ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ああー!



44話 統幕へ出頭 前編

ツブヤイターのダイレクトメッセージを見る。

 

『こちら、日本国外務省の渡辺秀則です。鎧嶺二様にお話が……』

 

つまり……、「本物だと認めるから交渉がしたい。尚、なんか知らんけど領土を持ってるみたいなんで、そっちを国として扱うので、外務省預かりになったよ」ってところか。

 

まとめるとこんな感じか?

 

ふむ……、それともう一つ。

 

こちらも、要約すると、「なんか戦力もあるっぽいんで防衛省も呼ぶね。防衛省の方からもなんか話があるっぽいよ」って感じだな。

 

つまりあれだ。

 

出頭命令。

 

………………。

 

『拒否権はある?』

 

『日時の都合が悪ければ、別の日にしますが?』

 

『俺を呼びつけようって態度が気に入らないんだよなあ。我、勇者ぞ?』

 

『その点においては重々承知でございますが、鎧様のお話を聞きたいと言う政府関係者はあまりにも多く、そちらに出向くというのは困難な状況です。移動にかかった費用はこちらで負担するので……』

 

とのこと。

 

ふーん。

 

まあ良いんじゃねえかな。

 

 

 

新宿の統幕の本部に呼び出された。

 

受付で名乗り、会議室まで案内される。

 

お堅い雰囲気だな。

 

会議室の中はおっさんおっさんおっさんおっさんそしておっさん。そしてSPがちらほらと。

 

うむ、苦痛だ。

 

果たしてこの中に、本当に日本の為に戦える奴はいるのだろうかと疑問に思うね。

 

「それで、何の用だ?」

 

俺は、挨拶も、どうぞお座りくださいの言葉もないのにも拘らず、目の前の空いている椅子にどかっと腰掛けた。

 

面接ならこの時点でお祈りメールだが、俺が面接する側なんだよなあ。

 

その辺りを勘違いしているおっさんは、顔を顰めるが、俺は気にせずに椅子の上で脚を組み、目の前のテーブルにコーヒーを出して飲む。

 

「ふむ、東京は土井中村より暖かいな。あっちはまだ雪が残って寒いんだわ」

 

あー、コーヒー美味え。

 

「……鎧嶺二さんですね?」

 

「ああ」

 

「私は、外務省の政務官、渡辺英則です。本日はご足労いただきまして、誠にありがとうございま」

 

「ああ、挨拶は良いから。本題は?」

 

「無礼だぞ若造が!」

 

おっと横槍。

 

「よし、帰ろっかな!」

 

俺が立ち上がる。

 

「ま、待ってください!」

 

「え?いや、俺にメリットないんでしょ、この会議。ムカつくから帰って良い?」

 

「島田さんの言葉は確かに良くないものでした。私がお詫びします。今回の会議には、どうしても鎧さんにお話をしてもらいたいのです」

 

「だから、何の話だ?話すことなんてねえんだよこっちは」

 

「これからの日本についてと、日本の防衛に関するお話をしたいのです!それには、鎧さんのご意見もお聞きしたいと思い……」

 

「え?何で?」

 

席に座る。

 

「鎧さん、良いですか?貴方もご存知の通り、現在、日本には、世界各国からスパイが集まっています」

 

少し早口で話す渡辺。

 

「知ってるよ、面白いよな」

 

「いいえ、外務省からすると、何も面白いお話ではないのです」

 

「そりゃ大変だ。公僕なんだから死ぬ気で働け」

 

「はい……、その、ですが、今や、密入国者なども増加しているのです」

 

「俺のせいだって?」

 

「い、いえ、そうは言いません。し、しかし、動画サイトなどにスパイの顔や名前などを公開するのは控えていただきたいのです」

 

んー?

 

「何で?」

 

「海外諸国との外交が難しくなります」

 

「いやいや、スパイなんて送る方が悪いだろ?」

 

「現在、アジア諸国から抗議文が……」

 

笑える。

 

何て言ってるんだ?スパイが失敗したから責任とれとでも?

 

「そうか、まあ、頑張れ」

 

「やめていただけない場合、ご家族にも累が及ぶかと……」

 

「良いよ別に」

 

「我々も国防の為に努力しているのですが、鎧さんのご家族を完全に守ることは不可能なのです。スパイの晒し上げはどうか控えていただけると……」

 

「やだ。家族が襲われても、うちに襲撃されても別に良いから、スパイは晒し上げる」

 

「……分かりました」

 

お、物分かりは良いな。

 

「では、その場合、鎧さんの奥様方の国籍について追求せねばなりませんね」

 

ほう?

 

「おっ、良いねえ、脅しって奴か」

 

「いえ。ですが、国籍なしで日本国の地を踏んでいるのは確かですね?」

 

「さあ?どうだろうな?お前が見ている幻かもしれねえぞ?なんなら、確かめに行ってみるか?……尤も、あんたが軍隊やら警察やらを引き連れてうちに来た頃には、もぬけの殻になっているかもしれねーけどよ!」

 

つまり、俺は、いつでも逃げられるんだよな。

 

「魔法で逃げられるから、自衛隊も警察も怖くないと?」

 

「いやぁ?そんなことは言ってねえよ?そもそも何で逃げる必要があるんだ?自衛隊やら警察やらが俺を止められると思ってんのか?」

 

「それは……」

 

「交渉やら外交ってのはな、ある程度パワーバランスが均衡している奴同士でやるもんだ。巨人とミジンコが交渉をするか?」

 

言外に、お前らは相手にならないと告げる。

 

実際、自衛隊やら警察やらが全力で攻めてこようと、三秒以下で皆殺しにできるからな。

 

「分かりました……、交渉は無駄ですね……」

 

そうだな、無駄だな。

 

「で、話はそれで終わりか?」

 

「いえ……、我が国の防衛に関するお話があります」

 

防衛ねえ。

 

「頑張って防衛しろ」

 

「しかし、防衛するにも、現在手が足らず……。土井中村で問題が起きていないのが奇跡です」

 

「ああ、まあ、そりゃあ俺が手を回して、銃器を持ち込んだスパイから銃器を奪って沖縄に置いてくるとか、土井中村の住民に危害を加えようとしたやつを沖縄に置いてきたりとかしてるからだよ」

 

「鎧さんが防衛を?」

 

「俺の部下がな」

 

「それは……、ありがとうございます」

 

「待っていただきたい」

 

お?

 

「統幕長の豊臣秀樹です」

 

統幕長、ってなると自衛隊のお偉いさんか。

 

「鎧さん、貴方は独自に戦力を所有している。これは間違いありませんね?」

 

「ええ」

 

「では、銃刀法に違反していると?」

 

「いや?俺の本拠地であるデモンズネストは、日本とアメリカの間の、どこの国の領空でもないところにある。そこに刃物を保管しているが、これはどこの国の法律で裁かれなきゃならないんだ?」

 

「……確かに、国外であれば問題はありません。では、大まかな兵力は?」

 

「直接戦闘可能な兵力は二百万、バックアップに百万、各種生産、施設管理などに四百万程かね」

 

「な……?!」

 

自衛隊の兵力は二、三十万人くらいだったか?

 

「お、主な兵装は……?」

 

「騎士隊が五十万、魔法銃士隊が五十万、竜騎兵隊が五十万、海獣隊が五十万だな。そして機甲兵隊が五十万と補給部隊が四十万、偵察隊が十万か」

 

「それは、どう言った部隊なのですか?」

 

「まあ、どの部隊も大体、現代兵器はまるで通用しないくらいには丈夫であるという前提があって、その上で、騎士隊は、大体人間の五十倍程の身体能力を持つ部隊で、剣や槍などを持ち、盾と鎧を装備した歩兵だ。兵員輸送に龍を使うこともあるし、ユニコーンなどに乗った騎兵もいる」

 

「……はあ」

 

「魔法銃士隊は魔法と銃器で戦う部隊で、長距離射撃、広域殲滅を行う。竜騎兵隊は空戦力で、爆撃や空戦を担う。海獣隊が海上戦力で、海上の侵攻と水中戦を行う」

 

「………………」

 

「機甲兵隊が空中戦艦やデモンズネストの防衛装置の操作を行う。また、モンスターと魔導具を組み合わせた機甲獣の保守点検及び運用も行う。補給部隊は魔力タンクを背負って回復魔法をかけて回る。偵察隊は変幻と透明化、転移などで情報を集める」

 

「私には、その、よく分からないのだが、ドラゴンというのはどれくらい強いのでしょう?」

 

「ものによるんだよなあ。まあ、一番多く配備しているブラストミーティアドラゴンで、最高速度マッハ六くらい、装甲は核シェルター並、ドラゴンブレスは射程数百キロのエネルギーレーザーで温度は一万度程の熱線を一分くらい放射できる感じかね?」

 

「何ですって……?!」

 

「ブラストミーティアドラゴンは三十万匹しかいないし、まあ、賑やかしみたいなもんだよ。実際、ブラストミーティアドラゴンなら、一日十万匹くらいなら作れるし」

 

「………………」

 

「まあ、詳しい資料はこれだ。大体のことは書いてある」

 

冊子を渡す。

 

「じゃあ、帰っていいか?」

 




メガテンss書くつもりが俺のより面白いのがランキングに載ってた。

ss作者やめたくなりますよー。

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