ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

488 / 1724
いいですよね起業。

憧れます。


71話 起業

新年、正月を祝ってから、早速起業。

 

なんか、ギリシアは、あらゆる遺跡が増えたり直ったり水中から浮上したりしたので、観光客が1.5倍、ギリシャ問題による経済的な打撃からほんの少しだけ立ち直り始めたとのこと。

 

フランスは、テロが防がれて、死者が少なくなり、生きたまま捕らえられたテロの容疑者から、他のISISの潜伏場所を聞き出し、テロ組織の隠れ家を二つ検挙したとのこと。

 

どちらも、俺には関係ない。

 

えーと、今年で俺も二十九歳か。

 

おっさんじゃん。

 

辛えわ。

 

学歴はないが、職歴は身につけなくては。

 

目指せ、ブラックのクレジットカード。

 

 

 

銀座、坪単価約一億円の一等地にて。

 

俺はそこで、異世界のアクセサリーを販売する宝石店を作ることにした。

 

デモンズネストの生産プラントならば、魔法的に価値のある金属もガンガン作れる。

 

オリハルコンで例えれば、無理のない範囲で生産プラントを稼働させたとして、一週間につき10kgは生産可能だ。

 

因みに、デモンズギアはアレ、原材料はオリハルコン合金で、一万トンくらいあるから……、デモンズギアをもう一体作るとなると、百万週間、二万年くらいかかる計算だ。

 

まあ、プラントをフル稼働させれば、どうにか五千年でできないこともない、ってくらいか。

 

もっと低級な魔法金属なら、もっとたくさん作れる。

 

例えば、マギアメタルやウルフバート、ウーツメタル、玉鋼、神珍鉄、エルドライト、ゾルマニウム、バルカン鉄……。

 

その辺りなら、一日数百数千トン生産できる。

 

あ、ラムセス二世の機動兵器群はマギアメタルとオリハルコン、アダマンタイトの合金だった。

 

まあ、俺にとっては価値のない低級の魔法金属でも、適当なエンチャントと、魔法鉱石をくっつけて売ればそれなりに売れるでしょ。

 

とりあえず、軽く三十坪程の土地を購入して、アクセサリー店をオープン。

 

ブランド名は『phantasia』で行こう。

 

目標は、アメックスからブラックカードのお誘いが来るまで頑張ろう、だ。

 

あ、アメックスってのはカード会社ね。

 

噂によると、年収一千万を超えるとお誘いが来る……、なんて話があるが、基準は謎だ。

 

とにかく、稼げるだけ稼いでみて、反応を見よう。

 

いやー、これ、審査通るかな……?

 

職業がユウチューバーじゃ審査通らねえよな。

 

自営業とか派遣じゃ無理らしいから、ユウチューバーも無理だろう。

 

まあ、だから起業します!ってのは気狂いの所業だが、実際できるしなあ。

 

適当に買い漁った経営学の本を速読して、労働に関する法律を覚えて、書類を作成。

 

友達(?)の、弁護士をやっている熱海に電話。

 

「もしもし、俺だ。会社作るから、良い弁護士紹介してくれ」

 

『お、おう』

 

 

 

ヒューッ!

 

登記やら何やらと、書類作成が面倒くせェ!

 

まあ、どうやって会社を作るかなんて長々説明はしないが、クソめんどくせえとだけ伝えておくわ。

 

作った会社は株式会社ではなく合同会社だ。

 

合同会社は……、まあ、株式会社と違って、出資はしてもらえないんだが……、全体的に面倒が少ないので、合同会社としてスタート。

 

法人なら何でも良かったんだよ。目的はアメックスセンチュリオンなんだから。会社で働いているという証拠がありゃ良いんだ。

 

定款……、会社の決まりごとを作って、資本金百億円ドバーッと流して、役所に書類をドン。

 

最初から怪しさと突っ込みどころしかないが、株式会社のようにスポンサーがいて金をもらっている訳じゃねえから、誰にも文句は言われねえ。

 

ツブヤイターと公式サイトで色々と告知を出して、はい、開業。

 

シャネル、グッチ、ルイヴィトンなどの有名どころが建ち並ぶ銀座に、アクセサリー店をオープンした。

 

 

 

デザインは俺とエスメラルダ。

 

材料は低ランクの魔法金属や魔法鉱物。

 

亜人国家では中級ブランドくらいの格のアクセサリーを売ることに。

 

値段はピンキリ、安くて一万円から、高くて数億円。

 

ターゲット層どこだよと自分でも突っ込みしたくなるが、とりあえず働いているアピールがしたいだけなので別になんでも良い。

 

まあ、できれば、たくさん売れて、ユウチューバーと民宿以外の年収が一千万円を超え、アメックスのブラックカードの会員になれたら良いなー、くらいの気持ちだ。

 

ってか、そもそも、地球に存在しない物の値段ってどうやって決めりゃ良いんだ?

 

全部俺のフィーリングで値段決めるけど良いよね?

 

しかし、値段と客層は難しい感じだからな。

 

基本的に、昼間は安めの商品を、夜は高めの商品をとフレキシブルにやっていきたい。

 

さて、店は、ガラス張りの、道路沿いの建物。

 

ショーウィンドウにモンスター革のコートやらアクセサリーやらを着せたマネキンを置いて、ガラスのショーケースを適当に並べて、コンビニで使ってるようなレジをポンと置く。

 

店員?

 

そりゃメイド部隊よ。

 

店並は建築法の範囲内で異世界風。

 

いや、流石に建築法は破れないから、この世界の大工に依頼したよ。

 

俺の友達(?)の建築関係やってる武見沢に頼んで、適当な業者を紹介してもらい、俺の描いたコンセプトアートの通りに作ってもらった。

 

一応、こっちで用意したものは全部異世界風にしておいた。ショーケースは浮いてるし、壁には絵が動く絵画(作者は俺)とか、魔法のランプとか、魔法のカタログとか作って置いておいたんだけど……。

 

俺、宝石店なんざ行ったこと殆どねえもんよ、よく分かんねえや。

 

この手のものに詳しいテレジアは「ばっちりよ!」と言ってたから、まあ、大丈夫だろ。

 

24時間営業、俺はいたりいなかったり。

 

給料は歩合制……、と言っても、メイド部隊は人間じゃないので給料なし。

 

え?労働基準法?

 

残念ながら労基は人間の法律で、ホムンクルスには適応されねえんだわ。

 

まあ、メイドは、連続勤務時間は六時間以内、交代制で働かせている。

 

メイド的には、暇なんで仕事をくれ!みたいなノリだ。

 

メイドは、デモンズネストの管理維持が仕事だが、俺がホワイト企業的な思考回路なので、一人当たりの労働時間はかなり短くなっている。

 

メイドは週休三日くらいだな。

 

なので、暇なメイドは仕事をくれといつも言っている。

 

まあ……、お前らがそれで良いなら良いんじゃねえかな?

 

とにかく俺は、歩合制で、売れたら売れた分だけ金が得られる。

 

基本給も月百万くらいに設定。

 

普通はこんな事をしたら、社員からボコボコにされるもんだろうが、社員は俺だけだ。

 

誰かを雇う予定もない。

 

このまま行くぞ。

 

 

 

さあ、二月十日、午後一時、開店!

 




休日の書き溜めがものすげー量ある。

なお、本編である旅人のストックは切れてる模様。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。