ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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好きな人がいたらアレなんですけど、幸楽苑のラーメン不味くない?


48話 デモ

さて、馬鹿政治家については、ちゃんとはっきりと断ったし、深入りはして来ねえだろ。

 

多分、俺に要請したが断られた、というパフォーマンスがしたかっただけだろうからな。

 

まあ、馬鹿は無視して、動画を撮ろうか。

 

 

 

「はーい、どうもー、レイレイとー!」

 

「ドラさんだ!」

 

「今日は、新宿にやって来ました!新宿、まあ、色々あると思うんですけど……」

 

「俺がついてきた時点で察するべきだな」

 

そう。

 

つまりは。

 

「今日は、ドラさんの大食いチャレンジの日でーす!」

 

グロリアが出る回は、大抵は血生臭い戦闘回か、大食いチャレンジ回だ。

 

「えー、前回はね、三キロのオムライスを二回おかわりしたドラさんですが」

 

「ああ、オムライスは美味かったぞ。程よい酸味のチキンライスは具沢山で、いくら食べても飽きがこなかった。また行きたいな」

 

「おお、凄いな。と、まあ、このように、ドラさんは大食いドラゴンです!一日の食事量は十キロをゆうに超えます。本人は、脂っこい肉と激辛なソース、そして激甘なデザートが大好きです」

 

まあ、龍変幻して食事をすれば、余裕でトン単位食い散らかすんだが。

 

「今日は、新宿でも今話題のデカ盛り中華店、多杉飯店に来ています!」

 

俺は、店の前の食品サンプルを指差す。

 

「メガ盛りラーメン、メガ盛りチャーハン、メガ盛り餃子の三つに挑戦したいと思います!」

 

「するぞ!」

 

早速入店。

 

「すいませーん、予約していた鎧ですけどー」

 

「はーい、こちらへどうぞー」

 

と、店の中に案内される。

 

そして、料理が来る。

 

俺は普通にチャーシューメン、半チャーハン、餃子5個のセットだ。

 

グロリアの目の前には、暴力的なまでのデカ盛りが三つ。

 

「メガ盛りラーメンです!」

 

「うわあ……」

 

メガ盛りラーメン。

 

重さ五キロの馬鹿でかいラーメン。

 

豚バラチャーシュー丸々一本、三元豚の肩ロースチャーシュー二十枚、味玉八つ、メンマ特盛、ネギ一本分の刻みネギ、海苔十枚、ナルト十枚、中太麺とスープ合わせて四キロの馬鹿でかいラーメンだ。

 

「メガ盛りチャーハンです!」

 

「おおー!」

 

メガ盛りチャーハン。

 

重さ三キロの五目チャーハン。

 

チャーシュー、卵、エビ、ネギ、人参、椎茸の入った馬鹿みたいな盛りのチャーハンだ。

 

「メガ盛り餃子です!」

 

「おー!」

 

メガ盛り餃子。

 

重さ三キロもの、ジャンボ餃子である。

 

さて、それでは。

 

「「いただきます!」」

 

グロリアは、龍人族であるからして、口が大きく、牙も鋭い。

 

味玉を一口で頬張り、数回咀嚼して、飲み込む。

 

「美味いな!」

 

麺を大量に持ち上げて、息を吹きかけたりして冷ますようなことをせずに、豪快にずるずると啜る。

 

そして、ロースチャーシューをまとめて三枚頬張り、メンマをごそっと食べる。

 

「チャーハンはどうだ……、お、美味いな!」

 

チャーハンも、一口に二匙三匙、口の中に放り込んで、軽く咀嚼して飲み込む。

 

「餃子は、と。おお、美味い!」

 

ジャンボ餃子も、真ん中から丸齧りだ。

 

俺は隣で普通サイズの中華を楽しんでいる。

 

しかし、俺の食うペースとグロリアのペースはほぼ同じだった。

 

量はグロリアの方が確実に多いのに、料理の減るスピードが同じくらいなんだよな。

 

俺がラーメンを半分くらい食べた頃には、グロリアもラーメンを半分くらい食べ終わっている。

 

はっや。

 

あ、チャーシュー美味え。

 

そして、僅か三十分足らずで、全てのデカ盛り中華を平らげたグロリア。

 

「ご馳走さま、だ」

 

外野から拍手と歓声が上がる。

 

「さあ、レイジ、次はデザートだぞ」

 

「え?マジで?」

 

次に、デカ盛りパフェの専門店に連れて行かれ、二十人前サイズのデカ盛りパフェを平らげたグロリア。

 

今日だけで十五キロは食ってるぞこいつ。

 

でもこれがグロリアの一食分だからな。

 

これをユウチューブに投稿。

 

五百万再生であった。

 

 

 

そうやって、動画をガンガン投稿しつつ、春の陽気の中、まったりと過ごしていた。

 

雪解け水が滴る新緑、そして暖かな日差し。

 

俺は、隠居生活を楽しんでいる……、かに思われた。

 

だが、今、土井中村では、大変な出来事が起こっている。

 

……本物の馬鹿というものは、実に理論が通じない。

 

いや、理論的じゃないから馬鹿と言うのか?

 

卵が先か鶏が先かみたいな話になりそうだから考察するのはやめておくが、とにかく、世の中には本物のアホがいる。

 

つまり、こうだ。

 

「魔法の独占を、やめろー!」

 

「「「「やめろー!!!」」」」

 

「魔法を国際管理させろー!」

 

「「「「させろー!!!」」」」

 

そう、所謂、「本物の馬鹿」の華麗なエントリーである。

 

土井中村の外から来た憂国(笑)のデモ隊が、土井中村のうちの民宿の前でデモ活動をしているのだ。

 

明らかな営業妨害だ。

 

土井中村の駐在さんとうちのメイドが追い返しているのだが、定期的に集まっては、滅茶苦茶な内容の要求を叫んでいる。

 

景観を損ねて、騒音を撒き散らすとは、全くもって迷惑千万。

 

しかし、デモは別にやったら捕まるとかじゃないんだよな。

 

法律上、デモをすることは犯罪ではない。憲法の表現の自由の項目には、集会、結社の自由が保証されると書いてある。

 

デモという名の威力業務妨害ならしょっ引けるのだが……、その辺の線引きは難しいんだよ。

 

道路に座り込んだり、道を塞いだりするのは、道路交通法に違反するように思えるだろ?

 

でも、あれは、あらかじめ許可を得ておけば、道路いっぱいに人を並べてデモ行進しても許されるんだよな。

 

今回のこれも、役所で尋ねたところ、ちゃんと許可を得てやっているから、直接的な暴行や器物破損などがない限り止められないそうだ。

 

うららかな春の陽気をぶち壊す喧しいデモ隊は、そのようにして、土井中村で騒ぎまくった。

 

役所も断りたいらしいが、上の方から圧力をかけられ、デモを許可せざるを得ないらしい。

 

上の方とは、民権党の方だそうだ。

 

まあ、民権党は現在の市民党政権と総理大臣に攻撃することが生き甲斐だからな。

 

それと、共産党とれいわ見廻組などの野党も圧力をかけてきているらしい。

 

さて、どうするか……。




今俺の中にポストアポカリプス熱がきてます。

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