ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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しにたい。


100話 勧誘から逃げる

「タラの芽」

 

「ほえ?なんじゃと?」

 

春の午前。

 

カエデと飯を食いに行くことになった。

 

「タラの芽の天ぷらがな、ガキの頃は苦くて大嫌いだったんだが……、何でか、今は嫌いじゃないんだよ」

 

「ほうほう」

 

「と言う訳で今日の昼飯は天ぷらにしようぜ」

 

「おお、よいぞ!」

 

京都の老舗、朝霧屋。

 

そこで、天ぷらを注文すると……、春の山菜と京野菜、そして魚の美味しい天ぷらが。

 

これほどに上等な天ぷらだと、塩で食べたくなる。

 

素材の味ってやつかね?

 

タラの芽、苦いんだけど……。

 

「苦いが、美味いなあ」

 

「くふふふふ、大人になった証じゃろうて」

 

「かもな」

 

と、食事を楽しみ、京都見物をしていると……。

 

「あ、あのっ!鎧嶺二さんですね?!」

 

スーツの男が話しかけてきた。

 

俺のファン、って様子じゃないな。

 

何者だろうか?

 

「鎧嶺二さん、ダンジョン管理委員会の者なんですが……」

 

「ああ、はいはい、良いです」

 

「はっ、良いとは?」

 

「やらないんで帰ってくださる?」

 

「そんな!政府からの直接の命令で……!」

 

「大体にして誰だよてめーは。いきなり現れて好き勝手言ってんじゃねーぞ」

 

「も、申し訳ありません、私はダンジョン管理委員会の八木と申します」

 

「名前なんて聞いてねえよ。とにかく、オフの日に来るな」

 

「ではいつなら……」

 

「俺は未来永劫毎日がオフだ」

 

「そ、そんな」

 

「行くぞ、カエデ」

 

「はーいなのじゃ!」

 

「ま、待ってください……!ああっ!」

 

転移。

 

 

 

俺は未来永劫毎日がオフだから、料亭とか行っちゃう。

 

「……!!」

 

美味っ!!

 

「うーん、美味じゃのう」

 

「鯛めしマジで美味えな……、旬の真鯛はヤバい」

 

京料理だから味うっすいんだろうなー、なんて失礼なことを考えていたがとんでもない。

 

塩気でジャンキーにせずとも、素材の味を活かせば、過分な調味料なんて要らないんだと教えられたよ。

 

ふむ……、上品な、透き通るような味付け。

 

魚ってこんなに美味かったんだなあ。

 

鯛めし、これ、家でも食いたいな。

 

チラッとカエデの方を見る。

 

「む?ああ、味は覚えたぞ。帰ったら、また今度作ってやるわ」

 

「おー、ありがてえ」

 

 

 

そして帰宅。

 

久し振りに、民宿の様子を見に行く。

 

「おー、寒い寒い」

 

北海道はまだ雪が残っていて寒いな。

 

「メイド、民宿の様子はどうだ?」

 

と、担当メイドに尋ねると。

 

「良好でございます」

 

と返ってくる。

 

見たところ、客足は落ち着いてきたようだが……。

 

俺が台帳などを見ていると、メイドが解説してくる。

 

「魔法学校の設立により、魔法学の門が大衆に向けて開かれましたから、この民宿『勇者』に魔法目的で宿泊する人は減ったようです」

 

なるほどな。

 

「今は、価格に反して良好なサービスが話題となり、正しい意味で、民宿として評判を得ています」

 

そりゃ良かった。

 

んん?

 

「すいません、鎧嶺二さんですね?」

 

またスーツの男だ。

 

「ダンジョン管理委員会の村田です」

 

「ああ、もういい」

 

「しかしながら、こちらも仕事でして」

 

「いいから」

 

「しかし!」

 

「メイド!」

 

俺はメイドを呼び寄せる。

 

「はっ」

 

「営業妨害だ、つまみ出せ」

 

「了解致しました」

 

「うわっ、ちょっ、ああー!!!」

 

 

 

ダンジョン管理委員会の勧誘を避けながら一、二ヶ月。

 

春の終わり頃に……。

 

「お、ついに来たか」

 

『亜人国家への立ち入り許可』が発令された。

 

これで、あらかじめ亜人国家との繋ぎを作っておいた賢明な旅行会社は、早速、「夏休みは亜人国家へ行こう!」キャンペーンを打ち出した。

 

これまた、三秒で予約は埋まった。

 

しかし、またもや、賢明な旅行会社は、予約が埋まることを見越して、追加枠を作っておいたのだ。

 

最近は日本に亜人が出入りする関係からか、中国人観光客が減少している。

 

故に、その中国人観光客向けのクルーザーを何台か、亜人国家への観光旅行船として回したのだ。

 

今の日本はバブル期で、低所得層も贅沢をする。

 

それなりの所得があれば、みんな亜人国家への旅行やら新車の購入やらをする。

 

国民全体の購買意欲が非常に高い状態だ。

 

そんな状態だからか、追加枠も速攻で埋まった。

 

今はキャンセル待ちだそうだ。

 

旅行会社も大いに儲かっている。

 

今はかなりの円高だからな。

 

亜人国家はそういうの関係なしに日本に来るが、他の外国人観光客はかなり減った。

 

お陰で、綺麗な海や自然が、マナーの悪い外国人観光客に汚されなくて嬉しいとの声が上がっている。

 

亜人観光客はかなりマナーが良いそうだ。それこそ、日本人並に。

 

まあ、円高だから、安く海外旅行に行けるし、バブル景気だから、高くても亜人国家を一目見ようって人が多いそうだ。

 

日本のバブルに釣られて、アメリカや、一部のヨーロッパもそれなりの景気回復を見せているし……、エジプトなんてもう、アフリカで一番の好景気だ。

 

とにかく、親亜人国家の景気が良い。

 

今年の夏休みは、親亜人国家の人間が亜人国家になだれ込む結果になるだろう。

 

『亜人国家一ヶ月ツアー!五十万円から!ツアーガイドの旅ビート!』

 

『ベスティエ旅行二十八万円!!』

 

『今年の夏は亜人国家へ行こう!』

 

とまあ、そんな感じだった。

 

とにかく、今年の夏は浮かれポンチ共が亜人国家へなだれ込む。

 

その隙に俺は嫁と国内旅行するわ。

 




あーーーーー!

書き溜めがないよー!!!

一応次はポストアポカリプスダンジョンになります。

ゼロ、教えてくれ、俺は次何を書けばいい?

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