僕「ワアッ……!」
俺とオリヴィエは、あかつき魔法大学に来た。
何でも、今日は、各国に魔法大学が設立されて一年だから、生徒のお披露目をするらしい。
いや、日本は、外国に先駆けて魔法高校と魔法大学が設置されていたんだが。まあとにかく、世界各国の魔法大学の生徒が集まって、成果を発表すると共に、魔法使い同士で交流することを目的としているそうだ。
「どうだオリヴィエ?」
「ん……、うちで受け持っている藤原美津留が一番だと思う」
「そうなのか」
まあ、そうだろうな。
オリヴィエの生徒は、確か、魔法高校卒だったはずだ。
三年のアドバンテージがあると見ていい。
だが、他の国にもできる奴はいるはずだ。
さて、どうだろうか……。
発表前に、ルオやヴィルザに挨拶する。
全員、各大学の首席を連れてきたそうだ。
今日はアレだな、午前中に、この一年の研究結果を発表して、午後に魔法の実演をする感じだ。
要するに、大学生の学会発表みたいなものだな。
午後の実演は、各国の政府高官やマスメディアを招いてやるらしい。魔法のデモンストレーションってことかね?
まあ、その辺はどうでもいいや。俺には関係ない。
発表を見ていこう。
アメリカからだ。
「レナード・スタンフィールドです。今回発表させていただくのは、『物質解析と物質分解』です」
あー?
あー……。
こいつは確か、ルオに教わってるんだったか?
なるほど、ルオらしいな。
『解析』と『解呪』はルオの十八番だ。
ルオの一番凄いところは、魔法の修練経験の蓄積量ではなく、『目』だ。
あいつの解析能力ははっきり言って異常だ。
どんな術式もまず『理解』してから、術式を『分解』してくるからな。
で、一度『理解』されたら、あいつの『賢人大計(システムソピアー)』で真似される。
次はカナダ。
「アビゲイル・エリスです……。『死霊術による英霊召喚』について発表させていただきます……」
ほー、死霊術。
しかも、英霊召喚を死霊術でやるのか。
となると、呼び出されるのは悪人……、いや、『死』に近いものか。
呼び出すのは当然、地球の英霊になるはずだから、考えられるのは……。
処刑人シャルル=アンリ・サンソン、殺人鬼エリザベート・バートリー、人斬り山田浅右衛門辺りが考えられるな。
ジョン・ウィルクス・ブース、ブルータス、荊軻……、ジル・ド・レ、切り裂きジャック、ペーター・シュトゥンプ、ヨーゼフ・メンゲレ辺りも行けるかね。
シリアルキラー、処刑人、暗殺者……。殺人者を呼び出すようだな。
まあ何にせよ、悪趣味な術式だ。
スカルの教えだな?
アレは本当に、人の心がない化け物だからなあ。
あのアビゲイルとか言う女、完全に『死』に近づいただろ?
あの濁った瞳は、完全に死霊術の使い手の瞳だぞ。
定命の人間が死霊術を本格的にやろうとすると、人間として壊れるんだがなあ。
アレはその内、屍人族にでも転生するんじゃねーか?
次はドイツ。
「ヨアヒム・ゼークトです。『創造術と変成術による無人兵器の瞬時展開』について発表します」
は?
『獣人式戦闘術(ヴァルガ・ルギガ)』じゃねえのか?
いやまあ、構わんけど。
無人兵器?ゴーレムの類かね?
ゴーレムねえ……。
野戦陣地で即座に作れる手軽さが売りだが、現実問題、魔導兵器の方があらゆる面で上なんだよな。
ああ、魔導兵器ってのは、魔法工学に基づいて設計された機械兵器のことだ。
俺の持つデモンズネストやデモンズギアも、広義では魔導兵器に分類されるな。
亜人国家も、『エンゼルギア』っていう魔導兵器があるぞ。俺も設計に口出しした。
次はフランス。
「アンヌマリー・ル・ヴェリエですわ。わたくしは、『牙流(ガーロード)の一般化』について発表させていただきますわ」
ほう、『牙流(ガーロード)』か。
流石は『七つ牙』グランスと言ったところか?
『牙流(ガーロード)』の『七つ牙』、その奥義の『王噛(アゴラ)』は、対軍魔法としては最高峰の完成度を誇る。
因みに、俺の嫁のルシアは『一つ牙』を拝命していて、『一つ牙』の奥義たる『欧神(ザンバ)』は、対単体において無類の強さだ。
『二つ牙』の『奥咬(ザムド)』は狙撃魔法として優秀だし、『五つ牙』の『応擤(リガン)』はカウンターが強い。
『四つ牙』の『黄守(バレン)』、『三つ牙』の『桜上(ワズム)』、『六つ牙』の『扇髪(ビルス)』……、どれも著名な奥義だ。
そんな名門である『牙流(ガーロード)』のデチューンか。
女だてらによくやるもんだな。
次はイタリア。
「オズワルド・ロレンツォーニです。えー、『即応性を高めた封印術』について発表します」
封印術……。
ヴィルザ率いる傭兵団『海底の灰縄』は、傭兵団としては異色の、捕縛を基本とする戦闘集団だ。
首級をあげることよりも、周囲の支援や敵の妨害を主眼に置いている、珍しい傭兵団なんだよ。
まあ、だからこそ、この平和なご時世でも組織が存続していたんだろうけどな。
そんな『海底の灰縄』の薫陶を得たイタリアの魔法大学では、封印術に長けているのは自明の理ってことか。
次はイギリス。
「僕はフェリックス・アッシュフィールドです。今回は、『元素思考による動力術』について発表します」
元素思考……。
うわ、龍人共、やっぱり元素思考について教えたのか。
あの考え方、間違ってはいないんだが、些か古過ぎるんだよな。
分かりづらいから、才能がない奴は一つの元素の視点しか持てないんだよ。
しかも、動力術の術式もまた古い……。
いや、使いやすくはあるんだけどね?
術式が古いから干渉術に弱いんだが、そこをどう防ぐのかが今後の課題だろう。
最後は日本。
「藤原美津留です!『魔法工学による強化外骨格』について発表します!」
ほー!
おもしれぇじゃねえか!
強化外骨格……、ってことは、駆動鎧か。
今でも使う奴がいるくらいの出来のいい技術体系だ。
素材が良ければ、構造が単純でもかなり使える兵器になるからな。
実際問題、オリハルコン辺りで全身を固めれば、格上相手でも食えるもんな。
マネーパワーだな。
これは……、ワイバーンの筋肉を加工して人工筋肉にしてるのか。
人工筋肉式か、新しいな。
古いタイプだと、加圧式のマッスルシリンダーを使うんだが。
人工筋肉タイプは比較的新しくて、滑らかな動きができるから、民生用に多いな。
逆に、マッスルシリンダータイプはパワーが強いから工業用とかに使われてる。
ふーむ、面白いぞ。
人間のこと、正直言って舐めてたが、まさかここまでできる奴がいるとは。
もちろん、上澄みの上澄みなんだろうけど、それでも、一年でここまでできるのは中々に才能がある。
さてさて、午後の実演はどうなるかな……?
あーもうだめ。
全然面白い作品書けてない。
やっぱりギャグやるべきなのか……?