ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ラブのないラブコメ書きたいなー。


106話 ダンジョン法と武具

ダンジョン法の成立……。

 

それに伴い、武具や薬品の輸入も許可された。

 

今日、五月四日から、自衛隊精鋭部隊と現役の魔法大卒ダンジョン攻略者に、『phantasia』製の武装を配布し、その操作の習熟のための緊急訓練を行うこととなった。

 

我々、『phantasia』からお送りする武具の初期ロット第一弾は、ヴェスタ鋼製の武具だ。

 

ヴェスタ鋼……。

 

ベスティエに存在するヴェスタ山から始めに発見された金属で、極めて堅牢でそこそこ軽く、耐腐食性も高く、そして何より熱に強い性質を持つ。

 

例えば、このヴェスタ鋼で厚さ1センチの鉄板を作れば、表に溶岩を垂らしても、裏側は冷たいままと言う、極めて優れた耐熱性を持つ金属なのだ。

 

その耐熱性から、金属加工の道具として使われたり、耐火服や宇宙服の材料の一つになったりしている。

 

しかし、今回注目したのはその丈夫さだ。

 

もちろん、ダンジョンには、報告によると、火を吹くようなモンスターもいるらしいから耐熱性にも注目しているが、今回見たのはその堅牢さ。

 

特別なエンチャントをせずとも、地球上のどんな金属よりもはるかに丈夫である、と言うところが都合が良かった。

 

亜人国家でも、遠い昔はこのヴェスタ鋼で武器を作っていたらしい。鉄器を使う民族に対して、ヴェスタ鋼を使う民族が侵略し、蹂躙したという記録がある。

 

厚さが一ミリもあれば、大口径の狩猟用ライフル弾でも傷一つつかない。

 

RPGで例えるなら『はがねのつるぎ』ってところか。

 

このヴェスタ鋼製の武具を初期ロットとする。

 

そして、ファイアライト鉱石、アクアライト鉱石、ウィンドライト鉱石、アースライト鉱石をそれぞれ使った魔導具。

 

それぞれが、魔力を流すと激しく、火、水、風、土の力を発生させる金属だ。

 

これを使って魔剣を作る。

 

魔剣は、『魔法武具輸入法案』における、『特記魔法道具類』に指定される道具で、銃器以上に取り扱いに注意されることになっている。

 

猟銃と同じように所有するには許可が必要で、許可がないものは触った時点で違法。

 

年に一回、正しく管理されているか検査される。

 

所持する前に素行調査もされる。

 

まあ、とにかく、そんな感じで四属性の魔導具を販売することになった。

 

 

 

ここは、矢臼別演習場。

 

北海道最大の演習場だ。

 

今日はここで、自衛隊精鋭部隊と魔法大卒ダンジョン攻略者を集めて、武具の説明をしている。

 

「……と言う訳です。ご質問は?」

 

俺は、さっきの通りに説明をした。

 

すると、自衛隊精鋭部隊から手が上がる。

 

「自衛隊、特殊作戦群の荒巻国綱です。そのヴェスタ鋼製の武具が優れていることは理解しましたが、わざわざ肉弾武器を使わなければならないのでしょうか。必要性がなければ、我々は銃器を扱うつもりです」

 

ふむ……。

 

「オイ、市川」

 

「は、はいっ?!」

 

弟子の、魔法大卒ダンジョン攻略者、市川に声をかける。

 

「市川、特戦群の荒巻さんはこう仰っているが、この発言についてどう思う?」

 

「はい、問題あり、ですね」

 

自衛隊の荒巻がピクリと反応する。

 

「どう問題があるのか、前に出て説明してみろ」

 

「はい!」

 

市川を前に連れてくる。

 

「何故、ダンジョンで銃が役に立たないのか、理由は二つあります」

 

市川は、一度言葉を切って、再び声を出す。

 

「まず第一に、補給線の問題です。銃弾のような重いものを、長いダンジョンの道に運び込むことはできません。『銃弾は重くて嵩張る』んです。また、ダンジョン内にいる限り、一部の安全地帯以外では、モンスターを倒したところでも、モンスターが再発生します。補給線が伸びれば、そこを叩かれますね」

 

市川は、もう一度口を開く。

 

「第二に、銃弾程度ではモンスターに有効打を与えられません。『対人用の銃器では火力不足』です」

 

ついでに、市川は更に口を開く。

 

「例えば、大体、十階層ほどになると、オークと言うモンスターが現れ始めます。オークです、ご存知ですか?」

 

「ええと……、ドラゴンクレストの、巨体の武器を持った人型のイノシシのようなモンスターですか?」

 

自衛隊の荒巻が言った。

 

「ええ、そうです。そのオークは、人間の男の1.5倍ほどの体格に、相撲取り並みの贅肉とプロレスラー並みの筋肉を蓄え、熊並みの骨格を持ちます」

 

「成る程……、となると、アサルトライフルの弾丸を受けても、止まらずに突っ込んでくる訳ですね?」

 

「ええ、そうです。よしんば倒せたとしても、大量の弾丸を浪費する羽目になるでしょう」

 

「ならば、対戦車砲を持ち込めば」

 

「オークごときに対戦車砲なんて使ってれば、こちらが干上がりますよ。オークはいわば、ザコモンスターですからね?たくさん出るんですよ」

 

更に言葉を続ける市川。

 

「それだけではなく、レイスやゴーストなど、単純に物理攻撃が効かないモンスターもいます。以上の点から、銃器は無意味と言えます」

 

と、市川は言い切った。

 

「偉いぞ市川、パーフェクトだ。ご理解いただけましたか、自衛隊の荒巻さん?」

 

「いえ、その……、俄かには信じがたく……」

 

「ではこうしましょう、とりあえず外へ行きますよ」

 

 

 

自衛隊員を外まで連れて行き、銃器を持たせる。

 

「こちらに、オークの群れを用意しました」

 

「う、うわあ!き、危険はないのですか?!」

 

「肉体を操作する魔法で操っているので、問題はありません。さて、では、早速実戦形式で戦ってみましょうか。ああ、ちゃんと、オークには殺さないように指示していますから、安心してくださいね」

 

「……分かりました」

 

自衛隊員達は、アサルトライフルを持つ。

 

100m離れた地点からスタートだ。

 

自衛隊員もオークも十人ずつ。

 

「では、始め!」

 

『『『『ブモオオオオオッ!!!!』』』』

 

「撃て!」

 

自衛隊員達は、アサルトライフルを撃つが、十匹いるオークのうち、後方の他のオークを盾にしていた二体が弾幕を突破して、リロード中の自衛隊員を弾き飛ばした!

 

「ぐわっ!!」

 

弾き飛ばされた自衛隊員は、軽く吹っ飛ばされて銃を取り落とした。

 

「はい、そこまで!これがダンジョンなら、吹っ飛ばされた貴方は死んでますね。ダンジョンでのオークは武器を持ってますよ?」

 

「ぐっ……!」

 

悔しそうな顔をする自衛隊員達。

 

「と、このように、銃器はダンジョンでは役に立ちません。いえ、正確には、役に立つ場面が少ない、ですかね?」

 

「で、では、魔法的な物質を使って銃器を作れば……」

 

「それなんですがねえ、亜人国家には、銃という武器がないんですよ」

 

「は……?」

 

自衛隊員が唖然とする。

 

「そもそも、亜人国家の兵士は、銃で狙いがつけられないくらいの速さで動きますし、魔剣は射程も威力も銃器より上です。わざわざ、火薬を詰めた筒から礫を飛ばす……、みたいな、非効率で威力が弱い武器を作る必要がなかった訳ですね」

 

「なんと……」

 

「まあほら、その証拠に、この風の魔剣を見てくださいよ」

 

緑色の刀身の、風属性の魔剣を見せる。

 

そして、百メートル離れた位置にいるオークに魔剣を振り抜く!

 

『ブヒャ』

 

すると、質量を持った緑の風の刃に斬り裂かれたオークは、真っ二つになった!

 

「「「「お、おお……!」」」」

 

「と、まあ、このように、亜人は銃を持たないのです」

 

「なるほど……」

 

荒巻が納得したように頷いた。

 

「ですが現在、一応ですが、魔法素材による銃器の試作品もありますので、そちらをお持ちしました」

 

「「「「おお……!」」」」

 

「ただ、こちらの魔法銃は燃費が悪いです。ご自身の体力気力を弾丸に変えて撃ち出すとお思いください。正直、これを使うくらいなら、格闘武器を持って身体を魔力で強化しての肉弾戦や、魔剣の遠距離攻撃の方が燃費が良いです」

 

「「「「はあ……」」」」

 

「まあ、細かいことはここまでとして、とりあえず、十階層の見習いの壁『オーク』と、二十階層初心者の壁『ゴーレム』を標的としてお持ちしましたので、自由に使ってください」

 

「「「「ありがとうございます」」」」

 

さて、どうなるかな……?

 




早く愛のないハーレム作りたい。

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