俺達の陣営……、ワンダーランド陣営は、三大勢力にも、他の神話体系にも属さない、傭兵みたいなもんよ。
そこら中から金をもらって、兵隊を送り出すのが俺達のやり方よ。
この前も、堕天使から神器使いを消せと指令が出たので、そいつを殺したことにして秘密裏に回収、洗脳。兵隊に。
その前は、天使から異端者を殺せと命じられて殺して回ったりとか。
悪魔からはぐれ悪魔を殺せって依頼もあるなあ。
そう言う依頼を受けて、世界中を飛び回るのが仕事だ。
世界を股にかけるビジネスマンだぜオイ!俺達カッコイー!!!
だがだがだがだが〜?
実はうちの組織、金があんまりない。
えー?そんな超技術があって何で稼げないのオ?と聞かれるかもだが、これには理由があるのよ。
まずさ、実験って金がかかるんだよな。
次に、稼ぐ手段があんまりねえってこと。
まあ、順に話そうか。
実験について。
相棒と、そのペットのアリスたん、その他研究者共は、なんか、こう、よく分からねえが研究をしている。
いや、ホント、俺には理解できねえけど、なんか、こう、知らんけど、人の身体弄くり回して実験してるっぽい。
遺伝子?とか、工学?とか。
その実験材料とか、施設とか、賄賂とかで大分余裕がないのよね。
それと、稼ぐ手段があんまりないってこと。
一応、研究成果を売り捌いてはいるんだけども、うちの技術力は現代の千年も二千年も先を行く訳で。
簡単に売れるもんでもねーのよ。
まあ、一応、簡単な兵器と医療品を売り捌いてはいるけどな、それでも、まあまあ黒字って感じなんだよね。
人員と技術はあっても金がねー。
三大勢力様みてえに、人間に寄生して金を吸い上げられたらどんだけ楽か。
と、言う訳で、うちの陣営は、皆がそれぞれ、自分の生活費は自分で稼いでいる。
え?じゃあ、組織に入る恩恵はないじゃーんって?
いやいや、違うね。
あるんだよ、恩恵。
まず、肉体の強化。
銃弾を防ぎ、機銃を避けて、新幹線より速く、鋼鉄を捻じ曲げ、疲れを知らず、暑さにも寒さにも耐え、毒や魔術にも耐性がある、完全な肉体を手にすることができる。
研究による性能のアップデート、個人の趣向によってカスタマイズも可能だぜ。
そして、兵隊の貸し出し。
モデュレイテッドARMS持ちの、命令に絶対服従する兵隊を貸してやる。
中には、元はぐれ悪魔や元堕天使、元天使であったりとか、神器持ちなんて兵隊もいる。
それと、仕事の斡旋。
個人個人に向いている仕事を探して、斡旋してくれる。
戦闘向きとか拷問とか技術関係とか、それぞれの分野ごとに仕事を貰える。
まー、俺っちの仕事は専ら殺しだから、他の奴らのことは知らねえなあ。
じゃあ逆に、俺達は何をやらなきゃならないのか?
取り敢えずは、斡旋された仕事をこなすこと。有事の際に相棒の指示を聞くこと。
仕事で得た資金の一部を上納すること。
戦闘、研究データを公開すること。
その三つだ。
俺も、前回の戦闘データを提出したぜ。
無能姫の滅びの魔力とやらのデータが割と評価されて、ボーナス貰えた。やったぜ。
さて、それで、ここはワンダーランド陣営の本部だ。
場所は明記しないが、アメリカの山奥にある。
他にも、各国に、セーフハウスやら支部やらがあるけど。
今日は定例会議で、幹部が勢揃いだ。
まずは、ボス……、相棒。
キース・クリムゾン。
金髪を逆立てた切れ目で三白眼の、悪のカリスマと言った風貌の男。背も高め。
ワンダーランド陣営のボスだ。
頭が良く戦っても強え。
肉体改造によって、その気になればドラゴンを殴り殺せるくらいの身体能力と、魔王クラスの魔力炉心、四大天使クラスの光力生成装置、邪仙のアドバイスによって実現した神通力発生装置に、気の循環回路なんてもんをガン積みしてる。
その上、上位神滅具を超えるレベルのオリジナルARMS、ジャバヴォックを中心に、あらゆるARMSを保有している。
相棒は、あらゆるARMSの原典。つまり、相棒さえいれば、いくらでも手駒は増やせるってことよ。
そう……、ARMSってのは何か?
……実は俺もよく分かってない。
けど、ナノマシンで生成される武器だと聞く。AIも搭載されているそうだ。
そして、ジャバヴォックは、右腕の手甲。次元を切り裂く鋭利な爪と、圧縮空気や電磁投射による砲撃、そして、炎を自在に操る能力がある。
奥の手の反物質砲は、二割の出力で、あのグレードレッドの片腕を吹っ飛ばした。
因みに、最大出力でぶっ放すと太陽を消し飛ばせるそうだ。
ヤバ過ぎる。ジャンプ主人公かよ。
でも、何がヤバいって、全ARMSが使えることだよな。
基本はジャバヴォックしか使わないけど、その気になれば全ARMSを総動員できるんだよ、一人で。
まあ、まともな生命体なら勝てないわ。
次、相棒のペットのアリスたん。
ウェーブがかかったブロンドの髪に青い綺麗な瞳の女の子。可愛いよねぇ。相棒のものだから手は出せねえけど。
相棒の趣味で可愛い格好をさせられてるのをよく見かけるが、基本的には白衣の美少女だ。
アリスたんは、うちの研究者の筆頭、稼ぎ頭よォ。戦っても強えけどな。
役割はまあ、ワンダーランドのサブリーダーよ。
所有するARMSは、冷気を操るバンダースナッチ。
アリスたんは、相棒のバックアップみたいなもんだから、全ARMSを使うこともできるそうだ。
あとは、料理が上手い。
相棒の愛人だ。
遺伝子工学やらなんやらで作られたとは聞くが……、詳しくは分からん。
そして俺。
フリード・セルゼン。
シグルド機関で生み出された試験管ベイビー。
白髪の三白眼の可愛らしぃおぼっちゃまでござんす。
相棒とは、生まれた時くらいからずっと一緒だな。
オリジナルARMSのナイトを所持。ナイトは、ARMS中でも最も硬い。そして、万物を貫く槍もある。
役割は主に、皆殺し!
……それと、腐れ縁の妹。
リント・セルゼン。
いやぁ、こいつはなあ。
オリジナルARMSのホワイトラビットを移植されてんだが……。
まだまだなまっちょろいな。
そんで、よく相棒に尻尾振ってるな。
こいつも相棒と子供の頃から一緒で、相棒に惚れ込んでいるらしい。
まあ、俺も女だったら、相棒に抱かれてるのは想像に難くないからなぁ。
ってかこいつ何やってんだ?
役割が分からん。
そして、こっちは黒歌。
猫の妖怪で、SSランクはぐれ悪魔だ。
まあ、それなりに使えるだろうってことで、相棒が調教した。
妹がどうこうとか騒いでたが、相棒に犯されまくったらどうでもよくなったらしい。
過去は捨てたとよ。
ってか、本人としては、命を賭して守った妹がクソ悪魔に成り下がっているのを見て相当イラついたそうだ。
しかも、そのクソ悪魔の話を鵜呑みにして、ずっと守っていてくれた姉貴を悪者扱いしたら、そりゃ、肉親でも愛想が尽きるわなぁ。
オリジナルARMSのクイーンオブハートを所持。
クイーンオブハートは、色んな意味で目が良くなるARMSだ。
だから、こいつの役割は偵察や潜入だな。
次からは、アドバンストARMSを与えられた奴らの紹介と行くか。
ああ、アドバンストARMSってのはオリジナルARMSより使いやすいように調整されたARMSらしい。
それでも、神滅具並の戦力はあるね。
まずこいつ。
イーグル・D・レッドマン。
ベトコン帰りのステイツの元軍人様だとよ。
ムキムキで髭面の巨漢だ。迷彩服が良く似合う。茶髪を短く刈りそろえていて、葉巻を咥え、彫刻みてえな厳しい面構えだ。
三度の飯より殺しが好きで、ベトナムや湾岸戦争で山ほど人殺しを楽しんだんだと。
その後は、戦場の匂いが忘れられず、テロやら紛争やらに手出しした最悪の兵士。
しかし、寄る年波には勝てずに、動かなくなっていく身体を悔やんでいた……。
そこに、相棒が手を差し伸べた。
爺さんだったイーグルのおっさんは、ナノマシンの効果で若返り、常に、全盛期である三十代をキープできるように。
それに大層喜んだイーグルのおっさんは、相棒に忠誠を誓ったのさ。
主な役割は破壊工作と殺戮。
所持しているARMSはグリフォン。超音波を自在に操る。
次に、日本人のサムライ男。
着流しに日本刀、ざっくばらんに切り揃えられた黒髪。そして鋭い眼光。日本人らしくそこまでデカくはねえが、オーラが違う。
こいつは、柳生碧。
若干17歳にして、裏柳生と呼ばれる剣術を極めた剣豪だ。
しかし、こいつはまともじゃなかった。
人を斬ってみたくなっちまったんだ。
刀を片手にそこら中で辻斬りをやって、自分の剣術道場の門下生と師範を皆殺しにして、逃走。
そして、日本各地の剣術の達人に勝負を挑み、その全てを斬殺。
そうして、殺しまくっているうちに、相棒の目にとまった、って訳だ。
自分の剣がどこまで通用するのか見たいっつう戦闘狂で、人を斬る感触が気持ちがいいと抜かす殺人鬼だ。
こいつも戦闘役。暗殺もやる。
所有するARMSはチェシャキャット。空間操作。
そして次に、こっちの白髪のチャイニーズ女。
琳紫露……、発音が分かんねえんだけど、リン・ジルだかズールー?に近いらしいから、ジルって呼んでる。
この白髪でモデル体型の紫のチャイナ服の女は、その種族が邪仙なんだと。
邪仙ってのは悪い仙人のこと、らしい。
中国の各地で悪事という悪事をやりまくった紫露は、相棒を破滅させようと近付いてきた。
しかし、そこは相棒。暴力と調教で完全に屈服させたんだとさ。
それ以降は相棒にベタ惚れで、事あるごとにくっついていく。
ライバルは黒歌だそうだ。
役割は潜入と籠絡。あと拷問。
所有するARMSはマーチヘア。ナノマシンを散布し、光の反射を操作して姿を消したり虚像を出したりする。光を集めてレーザーも撃てる。
次に、レナード・シルバー。
イギリス人。
赤毛でキリッとした表情のハンサム男。黒スーツが良く似合う。俳優ですっつっても納得の色男だ。
こいつはいわゆる、青年実業家って奴だ。
飛び級で大学を卒業したらしく、天才的な頭脳で株やFXなどで儲けている。
こいつはあんまりにも天才的過ぎて、世界の裏側で暗躍する三大勢力どころか、さらにその影にいる俺達ワンダーランド陣営にまで気付いてしまった。
そして、好奇心の赴くまま、ワンダーランド陣営に仲間入り、と。
役割は戦闘と集金、会計だ。
所有するARMSは、マッドハッター。電気を操り、荷電粒子砲を撃つことすら可能だ。
最後に、ミハイル・シーニー。
金髪が混じる黒髪をだらしなく伸ばしている。細身で眼鏡。ダウナー系の雰囲気のひょろ長い、研究者風の白衣を着た男だ。
こいつはロシアのマッドサイエンティストで、あまりにも人道に反した実験から、学会を追われ、逮捕されそうな時に、たまたま相棒の目にとまったんだと。
所有するARMSはドーマウス。針をミサイルのように飛ばして爆破できる。
役割は研究。戦闘もできなくはないが。
……以上が、うちの幹部だ。
幹部同士はこうして定期的に顔を合わせるし、大体、全員がヤバいレベルの気狂いだから、なんだか通じ合う部分があって仲はいい。
「さて、会議を始めよう」
「「「「はい」」」」
さて……、退屈な会議が始まる訳だけど。
……寝よ。
増えたオリキャラ。
次からは転生、フリードや仲間との出会いについて書いていきたい。