ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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金の使い所さん。


73話 金の使い道

うーん。

 

うん。

 

「稼ぎ過ぎた」

 

今、世界にたった一つの魔導具店『phantasia』の経営は、まさに爆発的の一言だった。

 

もう、たったの二ヶ月で、売上高六百億円を突破して、損益はほぼゼロ。まあ、税金で半分くらい持ったかれたけど。

 

税務署に叩きつけた書類から、損益の低さに驚いた職員がぞろぞろと現れて俺を問い詰めたが、俺は、魔法でやりましたの一点張りで取り合わなかった。

 

実際、魔法で作っているから原価はゼロ、損失なしでトップクラスの企業並の純利益を得ている訳だから、突っ込みどころしかない。

 

しかし、「太平洋の上のどこかにある巨大な生産プラントから」「永久回路を使って」「無限に雑貨を生産している」と言うのは、罰せられることではない。

 

何せ、こんなとんでもないことを禁止する法律はないからだ。

 

無から有を創り出して、売り捌いてはいけません!なんて、誰が言うんだ?

 

念の為、税務署の職員に生産プラントを見せて、資金の流れを明確に示した。

 

ほら、違法じゃない。

 

だが、それにしたって、三百億円もの降って湧いた金をどう使うか。

 

一応、百億円くらいは口座に入れてあるが、なるべく金は使った方が良いだろう。

 

流動しない富ほど悪いものはない。

 

だが、あまり欲しいものがないのも事実……。

 

「あ、そうだ。投資しよう」

 

発想の逆転だな。

 

何も、金は俺が使わなくても良いんだ。

 

誰かに使って貰えば良い。

 

即座に、株の口座を開く。

 

そして、俺が得た給料の三百億円を、そのまま、西映にぶち込んだ。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

私、錦実篤が、この西映で働くきっかけは、四十年前のあるアニメ映画だった。

 

宇宙戦艦ムサシ……。

 

幼い私は、少ない小遣いを握りしめて、毎日のように映画館に行ったものだ。

 

その後も、覆面ライダーに、マシンガーV、秘密戦隊ゴレンジャイ……。

 

小学生の私は、学校の友達と一緒に、飽きもせずに毎日ライダーごっこをしていたな……。

 

思えば、それが私の始まりだったんだろう。

 

それから私は、文学の勉強や、映画の本場アメリカへの留学をして、映画について学び、そして、西映のプロデューサーに就任。

 

いくつかのヒット作を送り出した後、功績を認められ、取締役に就任した。

 

私は、錦実篤。

 

西映グループの代表取締役だ。

 

 

 

私は、朝の六時に起床して、妻の作ってくれた軽い朝食を食べて、三十分ほどのジョギングをし、シャワーを浴びてから出社する。

 

もう私も大分歳だ、定期的に運動をせねば、衰える一方だからな。

 

そうして、八時に出社した私は、銀座にある本社ビルの最上階の社長室に入る。

 

そこで、コートを脱いで、パソコンをつけて、メールを確認。

 

メールの返信が終われば、秘書の浦田君にスケジュールを告げられるので、その通りに動く……、と言っても、接待や会議が主たるものだ。

 

「さて、浦田君、今日のスケジュールは?」

 

「しゃ、社長!それどころではありません!我が社の株が!」

 

「な、何事かね?」

 

息を切らせてやってきた浦田君。

 

冷静な浦田君がここまで取り乱すとは、大変なことがあったに違いない。

 

私はパソコンで、我が社の株を調べた。

 

「な、何だね、これは?!」

 

か、株価が2倍?!

 

「何者かが、恐ろしい勢いで我が社の株を買っています!」

 

株を買う者が多くなれば、株価は上がる、それは当然の話だ。

 

株価が上がれば、株価が高いうちに株を売って儲ける、それも当然だ。

 

問題は、一個人が、膨大な資金力で我が社の株を急激に買い集めていることだ。

 

まさか、我が社を乗っ取るつもりか……?!

 

ハゲタカファンドや、中華マネーだろうか?

 

何者かは、我が社の株を一ヶ月かけて10パーセント買うと、ピタリと停止した。

 

日本円にしておよそ三百億円分、我が社の市場に出ている株のほぼ全てを買われ、我が社の筆頭株主に躍り出た何者かは、更になお上がり続ける我が社の株を売らずに、沈黙している。

 

不気味だ。

 

「浦田君、緊急株主総会を開こう。これは不味いよ」

 

「はい、すぐに手配します!」

 

 

 

一週間後、株主全員が集まり、株主総会を開く。

 

そして、我が社の筆頭株主になった謎の男は、一番最後にやって来た。

 

「どうも」

 

普通に会議場に入ってきた謎の男は、鎧嶺二と名乗り、挨拶もそこそこに席に座った。

 

「えー、今回、株主の皆様にお集まりいただいたのは他でもありません。鎧嶺二氏による、我が社の株の買い占めが起きたからです。鎧嶺二氏は、何を思って、我が社の株を買い占めたのかをお聞きしたい」

 

 

 

「ノリで」

 

 

 

「「「「………………は?」」」」

 

「三百億ほど要らない金があったから、適当なところにぶち込んだ」

 

私を含め、株主全員が唖然とした。

 

私の収入だって、年間で数千万円だぞ?

 

三百億円余るとは一体……?

 

確かに、トップクラスのヘッジファンドなどでは、年収が千億円になった人もいるとは聞いたことがあるが……。

 

少なくとも、このような公の場に、鎧とマントで現れる人間が、ヘッジファンドのトップ層とは思えない。

 

「嫁が覆面ライダー見ててさ、映画楽しみにしてるってよ。株に注ぎ込んだ三百億は覆面ライダーの撮影の予算にでもしてくれ」

 

いや……、覆面ライダーの映画の予算は大体四、五億もあれば十分なのだが……。

 

「じゃあ俺は優待券もらって帰るから。今後の株主総会も割とちょくちょくサボるわ。経営に口出しはしないから適当にやってくれ」

 

「え、あの」

 

「あ、そうだ、折角だし、ママゾンズみたいなネット配信の大人向け覆面ライダーを作っといてくれ。俺が後で見る」

 

そう言い残して去る鎧嶺二氏。

 

 

 

私は一体、どうすれば……?




厳正な審査の結果、あと10話ほどの帰還勇者の書き溜めを全て吐いてから新作の投稿をします。

選択肢はこうだ。

1:ポストアポカリプスダンジョンの続き。
世界崩壊から半年、生き延びた人間達がダンジョンに挑む。冒険者ギルドの設立、主人公に会いにきたヒロイン、強化され過ぎた主人公チーム。
試される大地、北海道の精強な冒険者達。北海道の冒険者は数が多く、組織的行動が得意で、集団でダンジョンを攻略し生存域を確保していた。組織的行動はマタギの血である。JOB:狩人や銃士が多く北の大地で冬に備える北海道人。
東北、亜人と協力して農耕民族として生活中。
関東、「存在するだけで周囲の環境を変化させる超高レベルモンスター」の氾濫により壊滅。モンスターの平均レベルが高い。その代わりに、得られる素材も多く、レベルも上がりやすいため、天海街は冒険者のメッカとして、日本中の冒険者や、魔法技術の研究者が集まる。
中部、在日外国人に支配され、ヨハネスブルグもびっくりの違法都市に。そこら辺に死体が打ち捨てられ、麻薬が横行し、人身売買すら行われる。
中国四国、ダンジョンのエネルギーが溢れ出し、周囲の環境が変化。ほぼ人が住めない地に。少数の人間が、環境の変わった中国四国で、ここに住む亜人と共同生活を。
九州。九州の冒険者は強い。特殊なスキルである、「示現流」が生えた人間が多数存在し、JOB:侍が生まれる。侍は、現在確認できるJOBの中でも最強の物理戦闘職とされている。
沖縄は割と平和。

2:スペースオペラの続き。
全世界に嫌がらせがしたい!
ソシオパス系主人公君、全世界に喧嘩を売る。
かつて、この辺りの星系には、原住民族がいた。遺伝子合成技術で、他種生命の遺伝子を取り込んだ人間である、ビスト人、フェーザ人、レプト人、フィシュ人、セクト人。
そう言った亜人種は、技術を星ごと奪われ、奴隷階級として飼い殺しにされて久しい。
主人公は考える。「奴隷階級が偉くなったら多くの人間が悔しがるんじゃね?」と。
そして、世界中から才能のありそうな亜人を厳選して集め、恩を売り、教育し……。そして、宇宙海賊を根こそぎ潰して得た金銭を元手にメガコングロマリットを結成!
始まりはバイオ培養素材で作った美味しい棒ドーナツ!何故だかこの世界は飯が不味い!宇宙開拓に全振りしてきた人間ばかりなので、連合の飯はブリカスが如き、帝国の飯はドイツ風手抜き料理、同盟は最早クソ不味いエネルギーバーとサプリメントだけのディストピア。そんな世界で食の革命を!
樹脂パック入りレトルトカレー、粘度高めで宇宙空間でも食べやすく!培養フルーツのジュースパック!フリーズドライのハンバーグをフリーズドライ解凍機ごと売って大儲け!重力のある星ではうどんヌードルと魚丼!二つで十分ですよ!
やがて、独立した亜人に宇宙船をくれてやり、旅立たせたりとか。兵器の売買を始めたりとか。地球文化は?テレビゲームなんてどうだ?機械類も良いね!いっそ宇宙船も売ってみようか!そして広がる販路……!

3:新作、核崩壊世界超能力系ポストアポカリプス
異世界転移、物質創造チート有り、クラス丸ごと転移。但し行き先はフォールアウトnv的な核崩壊世界である。
金持ちのボンボン、一生の半分以上を海外で過ごした主人公君。核戦争で壊滅し、悍ましい放射能汚染モンスターが徘徊するポストアポカリプス世界にて、ヒロイン三人連れて旅をする話。
例によってサイコパスな主人公君、テロリストに攫われて拷問されたり、マフィアに撃たれたりした経験、抜群のコミュ力と英語力(この異世界の公用語は英語)でポストアポカリプス世界を生き抜く!
帰る方法を探しつつ、事件に巻き込まれ、他のクラスメイトから干渉されつつも、自分さえよけりゃ良いという自己中心的な考えの元、旅を続ける。
通貨は弾丸、物々交換。地下シェルターに住む人々、スカベンジャー、迫り来るレイダー!
孤児のメスガキに餌付けして、美味い酒を飲み、ロボット執事とヒロイン三人を連れて荒野を行く。

4:新作、メガテンもの。
スーパーハッカー、デビルサマナーになる。
ネットに強い主人公君、性格が悪いので、社内の和を乱すという理由で突然のクビ!ムカつくので会社のPCにハッキングしてウイルスを流して破壊!
そしてネオニートとして生きていた主人公君はある日、悪魔召喚プログラムを得る。
主人公君は、悪魔召喚プログラムの言語を解析して、悪魔を改造する技術と、悪魔の持っているアイテムだけを引っ張ってくる技術を得る。悪魔のプログラムを合成して新しい悪魔を作る技術、「悪魔合体システム」もリリース!
そして、裏社会について知る。自衛隊のクーデター?トールマン?シュバルツバース、悪魔テロ、ジョーカー事件?ふざけんな、この世界はどんだけギリギリのバランスで成り立ってるんだ!葛葉は、ジプスは、宮内庁は何をやっているんだ!!
そうだ、もういっそ、世界中の人間をデビルサマナーにして、終末世界に備えよう!その為にはまず異界製のアイテムの販売だ!
そして生まれる組織、「DDSnet」……。主人公君の知識を元に作られた、デビルサマナー、ペルソナ使い、異能者のみがログインできるネットワークサービスである。DDSnetでは、異界アイテムの販売、悪魔による事件の情報提供、異界の情報提供など、物流と情報を支配し、デビルサマナー業界全体をパワーアップさせてくれる。
表向きには、株式会社金王屋として、大手町周辺にオフィスビルを所有。尚、一階のテナントは「ミルクホール新世界」というバーが入っている。
もちろん、ガイアーズもメシアンも、葛葉も、DDSnetをほっといてはくれないんだけどね!!!

5:新作、クリエイターもの
某四角い世界風の能力を持つ主人公君が異世界転移!
テンプレもテンプレ。北海道在住農家兼猟師の元営業マン主人公君は、サンドボックスゲームが大好きで、新作のMODである異世界転生MODを突っ込んだ。
そしたら案の定、異世界に転移してしまう。絶望するが、どうやら、自分にMOD全部のせのサンドボックスゲームの主人公の能力があることを知る。
それを利用して、森に引きこもろうとするが……、人外の連合王国から逃げてきたと言う獣人美少女と出会ってしまう!
もちろんお断りするが、クラフト能力が神の力だと勘違いした獣人美少女がついてくる!
話によると、ブリカスみたいな国は、亜人の国を植民地にして、亜人を奴隷にしているらしい。はいはい、テンプレテンプレ。
そんなことは知ったこっちゃないんだが、どんどん集まる村人。まあ、主人公の目的は、「賢者の石」「縮退炉」「アカシックレコード接続器」「物質生成装置」などを作って、それにより異世界超越ゲートを作り、日本に帰ることなので、それまでに精々こき使ってやるかと考える。
すると、いい生活ができるようになった亜人達は喜んで働く。奴隷よりマシな暮らしが出来る、幸せ!
亜人と始める国づくり!



このどれかになると思います。

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