ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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資本バラマキおじさん。




74話 資本ドバーッ

さーて、アメックスのブラックカード、アメックスセンチュリオンを貰えるまで働くぞー。

 

謎の魔導具店『phantasia』は、たった三ヶ月で、月収三千億円を超える収益を叩き出す大企業として人々に認知された。

 

それも、損益ゼロの個人経営の合同会社という、怪しさ数え役満の謎企業として。

 

もちろん、定期的に捜査のメスが入るが、魔法で作りましたという答えに対して、文句が言える奴はいない。

 

「魔法で無から有を生み出してはいけません」と言う法律は、どこの国にも存在しないからだ。

 

だが、合同会社として、出資を受けない代わりに他人に配当を渡すこともないというストロングスタイルは非常に嫌われており、昼日新聞や週刊文秋、共産党のような左翼集団は、あらゆるところで「公平な富の分配」についてという錦の旗を掲げ、俺を痛烈に批判している。

 

だが、左翼団体の掲げる「崇高なる理想」である「みんな平等」とやらを真面目に聞く奴は殆どいないし、おセレブ様達は喜んで金を出す。

 

何も問題はなく、俺には関係ない。

 

税金もちゃんと払っているし、「法的に問題があること」は一切やっていない。

 

倫理的な問題?いやー、ちょっと知らない言葉ですねー。

 

 

 

最近の俺の行動範囲は銀座を中心に東京23区の中である。

 

ミリオネアの俺は、毎日のようにザギンでシースーを食える身分なのだ。

 

でも、土井中村にもちょこちょこ戻ってる。

 

だって土井中村の飯美味いんだもん。

 

銀座の飯は美味いけど、何というかお高い味がする。

 

コロッケにわざわざ神戸ビーフなんて混ぜなくて良いから……。

 

土井中村の肉屋の、あのソースをたっぷりかけたコロッケサンド!サラサラのしょっぱいソースがパンとコロッケの衣にじっとり染みて、北海道産の芋のしっとりとしたコロッケを頬張る!あれが一番美味いんだよ。

 

銀座の寿司も確かにお上品で美味い。だが、土井中村の出前寿司のあの大きさと新鮮なネタ、出前特有の握り方で、家に届く頃には食べ頃になっているあの寿司も負けてない。

 

弁当だって、銀座の高級店のオシャレで高価な弁当はとても美味い。しかし、土井中村の弁当屋さんの、心を込めて作られた大盛り弁当も美味いんだ。

 

みんな違ってみんないい。

 

金子みすゞは正しかった。

 

そんな訳で、土井中村のラーメン屋で味噌バターコーンラーメンをずるずるーっと啜り、その合間にチャーシュー丼をがーっと掻き込む。

 

そして餃子も二皿平らげて……、俺はラー油をたくさんかける派閥だ。餃子も、んー、にんにく多めで美味えなー。

 

そして最後に、バターが溶けきった味噌のスープを飲み干して、ご馳走さまだ。

 

「ご馳走さまでした、お勘定は?」

 

「二千五百円だ」

 

「はい、じゃあ一万円で。お釣りは良いです」

 

「鎧さん、こんなにもらえないぞ。はい、お釣り」

 

ラーメン屋の頑固親父に釣りを返される。

 

「どうも、また来ます、ご馳走さまでした」

 

 

 

投資と無駄遣いという遊びを覚えた俺は、魔導具店で得た資金を、株やオークションで溶かして遊ぶ。

 

月に二千億円程の膨大な資本があらゆる企業にぶち込まれて、とんでもない予算が下りる。

 

俺が主に株を買っているのは、漫画や小説の出版社、美術や音楽関係、アニメーション関係、模型やおもちゃ、食品関係。娯楽、飲食、一部メディア関係にごぞっと資本を叩きつける。

 

日本の誇る自動車産業や電子機器メーカーなどは総スルー。出版社も左翼系出版社はスルー。物流、建築、不動産もスルーである。

 

その結果、何が起きるのかというと、娯楽業界のバブルである。

 

様々な娯楽業界の筆頭株主となった俺は、とにかく、労基を守って金と休みを社員に配れ、人が足りなきゃ雇って教育しろと言いつけて、余計なことは言わずに金だけ出して消えた。

 

企業達は、言われた通りに、社員の給料と休みをごっそり増やして、社員を増やした娯楽業界は、有り余った予算で新しい製品をガンガン作り始めた。

 

開発中止になったプロジェクトを再始動させ、現行のプロジェクトを加速。新製品の開発、海外への輸出、宣伝の増加。

 

プロアマ問わず、高い給料を払うことを条件に多数の人間を集める。

 

例えば、激務で薄給のアニメーターなどは、あまりにも酷い環境で、技能はあってもやめてしまう人や、技能があるのに現実を知り諦めた人が多い。

 

そういった人々も、企業の労基を守り、給料を上げるという方針により、アニメーターに就職。

 

因みに、管理職や役員の給料は上がっていない。

 

そして更に、月額制動画配信サイトやユウチューブ、ニヤニヤ動画などの動画配信サイトでの放送をメインにし、テレビ業界による中抜きを防ぐ。

 

予算は腐るほどあるので、スポンサーの意向を聞く必要はなくなり、脚本家が大暴れする。

 

人が増えたので、アニメの作画が良くなる。それに伴って新人の監督や脚本家、声優が出てくる。

 

ドラマ関係も、予算の増加により、キャストが豪華になり、イベントなども増える。

 

芸術、食品関係はもっと凄い。学生や新人を、本場の欧州へ留学させる為の資金がたくさん。店舗の海外進出、正規雇用の増加。

 

出版関係はどうだ?新しい雑誌の創刊、それに伴う雇用の増加と、アマチュアの漫画家小説家のスカウト。

 

まあ、なんだ。

 

この世界の大抵の問題は、札束で頬をぶん殴れば解決するんだよな。

 

 

 

数千億円という資本はあまりにも大きい。

 

GDPにおいては1パーセントにも満たないが、国内最大の自動車メーカー「トミタ」の資本金が六千億円くらいだと言えば、これだけの金を株式市場にぶち込まれていることの恐ろしさがよく理解できるだろう。

 

アメリカの巨大ヘッジファンド並の資金量がばら撒かれる日本市場は大混乱しており、経済界は大慌てしているらしい。

 

俺には関係ないが。

 

もっとまとまった資金が手に入れば、次はアメリカの市場に投資して遊ぼう。

 




あああああ!狂いそう!

帰還勇者の後、何更新しようかな……、ポストアポカリプスダンジョンかメガテン?

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