ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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89話 魔法学園都市始動

《日本、観光収入前年度比129%!亜人効果で好景気!東経平均株価28000目前、右肩上がり!バブル再来か?!ーーー東経新聞》

 

《亜人バブル、激増の見込み!各地の観光業者のキャパシティの急増による経済活性化!ーーー日本講読新聞》

 

《亜人国の外貨収入増加!亜人技術輸入による日本新時代!ーーー産業新聞》

 

『午後のニュースです。亜人観光客激増、亜人入国解禁から既に五百万人の亜人が来日し……』

 

「お客さーん、鴨せいろ蕎麦お待ち!」

 

「あ、ありがとうございます、いただきます」

 

飲食店の新聞を畳んで、ブックシェルフに戻す。

 

鴨せいろーっと。

 

うん、美味い。

 

蕎麦の繊細な香りが感じられる、いい蕎麦だ。鴨肉も柔らかくて、ジューシーだ。

 

さて……。

 

一月半ば。センター入試の申し込みが終わった頃だな。

 

今は、日本中の新聞、テレビなどのメディアが報道しているように、現在の日本には亜人観光客が中国人並みに雪崩れ込んできており、なおかつ、「勇者がいる国である」ことから株価が爆上がりしている。

 

これからの社会は、「いかに亜人国家から魔法技術を吸収できるか」にかかっていると経済界の人間は見ている。

 

実際に、商売人気質のアメリカのチェス大統領は、超大規模な国債発行をして、亜人国家からの技術習得を目指している。

 

それと同じくらいにロシアも動いている。プチロフ大統領は軍事面にかなり力を入れている様子で、亜人国家の兵器を輸入してリバースエンジニアリングを繰り返している。なお、人はいるので、ホムンクルス技術にはあまり力を入れていない模様。共産圏では人民の仕事がなくなるような技術は邪魔なのだ。

 

次いで、ドイツもかなり技術の習得に熱心に取り組んでいる。移民政策の失策で後がない欧州、ここから巻き返すためにどんな手も使うつもりだろう。ネオナチ的意見は大多数に封殺されている。ほぼ無産階級の移民も無視され、亜人の魔法技術の研究に膨大なリソースをつぎ込んでいる。

 

日本?野党がね……。予算もない。が、この状態でも優秀な人材は何故かいる。そこそこに研究は進んでいる。

 

反亜人国家の中国、南米、中東、アフリカは、世界の資本が、リソースが亜人国家とその技術の研究に回されて、徐々にやられてきている。

 

共産圏はあまりダメージを受けていないようだが……、世界に取り残されるのはこれからだろうな。

 

 

 

うん……。

 

 

 

だけどさ……。

 

 

 

「はぁ?!!日本の土井中村に魔法大学を作るぅ?!!」

 

俺が叫んだ。

 

あんまりにもあんまりな出来事はやめようぜ?!

 

 

 

俺がこの情報を知ったのは、水中学術都市国家アクアレギスの王である、人魚王ポセイドンからの連絡があったからだ。

 

ポセイドン王の言では、俺という優秀な勇者を生んだ日本という国に期待して投資をする、とのことだが……、多分この人の趣味だな。

 

ポセイドン王は学問が好きで、国の予算をバカスカ研究費に当てるからな。

 

毎年、新技術のコンテストを開いてるし、亜人国家のノーベル賞的な賞であるホエール賞の選考委員の委員長もやってる人だ。

 

去年のホエール魔法賞はガルフロス式次元崩壊砲の十三型だったっけ?

 

一昨年は、神経を繋げたまま多次元空間に肉体の一部を転移させる融合次元連結の魔法だったらしい。

 

あー、俺もホエール賞の選考会見たかったなー!

 

しゃあねえから後で十年分のホエール賞記録見よう。

 

さて……、本当のところはどうなのかと聞いてみたところ、ポセイドン王は、この世界の人間の発展を正しいものにしたいらしい。

 

身の丈を超えた……、それこそ、魂魄を大量に消費して月を落とすような、歪な術式を使うことのないような、真っ当な学習をして欲しいらしいそうだな。

 

まあ、ごもっともだ。

 

ろくに知識のない原始人に火よりも危ない叡智の塊である魔法をぶん投げちゃ駄目、ちゃんと学ばせようぜ、ってことだ。道理だな。

 

だったら最初から魔法を教えるなって意見もあるかもしれないが……、魔法という未知の技術の存在を知っていて調べない国とかないだろ?

 

百パーセント調べる。どんな手を使ってでも。

 

亜人も一般の亜人なら銃器で倒せるし、誘拐されて魔法について吐かされる可能性も十分にある。

 

亜人側だって、人間に適当に魔法を教えて、人間国家で荒稼ぎ!みたいな奴も普通にいる筈だ。

 

国民の五人に一人が秘密警察の北朝鮮じゃないんだから、完全な防諜は不可能。

 

なら、最初から正しい魔法知識を教え込んで、月落としのようなアホなことをさせない体制作りの方が大事だってことだな。

 

となるとまあ、好きにやってくれって話になるのだが……。

 

「土井中村を村から街にして、更に学園都市にするって何だよ!」

 

俺の隠居地が!

 

ん?アレ?

 

でもどうせデモンズネストで寝泊まりしてるし良いのか?

 

……良いか。

 

えーと、政府からの内諾は既にあり、村も殆ど手を加えずに拡張して、学園都市にするそうだ。

 

政府の内諾……、まあ、いかに野党がノータリンでも、百パーセント亜人国家側負担で工事してくれて講師も用意して資料教材も融通してくれるんなら、野党がどんなに反対しても無理矢理にでも通すだろうな。だって利益しかないもん。

 

建設期間は多めに見積もって二週間だそうだ。

 

は?いやいや、魔法で工事するから、二週間もあれば四千ヘクタールの街くらいすぐできるぞ?

 

さて、となると……。

 

「俺とオリヴィエ、アウレーリア、アニエスを特別非常勤講師として雇う、か」

 

まあ良いんじゃない?

 

給料は定期的にくれて、暇な時に講義してくれればOKとのこと。

 

六王には借りがあるから、それくらいならやるわ。

 

土井中村の住民からの許可は?あるのか。

 

工事はいつから?今からか。

 

じゃあ、工事の様子でも見るか。

 

 

 

「オーライオーライ!良いぞ、下ろせ!」

 

亜人国家で作られた巨大な研究棟が異次元転移され、魔法により持ち上げられて移動中。

 

シムな街のゲームのように、建物がドンと置かれる。

 

「『クリエイトロード』」

 

道も創造魔法でパッとできる。

 

上下水道やガス電気も、魔法で無限に供給されるので問題はない。

 

土井中村の住民は仕事をサボって見物しに来ているし、マスコミも多数来ている。

 

そんな中……。

 

「「「はい、完成」」」

 

貴骨族、魔人族、蛸人族の三人の作業員がそう言って、即帰った。

 

それを聞いた跡部総理がすっ飛んできて、竣工式をする。

 

そして速攻で運営開始……。

 

亜人国家はその辺りの意思決定が恐ろしく早い。

 

やると決めたら即やる。

 

日本のようにまごまごと書類ーハンコー部長のところで止まってるー、のような遅延はなく、情報を取り扱う魔法で一瞬で処理される。

 

総理大臣も、正直来年からスタートが良かったと思っていたらしいが、スタンバっている亜人国家側を一年放置はヤバいと思い、即座に官僚を動かして、学生の募集を開始し、企業の募集を開始した。

 

そして、利に聡い人間はハイスピードで動く。

 

土井中村の俺が魔法を教えた少年少女達は、魔法科高校、魔法科大学に第一志望を変更して、他の有能なガキ共もどしどし応募。

 

インターネットで募集開始から半日で、倍率6.8倍にもなった。

 

研究機関の倍率はもっと高い。

 

旧帝大の研究グループが機材を持ち寄って集まり、その他ベンチャー系も集まり……。

 

 

 

三月二十一日、土井中村改め、『魔法学園都市あかつき街』は、本格的に始動した……。

 




いや、たまには外出たいわ。

最近忙しくて死ゾ。
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