ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ワクチン打てない……。


146話 ドイツの成果

ドイツのヨアヒムの番だ。

 

セミロングの黒髪を、整髪料で整えて額を出している。精悍そうな顔立ちながらも、瞳に浮かぶのは強い野心。

 

服装は……、ありゃ?錬金術師の中でも特に野戦に優れた集団である『攻殻機甲』のものだ。獣人に教わって何でそうなるんだよ。謎だ。

 

攻殻機甲の正装らしく、橙色の布地に『機械神チクタク』の紋章が左胸に刺繍された半袖の上着に、革ズボンとブーツ、それにショートソード。

 

機械神チクタクの紋章は、歯車に丸だが、これは機械神チクタクの象徴である、星を覆う機械……、つまりは人工衛星ないしダイソン球を表しているそうだ。

 

それと、杖ではなく剣を魔法の発動体にするのは、戦闘学派の基本だよな。その中でもショートソードなのは、野戦において、塹壕の中でも戦いやすいからだと言われている。

 

その証拠に、あのショートソードは複合型のもの。

 

つまり、杖と同じ機能を持つ剣だ。その分、剣としての機能は低いんだが。

 

そして最大の特徴は、腕に刻まれた錬金紋……、魔法陣だろう。

 

錬金術ってのは魔法陣学と密接な関係にあるんだが、戦闘中にいちいち地面にインクを撒き散らす余裕はないよな?

 

だから、身体に刻んだ刺青型の魔法陣を、肌と肌を合わせる形で重ね合わせて成立させる……、って感じ。

 

例えば、あいつ、左掌に『創造』を意味する魔法陣が刻まれているんだが、右腕に、『鋼鉄』『火薬』『燃料』を意味する魔法陣が三つずつ刻まれてるんだよな。

 

左掌の『創造』を、例えば、右腕の『鋼鉄』の魔法陣と重ね合わせれば、物質の変質により鋼鉄に類するものを生み出すことが可能だ。変成術の一種、錬金変成だな。

 

これは一動作で使える『即効魔法』の類だな。

 

即効魔法はやはり、接近戦も行う魔法剣士に一番だろう。

 

で……、こいつは何をやるんだ?

 

「私の使う魔法は、まず、即効魔法たる『銃撃(シュス)』からお見せしましょう」

 

ヨアヒムが、人差し指を標的に向け、一言呪文を唱えると、虚空に創造された魔力弾が音速ほどのスピードで飛んでいき、標的を抉った。

 

ほー。

 

こりゃ223000頃に流行ったらしい『魔弾』か。

 

220000年代からおよそ十万年くらいの亜人国家は、世界的にかなり安定していたから、大規模で高火力の儀式魔法より、ヨーイドン形式で始まる魔法決闘が多くなったんだよな。

 

そんな時に流行ったのが、超短い呪文で、人一人殺せるくらいの威力の魔法を素早く放つ『魔弾』系統の魔法よ。

 

この頃は、アメリカのガンマンみたいに、早撃ちこそが最高!とされていたから、即効魔法の魔弾魔法が大流行したそうだ。

 

因みに、この頃に最強と謳われていた『残響』のヴィネスって女がいるんだが、あいつは、一手で魔法を放つ『即効魔法』よりも速い、零手で魔法を放つ『詠唱破棄』を考案した挙げ句、『魔法を唱えたという結果を前借りして発生させ、その後に魔法を唱える』という因果逆転型の魔法を発明した化け物だ。

 

あいつのせいで、戦おうと思った瞬間に魔導師が死ぬようになったから、この時代以降の魔導師は、二十四時間常に最低限の防御魔法を張るようになったんだよな。

 

まあ、それは良いとして……。

 

ふむ、魔弾か。

 

魔弾と言えば、魔力の弾丸を飛ばす魔法な訳だが、この術式は……、大体、ライフル弾くらいの威力の物理破壊をする程度だな。

 

魔弾のプロならもっとヤバい魔弾を放てるが……、学生レベルなら合格点だろう。

 

「まあ、これは良いでしょう。おまけのようなものですから。本題は、ゴーレムです」

 

ゴーレムか。

 

まあ、攻殻機甲ならそうなるだろうな。

 

あの連中は、敵陣に乗り込んで、錬金術で塹壕掘って前線基地を作り、敵の物資で即席兵器を作るような奴らだ。

 

「機関の鼓動。喞筒の蠕動。鋼は骨、歯車は肉、油は血。硝子の瞳、護謨の肌、炉の臓腑。顕れるは鉄の騎士。車輪の馬に跨り、礫放つ槍を持つ者よ、変じよ、『鋼鉄騎兵(アイゼンリッター)』」

 

まず、騎士の石像を作り、それに錬金術用の魔法陣を使いつつ変成術をかけて鋼鉄のゴーレムにする感じか。

 

ふーん?まあ、アリなんじゃない?

 

二手かかるから遅いけど、その結果が一度に十体のゴーレムナイトならまあまあ良いでしょ。

 

「やれ!」

 

『………………!!!』

 

ほーん。

 

ゴーレムナイトは、片手で持ったロングソードで、一撃で、人間と同じ丈夫さを持つ人型標的を唐竹割りした辺り、腕力は人間以上だろう。

 

他にも、追加詠唱でゴーレムナイトに武装を召喚できるらしく、ガトリング砲や榴弾砲、バイク、ライフル、マシンガン辺りを出していたな。

 

因みに……、俺はそこまで銃火器に詳しい訳ではないが、出てくる車両や銃器は全てドイツ製だったと思う。著作権とか良いんだろうか?

 

「質問しても?」

 

おっと、ドイツ首相。

 

「何でしょうか?」

 

ヨアヒムが答える。

 

ところで、各国の首相やテレビ局は、何で他国の魔法大学の学生に質問しないんだ?

 

……ああ、そうか。

 

他国の戦力の詮索になるとか思ってんのか。

 

魔法は学問なんだから、その辺、戦力という見方しかできんのは思考回路が貧しいな。

 

いやまあ、ここのこいつらも、戦闘用の魔法みたいな見せ方してるのが悪いってのもあるか。

 

けど、よく考えてくれ。

 

物を消す魔法なら、災害時の瓦礫除去に使えるだろ?

 

死霊術なら、死んだ人間を呼び出せるんだから、史学に革命が起きるぞ?

 

確かに、魔法はその出力というか、大きな力から、何かと戦いに利用されがちだが、使い方によっては多くの人を助けられる技術にもなるんだよ。

 

例えば飛行機。

 

飛行機は、最初に作ったライト兄弟は、空を飛びたいという夢を込めて作っただろう。

 

だが、それが後に、爆撃機や戦闘機なんてものを生み出す第一歩となった。

 

魔法だって使いようだ。

 

人を壊すこともできるが、助けることもできる。それを模索するのがこれからの人類のやるべきことだろう。

 

さて、話が逸れたな。

 

ドイツ首相の質問は?

 

「大変素晴らしい魔法ですね。こちらの騎士は、何体出せるのですか?」

 

「六百体、大隊規模が限界です。ついでに言えば、大隊規模ほどの兵員を同時展開すれば、魔力は二十四時間しか保ちません」

 

「なるほど。こちらの騎士は、どれくらいの思考能力があるのですか?」

 

「思考能力はありません。コンピュータのように、こちらのプログラムに従うのみです」

 

ふむ、まあ確かにそうだろうな。

 

思考能力がある存在、つまりは人工生命……。

 

人工生命の創造となると、このヨアヒムという男の才能であれば、あと三年は欲しい。

 

「プログラム……?」

 

「まあ、コンピュータプログラムでできる程度のことは基本的にできるとは思います」

 

「ふむ……、となると、災害救助や要人の護衛、運搬などにも使えますね」

 

「はい、そうですね」

 

うん、そうね。

 

まあ、平和利用の方法をよく考えろって話だ。

 

さ、次いくぞ。

 




もう駄目だ、全然面白いのが書けない、もう駄目だ。
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