

今までの、マーベラスコミックの映画の統合続編であり、予算もシリーズ最高額。

 

マーベラスコミック社が全力で制作した、大作だ。

 

内容はこうだ。

 

キャプテンマーベラスを中心に集まったヒーローチーム、アドベンチャーズは、数多くの戦いを経て集結したが、それを見たヴィラン達も結託し、全世界に同時攻撃を仕掛ける。

 

仕方なく戦力を分散させるアドベンチャーズだったが、ヴィラン達の真の目的は、アドベンチャーズ本部に封印されている聖遺物『銀の砂時計』だった。

 

守りの薄くなった本部を突破され、銀の砂時計を奪われたアドベンチャーズ。

 

ヴィラン達は、銀の砂時計を使って、時を巻き戻し、かつて倒されたヴィランを復活させる。それだけでなく、かつて壊滅したはずの悪の組織や、死者の復活により、生と死のバランスと時の均衡が崩れつつある。

 

過去に倒したはずの因縁の相手が、パワーアップして帰ってきた。世界の危機だ。

 

それを知ったアドベンチャーズ達ヒーローチームは、銀の砂時計を奪還するために、ヴィラン連合に立ち向かう!

 

みたいな話。

 

あらかじめ、暇な時にマーベラスのシリーズ映画を見ておいたので、大体わかる。

 

さて、嫁と一緒に観に行くか。

 

 

 

「うむ、良かったんじゃねえかな?」

 

内容はバッチリだ。

 

残念ながら俺は、撮影に付き合った当事者で内容が分かっているということと、そもそもアメコミヒーローより凄いことができるということから、面白さは半減だが、それでも楽しめた。

 

実に良い映画だった。

 

エンディングに、ステイン監督の短い感謝文が差し込まれ、この映画は俺の魔法によってアクションやエフェクトを強化した、ほぼCGなしの映画だと言うこと、俺に感謝するということを告げていた。

 

クレジットにも、俺の名前がデカデカと出ていた。

 

エンディングの後に、実は黒幕がいますよ的な、アメコミ映画特有のシーンが差し込まれ、終了。

 

動員数も世界最高で、公開から一週間でギネス記録だそうだ。

 

また、今回の映画は、公開後にマーベラスコミックの公式ユウチューブチャンネルにて、映画のメイキング動画が公開された。

 

それは、俺と監督が二人で色々な相談をしながら、CG抜きでスーパーアクションや魔法を使う俳優達に指示を出す内容だった。

 

スチールナイトが空を飛び、カメラマンも空を飛ぶ。

 

ギガスとウルフマンが本当に変身して、キングオブソロモンが闇の銃を撃つ。

 

アルジュナは、光の矢を人間には不可能な速さで連射する。

 

ミスティックレディは霧と共に透明になり、ジャックポットは空を駆け、ギラファマンは向かってくるトラックを両断した。

 

そして、キャプテンマーベラスが、愛用の多機能ガントレットからシールドを張り、全てを防ぐ。

 

つまり、だ。

 

マーベラスコミックの名前で、魔法が真実であることが大々的に報道されたのだ。

 




あー。

困った。

中だるみが酷いからプロットちょい変更。

各国の使節団が半年間ベスティエを調査して帰国した後、すぐに交流開始でいく。

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