ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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はーーー。

世の中クソ。


63話 大英博物館

空港近くのカフェを出て、早速移動することに。

 

「ど、どこへ行くンですか?!!」

 

国からのエージェントだと言う、二人の黒スーツ男を無視して、魔法で空を飛ぶ。

 

「とりあえず、世界一と名高い泥棒博物館にでも顔を出そうかな」

 

泥棒博物館……、イギリスがかつて、列強として多くの国々を植民地支配していた頃の歴史的遺物を集めた美術館。

 

『行き先は大英博物館!大英博物館だ!現地の警察官を呼べ!』

 

そう、大英博物館だ。

 

 

 

入場料は無料、だが、運営の為の資金の寄付を募っている。

 

そこに二十ポンド札をねじ込んで、クソみたいに混んでいる大英博物館へ。

 

二時間くらい並んで、ボディチェックもされたが、俺は今、いつもの格好から鎧とマントを抜いた、ゼンドラ布の服だ。

 

下半身の、バハムートの革のタイトな黒いズボンは、少し赤みがかかっている。ズボンの裾は、ベヒモスの革の黒いブーツに入れている。

 

腰にはリヴァイアサンの革の青白いベルトを巻いて、スマホと財布を入れておく。

 

スマホはこの世界の製品だが、財布は、余っていた麒麟の革でできた黄色い長財布だ。

 

上は、ゼンドラ布の赤いシャツ。

 

普段ならこれに、バハムートの革のコートとアマルガムの黒い部分鎧、そしてアポカリプスビーストの赤黒いマントを着た、軽戦士や魔法剣士のような見た目をしている。

 

鎧とコート、マントがなければ、この世界でもギリギリ、「パンク系のロックスターやってます!」みたいな顔をしていれば通用する格好だ。

 

という訳で入場。

 

中国人観光客で馬鹿みたいに混んでいる中、四方八方に私服警官が集まってきた。

 

俺はそれを無視して、展示物を見て回る。

 

興味があるのは主に美術品なので、ノープランで適当に見て回る。

 

「ん?こりゃ、エジプトのミイラか」

 

本物らしい。

 

興味本位で解析魔法をかけてみる。

 

すると……。

 

「は、ははは、ははははは!そう来るか!歴史って面白えなあ、オイ!」

 

いきなり笑い出した俺は、周囲の人々にドン引きされたが……、こんなに面白えことは他にねえって。

 

だってよ。

 

「地球にも『古代人』がいたのかよ!」

 

衝撃の事実を知ったんだからな。

 

 

 

俺は、予定を変更して、大英博物館の歴史的遺物やミイラの類に解析魔法をかけて回る。

 

そして、分かった事実……、まあ、俺の想像も含むのだが、とにかく、俺が理解したことは三つ。

 

一つ、地球にはかつて、生まれつき魔力を自在に操ることができた古代人が存在すること。

 

これは、大英博物館に展示されている、貴人のミイラで分かった。

 

古代人は、見た目や遺伝子は人間に近いが、魔法的に圧倒的に優れているのが特徴だ。魔力も遺伝するものなので、魔力因子を解析すれば、古代人の遺伝子があるかかどうかが分かる。

 

ああ、魔力因子とは、魔力の遺伝を司る、魔法的な遺伝情報だ。

 

古代人とは、この魔力因子が極めて優れている、人類に近い存在のことを指す。

 

定義がふわっとしているが、古代人についての詳しいデータはあまりないからな。

 

古代人について分かっていることは、高度な魔法文明を築いていたことと……、「神と呼ばれる存在であること」だな。

 

さっきの貴人のミイラには、高い魔力因子が残っていた。

 

恐らくは、あのミイラは古代人の血族だろうな。

 

魔力因子の遺伝は特殊で、百代くらいなら余裕で魔力量が遺伝するんだが……。

 

何で現代には古代人の魔力因子持ちがいないんだ?

 

まあ、何らかの理由で因子が薄れて、古代人の血は眠りについたんだろうな。

 

魔力因子の遺伝については殆ど分かってないからな。

 

魔力因子が大きいと遺伝しやすい、魔力因子は両親のうち高い方の因子を引き継ぐなんて言われているな。

 

それと、短い期間での出産は魔力因子を薄めるとも。あ、それか?

 

それに、魔力を操る遺伝子と魔力の総量を決める因子は別のものだ。

 

段々と、魔力を操る遺伝子が薄れていったと考えられるな。

 

二つ、古代人は、何らかの理由で世界各地に散ったこと。

 

ここにある、ピーリー・レイスの地図に解析魔法をかけたところ、極めて古い魔導具の類であることが発覚した。

 

魔力を流して使ってみると、魔法言語で、古代人の行き先について書いてあった。どうやらこの地図は外付けハードディスクみたいな記録媒体だったようだ。

 

とりあえず、分かったのは七人。

 

地中海付近にはZeusという男が。

 

インド方面にはSivaという男が。

 

極東にはAmaterasuという男が。

 

北にはMacavirushanaという女が。

 

西にはIntiという男が。

 

中東にはMardukという男が。

 

南にはAtumという男が。

 

それぞれ、別れて移動したとある。

 

ふむ。

 

ゼウス、シヴァ、アマテラス、マカビルシャナ、インティ、マルドゥーク、アトゥム。

 

うーん、面白いな。

 

全て、この世界の宗教で語られる神の名前だ。

 

もっと詳しく解析して、データファイルを洗ったところ、それぞれが人間と子をなして、魔力因子を広めた……、のだろうか?

 

データの損傷が激しく、過分に俺の想像を含むが……、七人の古代人達は自らを開拓団?と呼んでいて、次元の向こうから来たと読み取れる。

 

古代人は地球に来た開拓者ということだ。

 

そして、人類に教育をした……、とある。

 

また、人類との間に子供を作り、未来を託してこの世を去った、とも読み取れる。

 

古代人の子供達は、それぞれ、ミケーネに文明を築いただとか……、これは……、ええと、ヤマ、トノ、クニ……、大和国を築いたとか、ファラオになっただとか……。

 

と言うことは、この世界のどこかに、古代人の因子を受け継ぐ人類がいるのか?

 

いや、だが、紀元前何千年前もの話だ。

 

血が途絶えている可能性の方が高い、か。

 

そして三つ、古代人は遺跡や魔導具を遺したこと。

 

例えば、開拓団の戦闘員だったアマテラスは、三種類の特殊な兵装を常に持ち歩いていた、とある。

 

ええと、Murakumo-Dimension-Cutting-Blade……、Yata-Dimensional-Shield、Yasaka-Dimensional-Destruction-Gunとあるな。

 

んんー?

 

心当たりがあるぞー?

 

砲撃手であるゼウスは、Kepauvos-Railgunを所有していた、とある。

 

んんんー?

 

環境調査員だったシヴァは、Trishula-Environmental-Control-Deviceを所有していたそうだ。

 

んんんんんー?

 

どうなってんだこれ。

 

思いの外マジカルだぞ地球。

 

総評。

 

古代人はいた。

 

まあ、だからと言って何かある訳でもないしな。

 

分かったことをまとめて、動画にして出そう。

 

よし、大英博物館を楽しもう。

 

取り敢えず、この何とも言えない感触の、ロゼッタストーンのミニチュア置物でも買って帰ろうか。

 




最近気になって調べたら、奇異太郎少年のweb漫画がまだ続いててワロタ。

でも俺は青年の方がちょいエロで好きだったな。

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