ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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連打二話目。


148話 イタリアの成果

次はイタリア。

 

オズワルド・ロレンツォーニだったか?

 

少し丸めの鼻と、垂れ目にケツアゴ。

 

セクシーな感じの男だ。薔薇とか咥えたら典型的なイタリア人プレイボーイだな。

 

両脇を短く、頭頂部の髪を長めにした、イタリアで流行しているらしい髪型。

 

髪の色は黒。日本人は、ガイジンはみんな金髪碧眼だと思っているのだろうが、実際のところ、金髪碧眼はそう多くはない。

 

ってか、地中海辺りのラテン系民族は大抵黒髪だぞ。

 

服装は、傭兵団『海底の灰縄』のそれ。

 

白色の、近未来的なライダースーツ。

 

上着とズボンが一体化しているのは、水中での抵抗を減らすため。言わば水着だな。

 

また、海底の灰縄は、肉弾戦闘を得意とする集団であるからして、制服であるこのライダースーツには、各所に装甲板がプロテクターのように仕込まれている。

 

スーツには黄色で、海底の灰縄を表すロゴマークである「あやつなぎ」の縄が胸の真ん中に描かれている。

 

本来なら、「灰縄」であるからして、ロゴマークは灰色の縄であるべきなんだが、海中では灰色は見えにくいからな。

 

故に、海中でも見えやすい白と黄色で作られているんだよ。

 

素材的には、海獣の革でできているようだ。

 

大型海獣としてよく知られている『モビーディック』という鯨型のモンスターの革だな。

 

この革は非常に防刃性能が高いんだよ。

 

だから、加工のために裁断しようとすると、高熱の刃を使った大型裁断機を使う必要があるんだ。

 

そして、鼻から首元までを覆う面頬。

 

海底でよくとれる「リヌア甲石」という石でできたマスクだな。

 

リヌア甲石は、深海に棲む珊瑚のようなモンスターであるソードコラウの死骸だ。遥か昔……、地球で言う原始時代に相当する時代では、水棲亜人達の石器の材料として使われていたという石材だ。

 

マスクの形は、男団員でも女団員でも共通で、「口が裂けた女」を模したもの。

 

このデザインにももちろん理由がある。

 

海底の灰縄は傭兵団だが、基本的に、依頼料の高い安いではなく、より正当な主張をする方に加担する集団なんだよ。

 

海底の灰縄団の結成当初は、それはまあ酷い圧政が罷り通っていたらしくてな。

 

圧政ってのはまあ、あるあるな話だが、言語統制や強制徴兵、秘密警察に男尊女卑って感じ。

 

それに対して、「私達は口を塞がれたとしても、自らの口を裂いてでも真実を叫ぶ」という意味をもって、あんなマスクをしてる訳だ。

 

元々、海底の灰縄団の創立メンバーは、婦人の解放を目指した女性活動家だったから、それも理由の一つだろうよ。

 

その後、アクアレギスはポセイドン王が統一したんだが、それに最も貢献したのは国軍ではなく、海底の灰縄団だと言われている。

 

 

 

で、こいつは何をやるんだ?

 

封印術とか言っていたが。

 

流石に、史上最高の封印術である『灰縄式封印術(アルヴァロン)』は扱えんだろう。

 

となると、やはり……。

 

「青の鎖、海金の錠前。魔魂啜る蝕みの鉄輪。『魔啜青鎖封印(ジングラー・ソウルイーター)』!」

 

海底の灰縄団の下っ端がよく使う、『青鎖封印(ジングラー)』か。

 

『青鎖封印(ジングラー)』がどんなものかというと、単純に、魔力でできた青い鎖を相手に絡み付けて、動作を制限するってだけのシンプルな封印術だな。

 

この青い鎖は、魔力でできていて、物理界に存在する物質とも、濃度の高い魔力が見せる幻影とも言える、幽玄的な物質。

 

要するに、創造術などで作られる物理的な物質ではないってことだ。

 

仮想の、仮初の物質だな。術者の意思で出したり消したりできる。VRみたいなもんだ。

 

とは言え、仮想の物質ではあるが、百トン近くの重さに耐えうる丈夫さも持ち合わせている。

 

そしてあの術式は、デフォルトをちょっと弄ってるな。

 

触れている存在から魔力を奪う術式が練り込まれているようだ。

 

前も言ったが、この世界の……、いや、地球の物質にはあまり魔力が篭っていない。

 

だから……。

 

「「「「おおおっ?!!!」」」」

 

あの、青の鎖に触れたものは、魔力を吸い取られてどんどん崩壊していくのは自明の理だった。

 

ギャラリーが驚きの声を上げるのも無理はない話だ。

 

青い鎖に絡めとられたトラックは、車体が軋むバリバリという音を立てながら、段々と、植物が枯れるかのように崩れ落ちているのだから。

 

物質の腐食というか、風化というか。

 

鎖に触れた物質は、一分もしないうちに崩壊した。

 

万物に魔力は宿るが、逆説的に、魔力がないものは存在できない。

 

魔力を吸い取るってのは、存在を根幹から破壊するってことだ。

 

もちろん、生物は多くの魔力を持つから、生物を崩壊させることは難しいだろうが……。

 

それでも、事実上、ありとあらゆる物理セキュリティを過去のものにしたのは事実だ。

 

ポストアポカリプスものに出てくるような、核ミサイルを防げる重厚なシェルターでも、この鎖に触れれば数分で消滅するんだよ。

 

 

 

早速、イタリアの首相が質問してきた。

 

「いや、素晴らしい!無力化に重きを置いた魔法であるようですね」

 

「ありがとうございます。僕は争い事は苦手ですから、護身のためにこの魔法を習得しました」

 

「ですが……、触れたものが全て崩れ落ちてしまうのは少しばかり不便では?」

 

「もちろん、崩れないようにすることも可能です」

 

「ふむ……」

 

何かを考え込む首相。

 

「その鎖は、どうやって制御しているのですか?」

 

「これは基本的に、召喚すれば半自動的に自分の身を守るように動きます。そして、動かそうと思えば手足のように動かせますね」

 

「なるほど。半自動的に身を守るそうですが、それは攻撃をするということではないと?」

 

首相の主張は尤もだ。

 

街中で自動的に他人を攻撃する何か、なんてものを放たれたら困るからな。

 

殺すつもりがなかった!とかって話になっても、魔法による過失致死なんて、現行法じゃ裁けない。

 

「はい、攻撃はしません。悪意あるものが近寄ると、拘束して地面に磔にします」

 

まあ、自動攻撃型なんて明らかに手に余るものを教える亜人教師はいないんだが。

 

自動攻撃型の魔法もあるにはあるんだが、あれは制御が難しいからあまり使われない。

 

実際問題、自動攻撃型の魔導具が無差別攻撃をして死者が出た、なんで事件もあったそうだ。

 

「暴力的でないのは良いことです」

 

ま、こんなもんかな。

 

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