ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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この三人の男の子、初登場は13話です。

たまに読み返してね!


92話 魔法科高校の優等生

「流石ですわ、お兄様っ!」

 

「………………」

 

「もー!なんとか言ってよおにぃ!」

 

「まず第一に、俺はそこまで魔法が上手くない。第二に、俺はシスコンじゃない。第三に、劣等生と呼ばれるほど不真面目じゃない」

 

「おほー!冷静なツッコミぃ!益々お兄様じゃーん!」

 

「しばくぞ」

 

はぁ、全く……。

 

あやめにも困ったものだ。

 

双子の妹なのに、何故こうも俺と似ていないんだか……。

 

「でも、魔法は魔法高校では評価される項目だから良かったね!」

 

「そうだな」

 

「将来的には分解とか再構築とかするの?」

 

「馬鹿かお前は……」

 

分解?再構築?

 

俺の師匠である嶺二さんが言っていた。

 

魔法の極致は個人によって違う、と。

 

例えば、嶺二さんの極致は創造だった。

 

創造というのは、ただ物を創り出すだけじゃなく、「破壊という結果そのものを創り出して世界に上書きする」ことも可能だそうだ。

 

並の魔法使いが相手なら、破壊したという結論のみを押し付けて、魂ごと消し飛ばすことも可能……。

 

それが師匠の創造魔法だった。

 

師匠が言うには、魔法とは、口喧嘩合戦であり、プログラミングであり、交渉であるそうだ。

 

つまり何が言いたいのかと言うと……。

 

魔法を使ってAとBが戦闘したとする。

 

すると、AはBに三千度の炎を放つとしよう。

 

そしたら、BはAの炎を防ぐわけだが、ここで選択肢がある。

 

例えば、水魔法で相殺、三千度の炎を防ぐ盾を展開、燃えない盾を展開。

 

それに対してAの次の行動はこうだ。

 

相殺されたなら別の魔法をぶつける。

 

三千度の炎を防ぐ盾を展開されたなら、四千度の炎を出す。

 

燃えない盾を展開されたなら、燃えない盾を燃やす炎を放つ。

 

さあ、燃えない盾を燃やす炎に対してBはどうするか?

 

簡単だ、燃えない盾を燃やす程の炎を防ぐ盾を出す。

 

そうやってパワーゲームに持ち込むことも可能だが、魔法はこんなこともできる。

 

衝撃には弱いがどんな炎も防ぐ盾を出す、などだ。

 

つまり、魔法とは、屁理屈のぶつけ合い、子供の口喧嘩のようなもの。

 

「バーリアー!」「じゃあバリア壊すビーム!」「じゃあバリア壊すビームを防ぐバリアー!」みたいな感じだな。

 

まあ……、俺にとっての極致がどうなるのか、最近は段々と見えてきた。

 

俺の極致は、「熱量」だと思う。

 

圧倒的なエネルギー量でどんな術式も焼き切る。

 

俺は市川春人。

 

炎の魔法使いだ。

 

 

 

国立あかつき大学附属魔法高等学校。

 

俺の通う高校だ。

 

現在の俺は高校一年生……、新入生だった。

 

とは言え、二、三年生もいる。

 

二、三年生は、師匠に魔法の薫陶を受けた高校生達が転入してきたのだ。

 

その他にも、都内の有名高校から転入してきた生徒も多数いる。

 

俺のような、師匠とその奥さんに魔法を習った子供達は、世間ではこっそり『ファーストエイジ』と呼ばれている。

 

その中でも、俺と、その親友の山岡孝太郎と海老名俊輔は、特にビシバシ鍛えてもらった。

 

お陰で、今は、師匠が言うには、「一端の魔導師だな」と評価されている。

 

そんな俺達は、一年の山川海トリオって名前で通っている。

 

魔法高校からなら、試験免除で隣の魔法大学にも行けるし、学費も大幅に減額されるし、将来は魔法大に通って魔法使いになるぞ。

 

おっと、孝太郎と俊輔が来た。

 

「よお、ハル!」「おはようございます」

 

「ああ、おはよう」「あ、コウとシュンじゃん!おっはー」

 

俺と妹が挨拶を返す。

 

茶髪の野球選手みたいな奴がコウこと孝太郎で、長い黒髪で優しそうな顔をしている方がシュンこと俊輔だ。

 

俺達三人の夢は、「いつか亜人国家に行って、ダンジョンを攻略すること」だ。

 

妹のあやめは、師匠みたいなハンサムな年上との結婚とか言っていたが……。

 

「おいおいハル!聞いたかよ?」

 

「何をだ?」

 

「来年の修学旅行の行き先が亜人国家になるかもって話だよ!」

 

「……そうなのか?」

 

「おう!数年後には亜人国家への渡航が自由化するらしいが、俺達は修学目的で一足お先に亜人国家に行けるって話だぜ!」

 

「なるほどな……」

 

それは楽しみだ。

 

そんな感じで馬鹿話をしていると……。

 

「そろそろチャイムが鳴りますよ、急ぎましょう」

 

「何?……シュン、早く言ってくれ!」

 

「聞かれませんでしたから」

 

 

 

なんとか間に合ったな。

 

一限は……、数学か。

 

孝太郎は普通科目の勉強はほぼしていないからそこそこ、俺はそれなりに勉強しているから結構上、俊輔は学年トップだ。

 

魔力覚醒していれば、下手に勉強をするより、魔力の使い方を学び地頭を良くする方が楽だと気がつく。

 

二限は国語、三限は物理、四限は基礎魔法学。

 

今日の午後は丸々魔法の実習だ。

 

うん……。

 

魔法を気兼ねなく使える異次元空間で、魔法を思い切りぶっ放すのは気持ちいいな!

 

こう言うと頭がおかしい奴扱いされかねないが、魔法もスポーツと一緒で、思い切り使うと気持ちいいのだ。

 

力に酔う?

 

師匠クラスの魔法使いを見て自分の力に酔うとか……。

 

そんなこんなで、魔法をぶっ放して気持ちよくなる。

 

放課後は……、部活だ。

 

この学校は部活も魔法関係が多い。

 

俺は攻撃魔法を学ぶ属性魔法研究会に、孝太郎は魔法剣を学ぶ剣術部に、俊輔は回復魔法を学ぶ魔法医学部に入っている。

 

妹?あいつは帰宅部だ。

 

そこで俺は、亜人の先生方に習いながら、魔法を研究する。

 

 

 

これが、俺の一日だ。

 

将来、三人でダンジョンを攻略するために、今は努力だな。

 




明日休みだー!

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