ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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拙者、不健康なデブでござる!ニンニン!


105話 ダンジョン法可決

ダンジョン管理委員会の官僚の坂田。

 

もう一つの提案とは……?

 

「もう一つの話とは……、日本に武器を売って欲しいのです」

 

「武器?」

 

はあ、武器か。

 

……ああ、そう言うことか。

 

「刀の製作日数は全日本刀匠会の規定で、『刃渡60cm以上の刀は15日以上、刃渡60cm未満の刀は10日以上かけて製作せねばならず、重複は認められない』と言うことになっています」

 

「ええ、知っています。つまり、月に二本、丁寧に作ればもっと少ない数しか生産できないんですね?」

 

「はい、加えて、日本では今、刀剣の製作をする鍛治師などは殆ど存在しませんから……」

 

ふーむ。

 

「銃刀法とかはどうなりますか?確か、『何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない』、ですよね?」

 

「はい、その件につきましては、業務のための携行とみなされます。もちろん、布に包み、専用のケースに入れた状態での携行を義務付けます」

 

なるほど。

 

「刀剣の所持ならば、まあ、なんとか規制が緩和できる見通しです」

 

「そう上手くいきますかね?刀剣でも、危険性で言えば、銃をはるかに凌ぐほどの物が存在しますが」

 

「は……?それは、どう言う……?」

 

「そうですね……、よく販売されているタイプのものでは、剣先から魔力エネルギーの熱線が出るものや、質量を持った風を飛ばして遠距離にあるものを斬りつけるものなどがあります」

 

「そ、そんなものが存在するのですか?!で、では……、そうですね、そう言った、遠隔攻撃が可能なものは規制対象に……」

 

「ですが、それくらいのものを持たねば、ダンジョンでは簡単に死にますよ?値段を上げて、登録制にすればよろしいのでは?」

 

「そう仰られるのは当然かと思いますが、我々、官僚組織や役所は、新たに増えた魔法関係のトラブルや法案でパンク寸前なのです……。これ以上新しい登録システムなどを作っても、正直、上手く回ってくれるかどうか……」

 

「うーん、そうですね、では、軍務関係の官僚をこちらにお呼びして、『特別に殺傷力の高い武装』を販売前にお見せして、武装の登録については、ダンジョン管理委員会の仕事と言うことで」

 

「で、では……?」

 

「はい、結論から言いますと、我が社としては武器の販売を前向きに検討したいと思います」

 

「本当ですか?!」

 

「ですが」

 

俺はしっかりと前置きをする。

 

「亜人国家の武器は、ものにもよりますが高性能です。それを使って犯罪行為などが発生しても、我々は一切責任と取りかねます。そこは理解していただきたい」

 

「もちろんです……、それはもう」

 

 

 

そんな訳で、話はまとまった。

 

内容は、『ダンジョン攻略者の魔力覚醒処置』と、『亜人国家製武具の輸出』の二つだ。

 

それは即ち、死人を、『スペックを上げることで減らす』ことと、『装備の質を上げることで減らす』の二点になる。

 

まあ俺も、人間とかクソだなーとは思っているが、それでも、だからと言ってみんな死ねばいいとまでは思っていない。

 

死人は減らせるなら減らした方が良いだろう。

 

あ、そうそう、法案の方は結局、官僚の方で作るそうだ。

 

民権党の通そうとした法案はまさにトンデモ法案だったから、同じような内容だが色々と調整した法案を、官僚側から通そうって寸法らしい。

 

と言う訳で、俺は即座にデモンズネストの魔法武具を作った。

 

亜人国家本国が外国とやり取りするのは、薬品や、もっと大きな兵器、亜人国家の資源や生産品になる。

 

つまり、うちと亜人国家の仕事はあまり被らない。

 

薬、ペット、資源、食品などを亜人国家が担当して、服、武具、アクセサリー、その他雑貨などをうちの会社で担当する訳だな。

 

しかし、亜人国家の出資は受け付けている。

 

寄付という形でだが、大層な額の金をもらっているぞ。

 

実質的なフロント企業だな。

 

業務提携もしてるし、亜人国家製品の小売もやっている。

 

さて、ダンジョン攻略法案が通る前に、準備段階の法案として、『魔法武具輸入法案』と、『魔法薬輸入法案』が可決された。

 

これはそのまま、魔法的な武具の輸入に関する取り決めと、ポーションや薬草に関する取り決めだ。

 

この法案により、亜人国家の製品が更に流れる。

 

ま、俺は儲かるから構わないんだけどね。

 

四月中に急ピッチで輸入された武具や薬品に等級を定め、初期ロットの販売体制に入った。

 

 

 

五月二日。

 

ついに、ダンジョンへの侵入を許可される『ダンジョン法』の成立……。

 

しかし、初期のダンジョン法では、ダンジョンに入れるのは自衛隊と、魔法学校の卒業者のみ。

 

当初、これに国民は大反発したが、国は、『自衛隊の精鋭部隊が、魔法大の力を借りて、ダンジョンのマッピングや調査をしてから、一般開放する』と宣言して、ある程度国民を鎮火させた。

 

今、自衛隊にいる、魔法高校卒から防衛大に入ったような魔法使いの自衛隊員と、レンジャー部隊などの精鋭の自衛隊員、それと、魔法大を卒業して亜人国家でダンジョン攻略をして過ごしている人間を呼び出せば、ある程度はダンジョンが攻略できるだろう。

 

 

 

そして、五月三日。

 

魔法大学の協力の下、自衛隊特殊作戦群やレンジャー徽章持ちに対する魔力覚醒処置が行われる。

 

俺が今まで収集したデータによると、素の身体能力、精神力が強ければ強いほど、魔力覚醒時の能力の向上倍率も高いと出ている。

 

ああ……、それと、因みに言っておくが、魔力覚醒して身体能力が二倍になった!とかって言うのは、直接筋肉が増えたりとかではない。

 

およそ二倍の倍率まで身体能力が、魔力という外骨格に底上げされた、ということだ。

 

だがまあ、魔力覚醒すると、魔力の量に応じて、身体能力や精神が全盛期に近づくから、若返って筋肉が増えることはあると言えばあるかもな。

 

そして、強化の倍率は、素の身体能力、精神力に左右されるから、平均して、日本人なら、1.5倍ほど。

 

軽く訓練をすれば更に三倍ほどまでに伸びる。

 

訓練を続けている魔法大の生徒は、実に三十倍の倍率を記録した者もいるらしい。三十倍とは、亜人を含めても上の方だ。

 

では、日本の誇る自衛隊員の強化倍率はいかほどか?

 

なんと、強化倍率は、初期状態で三倍を超えた!

 

これは驚きだな。

 

訓練次第では、五、六倍の出力は出るだろう。

 

そして、自衛隊精鋭部隊に、初期ロットの武器を選ばせる……。

 

 

 




実際どうなんでしょうね?

この世界では、野党と愚民の声により、ダンジョン法は可決されましたが、現実世界でダンジョンができたらどうなるんでしょう?

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