違うよ、君の仕事は、欲望のままにポストアポカリプスものを書くことだよ。
う、うわああああ!!!
土井中村に連日現れるデモ隊を無視しつつ、民宿の経営とユウチューバーの二足の草鞋を履く俺。
デモ隊については、遮音の魔法で音を遮断し、民宿に来た客には護衛を配置することで、ある程度被害を抑えられている。
民宿は、どの道、魔法の力を得られる唯一の場所と機会であるからして、規制することは不可能なようだ。
野党の圧力も万能じゃない。
一度、ツブヤイターにて、うちの民宿を潰すための署名を集めようとした野党の議員がいたが、国内外からボロクソに叩かれて、計画が頓挫していた。
そんなある日、ユウチューブに、とある一本の動画が投稿される。
タイトルは、『魔法の真実』というもの。
内容は、この前の、矢臼別演習場での魔法の披露をする俺の姿だった。
ふむ……?
どこから流れてきたのやら。
この映像は一般公開されていない機密文書だったはずだ。
つまり、そうなると、機密文書に触れられるほどの立場の人間が勝手に公開したということになるが……?
内調辺りが火消しに動いたらしいが後手後手。
ネットの海に乗ったこの動画は、SNSやニュースサイト、個人ブログを通して、即座に世界中にばら撒かれた。
この動画のコメント欄を見てみよう。
『は?やばwww』
『リアル志向洋ゲー並の魔法かと思えば、なれる系和ゲー並のガチ戦略級魔法だった件』
『lol :->』
『笑えねーんだよな。このレベルの戦略兵器が国内をふらついてるとか……』
『イキスギィ!!!』
『跡部は何をやってたんだ?!こんな危ない奴は国外追放しろ!!』
『↑はいアホ発見ー。このレベルの人間兵器を他国に渡す方がよっぽどやべーんだよな。むしろ手を出さないのが正解』
『こりゃ跡部もビビって手出しできねーわな』
『国外追放!国外追放!国外追放!国外追放!国外追放!』
『↑だから、追放してどうすんだよ!こいつがどこかの国についたら、その国が世界征服するぞ!』
『ロシアや中国がこの力を手に入れたら、確実に世界征服を狙うだろうよ』
と、まあ、このように、様々な考察や意見が出て、活発に議論された。
現実での影響を見てみよう。
まず、土井中村へ繋がる道路は常に渋滞。
電車は満員。
憂国(笑)の戦士達とクソつまらん野次馬が雁首そろえてぞろぞろと。
人口三千人程の土井中村に、毎日三千人以上の人が押しかける。
テレビでは、絶望的に頭の悪い、気取ったコメンテーター(笑)が、あることないこと好き放題言って、知識人のフリをしている。
民宿には、取材と称して押し入ろうとしてくる馬鹿テレビ局が連日訪れ、断っても勝手に外からカメラを回している。
騒乱。
正に、その一言である。
幸い、地元の人々は、他所から来る人を拒むような排他的な人は少ないから、客が増えると喜んでいる。
人の多さも慣れたらしい。
ただ、村を汚す人、騒ぐ人は迷惑だと言っている。
村の清掃会の回数も増えた。
因みに、清掃会などの行事は、俺が月に一回、魔法による村の一斉清掃をする代わりに、普段の清掃会の出席はしなくてもいいと言ってもらっているので、普段からゴミ袋片手に村を歩くようなことはしていない。
自治会は他にも祭りの準備やら防災訓練やらがあるが、まあ、それなりに参加している。
土井中村の住人は、魔力操作を大体理解しているので、その辺のチンピラにいいようにされることはないだろうから、安全面は大丈夫そうだ。
メイド自警団の巡回も増やしたしな。
にしても、連中は面白がって来てるのかね?
この前の、靖国神社に放火しようとしたアジア人とか、跡部総理が中東の石油産出国と友好的に会食をしたとか、そう言うニュースは一切流れない。ネットニュースやツブヤイターに載っただけだ。
テレビ局や新聞、雑誌などは、ただ毎日、馬鹿みたいに、「鎧嶺二は危険だ」「魔法の国際管理」「撮影させない、野党の交渉に応じないのはやましいことがあるからだ」と騒ぎ立てている。
まあ、中には、純粋に観光しにきた人とか、魔法大好きファンタジーオタクとかも来るので、そういう人を無碍にするのは悪いんだよな。
それ以外の大半のクズは片っ端からちょっとした『ラックダウン』かけて返している。
まあ、本気でラックダウンをかければ、即座に死ぬくらいまで不運にできるが、俺が殺したとか言われるとめんどくさいので。
どれくらい不運にしているかというと、金額にして百万円分くらいの損をするようにラックダウンをかけている。
怪我で言えば骨折くらいだ。
病気で言えば、重篤なおたふく風邪や食中毒、盲腸レベルだろうか?
とにかく、不幸になる。
俺は、クズ共に不幸をばら撒きながら、定期的に動画を撮り、本を読み、テレビゲームや映画を楽しみ、魔導具を作って遊んで暮らしている。
最近は、やっと、今まで異世界にいた十年間分の本や映画などの娯楽を消化できたからな。
残念ながら、身体能力を意図的に落としたとしても、オリンピックの金メダルでオセロができるくらいの身体能力があるので、スポーツやアウトドアは楽しめない。
野球をしたら音速の球を投げ、どんな変化球もホームラン。登山もエベレストに一日で登れるし、マラソンなんて何百キロ走っても疲れない。
必然的に、読書や芸術関係の趣味をすることになる。
最近は油絵と彫刻に凝っているんだよな。
日本中の適当なところに転移して風景画を描いてる。
絵の上手さは、嫁が言うには中々上手い、だそうだ。
「ふう……」
魔法で絵の具を乾かしているから、一日一枚くらいのハイペースで描けるんだよな。
取り敢えず、奥羽山脈の上空二百メートルくらいの地点で描いた風景画が完成したので、デモンズネストに持って帰る。
「うーむ、まあ、結構上手いんじゃね?」
自画自賛。
さて、総理大臣はどうなっているかなー。
「『マジックサイト』」
遠見の魔法を使ってみる。
『ああ、もう、全く、どうするんですかこれ!鎧さんを怒らせたら、日本の終わりですよ!』
『そ、総理……』
『早く報道規制を!』
『し、しかし、そんなことをすればまた、跡部政権のマスコミへの忖度だと』
『今は私の風評を考えている場合ではありません!聞けば、人口三千人程の土井中村に、毎日四千人近くの人々が押し入っているそうではないですか!現地住民の方の迷惑になっています!すぐに報道陣を退去させ、応援の警察組織も呼んでください!』
『は、はい!』
てんやわんや、だな。
どこもかしこも大変そうだね!他人事だけど。
うっし、昼飯食いに行こう。
東京の定食屋に、めっちゃ美味いうどん屋があるらしい。
来々軒の燻り黒豚カレー南蛮うどんが最高に美味いとツブヤイターのフォロワーにオススメされたんだよな。
行ってこようっと。
今ちょっと、自分の中のポストアポカリプス熱がデカいです。
物質創造チートの核汚染ポストアポカリプスもの、めっちゃ書いてます。
設定どうすっぺかなー。
ヒロインちゃんはそれぞれ回復、偵察、戦闘を担当、武装は主人公君がかつてグアム、カンボジア、ミャンマー辺りでぶっ放した経験のある銃器を持たせて、フォールアウト的に例えるならば、NVのグッドスプリングスみたいな小さな村に到着。
そこでアボミネーション狩りの傭兵やりながらしばらく生活。悲惨な生活をする村だが、特に施しをするとかはない。一ヶ月後にレイダーの襲撃、ヒロインちゃん達の殺す覚悟云々。
次、ダイアモンドシティみたいな街。貧富の差大。交易ぐらし!
次、どデカい街。核シェルターの周りにできた街で、浄水装置や食料生産プラントが生きている。ちなみに、食料生産プラントの原材料はアボミネーションの死体で、味はクソマズ。ここでも交易?
次、ニューベガス的な街。スラムと一等区画が分かれてる。スラムのメスガキに餌やりをする主人公君。おちんぽに勝てない。
などと色々考え中。
アドバイスとかください。