ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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休日だからってやることがある訳ではない。


93話 日本にズームアップ 前編

『亜人国家との国交成立から一年。日本はどのように変わったのか?日本はどれほど豊かになったのか?』

 

「「「「日本にズームアップ!」」」」

 

『ズームアップ日本は、トミタ自動車、マスダグループ、日本製薬、ご覧のスポンサーの提供で放送します』

 

「こんにちは、司会の梅田です」

 

「松山です。こちらは、ゲストの方々です」

 

ズームアップ日本。

 

お笑い芸人コンビ『喜ん部』の梅田と松山の司会により、世界のニュースを面白おかしく批評するテレビ番組である。

 

「「「「こんにちわ」」」」

 

「それでは、特別ゲストのご紹介を。女優の水瀬真帆さん、弁護士の熱海猛さんに来ていただいております!」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

「お二人は、勇者の同級生とのことで?」

 

梅田が問う。

 

「「はい」」

 

二人が答える。

 

「へえー、勇者さんは学生時代どんな感じでした?」

 

松山が問う。

 

「んー、まあ、偏屈でしたね。賢過ぎて周りの子から浮いてました」

 

「でも、凄い奴でしたよ。勇者になったってのも納得です」

 

二人がまたもや答える。

 

「具体的にどう凄かったんですか?」

 

「そうですねえ……、例えば、文化祭の時とか凄かったですよ。ねえ、たけちゃん?」

 

「あー、伝説の文化祭か?ありゃ凄かったな」

 

「いやいや、二人で納得されても!具体的に、どんな伝説を?」

 

「高校一年生、れいくん……、勇者さんが異世界に誘拐される前の頃の話ですね。文化祭があったんですよ。その時、れいくんは、周りの意見を封殺して、コスプレ喫茶を始めたんです」

 

「……普通では?」

 

水瀬は少し笑いながら言葉を続ける。

 

「ところが、れいくんは色々と本気だったんですよ。衣装の材料の手配、予算の配分、店員である生徒へのマナーの躾。全部片手間で、片手間なのにハイクオリティで……」

 

「おお、それで?」

 

「結果から言うと、文化祭の二日間で三百万円以上の純利益を上げました」

 

「どえぇーっ?!!!」

 

目を剥いて驚く松山。

 

「「「「ええーっ!」」」」

 

若干わざとらしい感じもあるが、他のゲスト達からも驚きの声が上がる。

 

「三百万円!こんなこと言っちゃアレですけど、たかが文化祭のコスプレ喫茶で?!」

 

「はい。実際の内容は、顔が良い生徒を使ったキャバクラ、ホストクラブみたいな感じでしたね」

 

「キャバクラ?!!!」

 

「そうなんですよねえ……」

 

「先生とか何も言わなかったんですか?!」

 

「れいくんは教員の弱みを握っていて、逆らった教員は……」

 

「うわー!怖いー!」

 

「でも、稼いだお金は、れいくんとクラスのみんなで食べ放題の焼肉で使った後、バイト代に一人十万円くらいもらえましたよ」

 

「はあぁーっ、とんでもないですね、勇者!」

 

「その他にも、地元の不良グループを丸ごと支配してたりもしましたね」

 

熱海が言った。

 

「喧嘩も強いんですか?!」

 

「強いですね、勇者になる前から、教育指導の柔道部の顧問の体育教師を素手でボコボコにしたり、ボクシング部の主将もボコボコにして、地元の珍走団もボコボコにして解散させて更生させたりもしてました」

 

「なんか……、最早、漫画の主人公みたいですね!」

 

「「いやいや、それはないですよ」」

 

「え?」

 

「「だってアイツ、性格悪いし……」」

 

「だっはっはっはっは!性格悪いんですか!」

 

「悪いですねー、まるで王様みたいに振る舞うんです」

 

「でも誰より賢くて強いから、誰も逆らえないんですよねえ」

 

 

 

「日本にズームアップ!それでは、本日のズームアップと行きましょう!議題はこちら!」

 

《亜人バブルについて》

 

亜人バブル……。

 

亜人国家との国交成立により、亜人国家と関わりのある国家にもたらされた経済の活性化である。

 

「はい!と言うことでね、亜人バブル!」

 

「どうですか皆さん?バブル……、って言うと僕が二十歳くらいの時かな?」

 

「いやあ、あの頃は凄かったですね、タクシーに万札渡すんですよ。今日日、タクシーの運転手なんて儲からないのに、あの頃はどんな仕事をしても儲かりました」

 

ゲストの老俳優が言った。

 

「そんなバブル景気が再来するかもしれないんですよね?専門家の芦田さん?」

 

《経済学者 芦田晋助》

 

「はい。バブル経済というのはそもそも……」

 

専門家が色々と言っているが……、分かりやすく言えば、「土地の値段や株価はどんどん上がるからみんな買え!」と言われた愚か者達が挙って土地や株にお金を出したから、市場にお金がたくさん出回ってみんな金持ちになったんだよ、みたいなことだ。

 

何故崩壊したか?

 

このように、人々が適正価格よりもずっと高い額で土地や株をやりとりしていたから、日銀が「それはおかしいぞ、やめようね」と言った。これが不動産融資総量規制というものだ。これにより、上がりに上がった不動産や株価は一気に下降した。これがバブルの崩壊だが……。

 

「しかし、今回のバブルは我々も分からないというのが本音です。何故なら、今のバブルは、世界の人々が『亜人の技術は儲かるから、それと関係しそうな日本の株をたくさん買おう』と言い始めているからです」

 

芦田が言った。

 

それに対して松山は。

 

「何故ですか?それも総量規制みたいに、株の値段を規制しちゃえば、バブルがはじけて終わりなんじゃないですか?」

 

と言った。

 

「松山さん、逆に聞きますが、これからどれだけ伸びるか全くの未知数、無限の可能性を秘めた亜人技術の価値ってどれくらいあると思いますか?」

 

「そんなの……、分かりませんよ」

 

「そう、誰にも分からないんですよ。亜人国家が、まあ、魔法という我々の科学とは違う方法ではあったとしても、完全なクローン動物、人の代替になる人工知能搭載ロボ、無限のエネルギーなどを実現しているんです。そう言ったものの価値は誰にも分からないんです。なので、規制のしようがないんですよ」

 

「なるほど……。じゃあ今は、株は買えば買うほど上がっちゃってる訳ですね?」

 

「そうでもありません」

 

と芦田。

 

「魔法技術のせいで、ガソリンやガス、電気は売れなくなりますし、既存の技術もいくらかは……。これから来ると言われていたAIなども、人と同じ知性を持ったロボットを出してくる亜人国家により低迷していますから」

 

「ええ?!でも、科学と魔法は違いますよね?!関係なくないですか?科学のAIと魔法のAIとでは!」

 

「経済的に見れば、亜人のロボット技術の方がはるかに低コストですからね……。亜人国家も、既存技術の発展の妨げになると自覚しているらしく、AI製品は高値で売っているそうですが……、それでも、いくら投資してもいつものになるか分からない科学AIより、完全な完成品のある魔法AIの方が良いと判断されてしまっている訳ですね」

 

「そうなんですか……」

 

 

 

「魔法技術により豊かになる日本!光と闇はあれど、どんどん先へと向かう!これから日本はどうなってしまうのか!日本にズームアップ!」

 

「一旦CMです!」

 




どうなんだろうか、これは面白いのか……?

次回で帰還勇者のストック終わりです。

次は傭兵かポストアポカリプスダンジョンか。

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