ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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どうぶつの森で、弟が母の島にブサイクな動物呼びまくって島中がブタやサイで埋まったと聞いた時は草が生えたな。


117話 自衛隊と魔導師 その4

「で、具体的に何ができるんだ?」

 

「僕はオーレス式には詳しくないので、あくまで伝聞ですが……、オーレス式はこちらの山岡が使っているようなルーン魔法に近しい系統で、オーレス文字に対応する現象を、オーレス文字を読むだけで起こせるという、非常に簡単な魔法だとか」

 

「ふむ」

 

「例えば、ええと、どうだったかな……、そうだ!『ピュール』!」

 

「おおっ」

 

市川の指先にライターほどの火が灯る。

 

「こんな感じですかね」

 

「それだけか?」

 

「あとは……、えーと……、ちょっと待ってくださいね、参考書読みます。于時、日神聞之曰、頃者人雖多請、未有若此言之麗美者也。乃細開磐戸而窺之。開け、『亜空門』」

 

空間がずれて、暗い亜空間から本が落ちてくる。

 

天岩戸を開く日神を謳う術式により、亜空間に仕舞ってあるものを出し入れする魔法だ。

 

「うお」

 

織田は驚いたが、まあ、さっきの大魔法よりはマシだ。

 

ペラペラと参考書を流し読みした市川は、オーレス式を軽く使って見せる。

 

「さっきの『ピュール』は火種を得る魔法ですね。次はこれ、『ヒュドール』」

 

市川の目の前に一リットル程度の水球が現れた。

 

「これは、水分補給のための水を出す魔法です」

 

「ほう……、良いな!」

 

織田は感心した。

 

飲み水をどこでも自給できると言うのは、あまりにも便利だからだ。

 

一見、水はどこにでもありそうに思えるのだが、川や池の水などは実は、衛生的には飲むべきではない。

 

人が安全に飲める水、というのは自然界には意外と少ないものだ。

 

そして、重く嵩張る水は、しかし、なければ生きられない。

 

どこでも水を確保できるというのは、補給面で画期的な変化をもたらすであろう。

 

「次は、『アンドレイアー』……、これは、身体能力を十倍にする魔法ですね。ただし、この魔法を使っている最中は、他の魔法が使えません」

 

「ますます良い!」

 

山岡のあの超越的な肉体強化までとは言わないが、身体能力が十倍ならば、人間にはまず負けない。

 

自衛隊の重大な任務の一つである災害救助などにも大きく活躍するだろう。

 

「あとは……、『ハルス』」

 

市川の手のひらに、白く四角い塊が現れた。

 

「そりゃ何だ?」

 

「塩です。人体に欠かせない塩を3gくらい生む魔法ですね」

 

「おおっ、最高だ!」

 

自衛隊も、塩タブレットのようなものを所持しており、発汗が激しい夏場などに、ミネラル不足を防ぐために使う。

 

戦場であれば汗を掻く。その時に、水と、さらに塩分も補給できるのは嬉しい。

 

「次は、『アーエール』……、この魔法を唱えている限り、自分に高濃度の酸素を補給され続けます」

 

「水中でもか?」

 

「はい」

 

「ほほう……、こりゃ海自でも使えるな」

 

それだけではなく、高岳地帯でも使えるだろう。

 

「それに……、『ブロンテー』」

 

市川の手のひらがスパークする。

 

「電気か!」

 

「手のひらを帯電させる魔法で、スタンガン的な使い方や、最悪の場合は味方兵への心臓の電気ショックにも使われたそうです」

 

「ほう、そりゃ良いな」

 

言わずもがな有用だ。

 

「次は……、『ヒュプヌーン』ですね。ちょっと誰か来てください」

 

「おい、お前、行け」

 

織田がその辺にいる自衛官を市川の前に立たせる。

 

「行きますよ、『ヒュプヌーン』」

 

「はひ?ふにゃ……」

 

頭に触れられた自衛官はその場で倒れる。

 

「何やった?!」

 

織田が言った。

 

「これは麻酔をかける魔法です。一、二時間くらい、手術されても起きません」

 

「本当か?おらっ!起きろっ!おらっ!……本当だ、起きねえ!」

 

「そしてこれが……、無理やり起こす魔法です。『アフィプニスィ』」

 

「……はっ?!わ、私は何を?!」

 

「おおお……!こりゃ良いな!医薬品が切れた時なんかに使えるぜ!」

 

前線では、医薬品が切れることもあるだろう。

 

そんな中、麻酔の代わりになる魔法があるのは助かる。

 

「同じようなのに、『アポスティロシ』という魔法があります。これは、毒やウイルス、細菌を除去する液を出す魔法です」

 

「消毒か、人体に無害なのか?」

 

「無害です」

 

「ふむふむ……」

 

「そして、さっきの『ヒュプヌーン』で昏睡している間に手術して、回復魔法である『セラペヴォ』で治療します」

 

「回復魔法ったって、どこまで治せるんだ?」

 

「切り傷や打撲、骨折までですかね。『ヒュプヌーン』で昏睡させて、『ヒュドール』で傷口を洗い、『アポスティロシ』で消毒し、臓器に刺さった骨や刃物などを除去してから、『セラペヴォ』をかける形です。即座に傷がふさがる縫合、と考えて良いと思います」

 

「ほうほう……、使い道は多いなァ?!」

 

兵士にとって、負傷兵をどうするかというのは命題だ。

 

小さな傷からでも、感染症などで死に至るケースも多い。

 

即座に傷を塞げるのはあまりにも魅力的だった。

 

「次はこれですね、『スカロプス』」

 

市川の手が光ったのちに、市川は地面に触れる。

 

すると、市川が触れた部分の土の塊が抉れて、ふわりと浮いた。

 

そして、浮いた土を塹壕のように設置していく市川。

 

「これスゲーな!掩体掘削機要らねーじゃん!」

 

スコップを振り回すよりもはるかに短い時間で塹壕を掘れた。

 

陣地の形成には常に頭を悩まされるのだが、この魔法さえあれば解決だ。

 

「コンクリートや岩盤も掘れますよ。瓦礫とかも、大きな塊のまま持ち上げたりできます」

 

「良いね、最高」

 

災害救助でどれほど役に立つことやら。

 

「次は『チャーティス』ですね。目に見える範囲の危険物、生物が強調されます」

 

「強調?」

 

「敵意を持つものや危険物は赤く、足跡などの痕跡は金色、その他の生き物は白く見えます」

 

「ほう……、便利だな」

 

「そして、『クリマティズモス』は、半径10mくらいの温度を適温に保ちます」

 

「エアコンか」

 

「次に、『アスピダ』……、これは、目の前に半透明の斥力フィールドを発生させ、弱い魔法や物理攻撃を防ぐ魔法です。次にお教えする攻撃魔法も、これで防げます」

 

「ふむ……、バリアか」

 

「はい。……では次は、攻撃魔法に移りますか」

 

標的が用意される。

 

「まずは、『ペークシス』!」

 

大きさ10数ミリの結晶の弾丸が、100mほど離れた先にある10ミリの鉄板を貫いた。

 

「そして、『エクリクシス』!」

 

手のひらに生成された球状の火を投げつけると、手榴弾ほどの爆発が着弾点に発生した。

 

「今度は、『オプロ』!」

 

黒曜石でできたナイフを生成する。黒曜石のナイフは思いの外斬れ味が鋭いのだ。

 

「続いて、『パキダ』!」

 

手で触れた位置が白く染まり、そこに自分以外の存在がふれると致死の爆発が起きる、いわゆるトラップだ。

 

「次に、『プロクス』!」

 

射程距離にして30mほどの火炎放射。

 

「最後に、『カノニ』!」

 

人の頭ほどもある巨大な火球が放物線を描くように飛んでいき、着弾点で戦車もひっくり返すような大爆発が起きた。

 

「魔力の消費量は、後半の魔法ほど大きいです。『カノニ』なら、3、4発撃てば、常人は魔力切れすると思います」

 

「いや……、素晴らしい!実に良かった!」

 

こうして、自衛隊では、オーレス式軍用魔法が正式採用されることとなった。

 

今はまだ、魔法教育は始まったばかり。

 

 

 

だが、この、自衛隊への魔法訓練の導入を経て、日本への魔法教育は爆発的に普及していくこととなる。

 




どうぶつの森詳しくないけど、モニカとナイルで抜いた。

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