《ペットモンスターブーム到来!
スライム、カーバンクル、ラタトスク、カラドリウス、ケットシーなどの大人しいモンスターや、ダンジョンで猟犬がわりに使われる予定のバーゲスト、ライラプス、ステュムパリデス、ビッグスパイダー、妖狐、クーシーなど、幅広いモンスターを輸入した結果、ペット産業は、実に1.2倍の拡大を見せています!
ペット産業について、評論家の〜》
俺は新聞をめくる。
「お待たせしましたー、極みカツ丼のメガ盛りでーす」
「あ、はい」
お、来た来た。
んんー!
サクサク揚げたてカツにフワトロだし卵が絡んで最高だ!
肉も分厚くジューシー!サクッとカツの衣を噛みちぎり、ロース肉を噛み締めれば、肉の旨味が舌の上で踊る!
これで、だし汁の染みたご飯を掻き込む!
「あふっ、ふぁ、はふはふ、うめー!」
熱いけど美味いっ!
ん?
お前いつも何か食ってるな、って?
あー、それはな、俺はかつて、あっちの世界で、人間国家から追われて逃亡生活してる間、虫けらや雑草、野犬にゴブリンなんかのモンスターを食い、泥水や雨水を啜り生きてきたからな。
それが結構なトラウマらしく、今は毎日美味いもんをたくさん食べようと、食い意地がはってしまっているんだよな。
あと、青春を楽しめなかった反動か、嫁もたくさん侍らせるようになったし、遊べなかった分を取り返すかのように遊びまくっている。
結局のところ、俺も歪んだ人間だってことだ。
まあ、だからと言って、世にはばからないとは言ってないのだが。
それは良いんだよ、大人なんてみんなどこかおかしいんだからな。
パチンコにハマるとか、風俗にハマるとかと比べれば、俺の食道楽やら読書やらは健全に思えないか?
いやアレよ、悪癖を否定する訳じゃないぞ?
パチンコも風俗も別に良いんだわ。
それで身持ちを崩さなけりゃな。
因みに、俺はギャンブルが好きじゃない。
動体視力的に、ルーレットでもパチンコでも勝てるし、観察力からして競馬競輪でも勝てる。知能的に麻雀なんかも勝ててしまうし、相手の心も読めるから対人のゲームはまず負けない。
そもそも『ラックアップ』でも使えば、宝くじの一等賞も簡単に当てられるからな。
さて……、今は十月。
モンスターや、亜人国家の植物の輸入が許可された。
帝都大学の生物学科の六割の研究者が過労でぶっ倒れて病院送りになったが、その分検証は早めに終わり、ペットや番犬代わりにモンスターを飼う、という選択肢が、親亜人国家に出てきた。
警察組織では、シェパードやドーベルマンよりはるかに賢くて強いバーゲストを試験的に導入して、民間にはカーバンクルなどを販売し始めている。
値段については、実は、カーバンクルくらいなら割とその辺にいる亜人国家からすれば、わざわざ金をもらわなくても構わない勢いなのだが、かと言って安値で売ると、流行に敏感な馬鹿が買いまくってその辺に捨てて、生態系崩壊……、みたいなことになりかねない。
何せ、カーバンクルなんかは寿命は人間並み、魔法もちょっと使えて、そのくせ食事量は少ない。
馬鹿みたいに輸入するとアメリカのリスくらいに増えるかもしれない。
そうすると、生態系がどうなるかわからないからな。
カーバンクル。
色は緑や青。品種改良で黄色とか白とか、金色のもいる。
見た目は、キツネのような、ウサギのような、ネコのような生き物だ。額の赤い宝石が特徴か。
耳はウサギみたいに長くて、体格はフェネックっぽくて、猫のような動きをする。
哺乳類っぽくて雑食。
『キュー』と鳴く。
魔法をそれなりに使える。
人間の子供並みに賢い。
そして気になるお値段は……。
1番ポピュラーでお安いやつでも六十万円!
1番安いのは、プリムという、黄緑色の毛を持つタイプ。
このプリムは、亜人国家に行くとその辺にいる野良カーバンクルによく見られる種だ。
いやー、懐かしいな。
あっちの世界の人間国家から逃亡してたとき、野良カーバンクルを捕まえてよく食ったもんだよ。
味はまあ美味しくないんだけどね。ほら、あれだ、放射性降下物の名を冠するゲームみたいな感覚になれる味だ。イグアナシチュー、リスのサクサク角切りみたいな。そもそも食うような生き物じゃないんだが。
対して、最高級のものは、白い体毛と青い宝石の『シバ』や、金色の体毛と緑の宝石の『シャバット』など。
これは最低でも二、三百万円はする。
大体、ドーベルマンが五十万円くらいが相場らしい。
それを考えると最低でも六十万円ってのはかなり高いな。
だが、さっきも説明したが、値段を高くしないとバカが買ってしまう確率が上がるのだ。
ペットをおもちゃと勘違いしたバカが、モンスターを大量に購入して野に放てば、たちまち生態系がいかれる。
バーゲストとかあれ、戦闘能力的には熊超えてるからな?
値段を高くすると言うのは、気安く買えないようにして、バカに買われるのを防ぐ目的がある。
更に、バーゲストなどの強めのモンスターは、飼うのが難しいクマやタカなどの特定動物に近い扱いの、『特記魔法生物類』と定められた。
散歩くらいはさせても良いようだが、飼うには色々な書類やら何やらを書いて、広い家と、デカいモンスターを養える金があることを確認した上で、役所から許可を得ないとならない。
いや、言っておくが、バーゲストとか普通に狼だからな。
見た目は黒い狼で、赤い瞳が光ってて、首に鎖が巻きついてる。
この鎖は魔力を具現化させたもので、野生のバーゲストはこの鎖で獲物を絡めとり、絞め殺したりする。
体高85cmくらい、体重は60kgくらいかな。
デカさ的には人間の女くらいある。
黒い霧を出す魔法を使い、黒霧に紛れて襲いかかる。
ダンジョンでは二十階層以上でも通用するだろう。
亜人は番犬感覚で飼ってる人も割と多いが、人間にはオススメしない。
けど、カッコいいからな、欲しがる人はいっぱいいるんじゃない?
多分、アホそうなヤクザとか飼うと思うよ。偏見だけどそういうの好きそう。
あとはほら、セレブ(笑)とか芸能人とかね。
まあほら、ロシアでは熊を飼ってる人とかいるし、良いんじゃないかな。
おっと、そろそろ、モンスターをペットにした人達の番組が放送されるな。
ダンジョンについての話もちょっとやるっぽい。
見てみよう。
ワールドタイプって言う創作支援サイトを見つけたのだが、いざ設定をまとめようとすると辛いな。
ぴえん。
最初っからなー、設定なんてなー!ないんだよーーー!!!